[アッ❗坊やがいない?
坊や、坊や?]
お母さんが外に飛び出した時、雪の中に、黒い服を着た一人の女が座っていました。
女は顔をあげた。
「死神が赤ちやんを連れて行ってしまいました。もう2度とは帰してはくれないでしょう。」
[どっちへ行ったか教えてください?]
懇願するお母さんに黒い服の女が言いました。
「知らないということはないけれど?」
「それを教える前に赤ちゃんに歌っていた歌をすべて聞きたい。あなたの歌う子守唄を聞きたいのです。私は夜だから」
[歌いますけど、後ではいけませんか?⁉]
夜はじっと黙り込んで返事をしませんでした...
お母さんは仕方なく歌いました。泣きながらありったけの歌を唄いました。
「右の方向へ行きなさい。暗いモミの木の森の中へ入って行きなさい。]
夜はやっと教えました。
お母さんは走りました。
森の中をドンドン走っていくと、道が十文字になっていました。
お母さんはどっちへ行ったらいいか分かりません。
本当に困りました。
一株のいばらがありました。
寒い冬なので、いばらは一枚の葉も身につけておらず、長く冷たいツララが鋭くぶら下がっていました。
[いばらさん、いばらさん、教えてください。死神と赤ちゃんを見ませんでしたか?]
「見たような気がするなあ?」いばらは答えました。
「教える前に、私をあなたの胸に押し付けて温めてください。は寒くて凍えてしまうよ。」
お母さんはいばらを胸に抱きしめました。とげが胸に突き刺さり、血が流れ出ました。
すると突然いばらから新しい芽が吹きだし、緑の木を茂らせてきて、美しい花を咲かせました。
とても寒い凍り付いた冬の夜なのに・・・・・
お母さんの胸は悲しみでいっぱいで、それはもう、燃えるように熱かったのです。
そして、いばらはお母さんに道を教えました。
続く‼
アンデルセン童話[あるお母さんの物語]
赤ちゃんを探し続けるお母さんは、何処へ行くのでしょう?💫