2022年の生田の空は曇りから晴れへ。
今年はゆっくり紅葉を楽しむこともなかったが公園で落葉の絨毯の上を散歩するのも悪くない。今年は樹々の葉の落ちるのが遅かった気がする。
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今年はこれでお年越しです。
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2022年もあとわずか。今年の振り返りをしてみたい。
◆今年行ったベストスポット
●郡上八幡
…この写真の風景は当地の案内にもない絶景。これを見るには吉田川が長良川に合流する地点から歩く必要がある。駅から500m程なのでタクシー利用なり歩くなりして吉田川沿いの水辺を散策してみてほしい。
◆今年のベストグルメ
●中国料理 桃李(ホテルメトロポリタン仙台内)
中国料理レストラン。懐石やフレンチなど世界各国の料理のエッセンスを踏まえ中華料理の枠を超えた旬の素材を生かした穏やかで澄んだ味わい。食べるほどに体がきれいになるのではと思えるヘルシー感。ランチ(3,000円程度〜)で2度利用したが仙台に来た際はできるだけ利用したい。
◆今年のベストスイーツ
●「カズノリ イケダのバスクチーズケーキ」(仙台エスパル内 kazunori ikieda individuel お取り寄せ可 )。
チーズの風味と焦げ目の香ばしさ、とろける舌ざわり。チーズの酸味とクリームの甘味の絶妙なバランス。店舗では冷凍された状態で購入。冷たくても美味しいが個人的にはレンジやオーブンで軽く温めトロトロな状態で食するのがお気に入り。
◆今年のベスト映画
何といってもこれである。
●『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』(2021 米国)
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』予告映像
1969年の夏、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン、ハーレムで6週間にわたり音楽コンサート「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」が行われた。この模様を収めた音楽ドキュメンタリーである。
泥沼化するベトナム戦争・公民権運動、二人のケネディとキング牧師を失った米国民が光を求めた時代に「愛と平和」を希求する「祭典」として催され同年に行われた「ウッドストック」と並び「ブラック・ウッドストック」とも呼ばれる。
米国社会におけるアフリカ系米国民の現状、彼らにとっての音楽の意味に問いかけながら存命する出演者のインタビューを織り交ぜつつ映画は進行する。
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』特別映像<Harlem Then And Now>クエストラブ監督コメント付き!
中でも個人的に印象深いのはフィフス・ディメンションのパフォーマンス。メンバーの一人がタクシーに財布を置き忘れたことから生まれた名曲「アクエリアス」との出会い。音楽スタイルが白人的とみなされていたゆえにハーレムで歌うことで同胞に受け入れられたかったという思い。それらが爆発的なパフォーマンスにつながる。レコード音源でも十分よいがこのライブ映像は素晴らしい。
↓これはレコード音源。
AQUARIUS La quinta dimensión (Subtitulos en español)
音楽ドキュメンタリーとしては『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999 独・仏・米・キューバ)以来の歴史的作品だと思う。
映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」日本版劇場予告
Buena Vista Social Club At Carnegie Hall Full Album
※ コンサートは40時間にわたりビデオ収録されたが需要が見込まれないとしてテレビ放映・映画化されなかった。50年間未発表のままだったが2004年アーキビスト(Archivist 記録を査定・保管・紹介する専門職)により発見され映画化されるに至った。
※ コンサートの内容はアフリカ系アメリカ人の音楽と文化を祝福しブラック・プライドの継続的な政治を促進するもの。すなわち、彼らの、そして彼らにとって、音楽は解放と浄化である。そして彼らは negro ではなく black である。そして black は美しい。(副題の「革命」とはこのような新たな価値付けを指す。革命[revoltion]とは再[re]-価値[volt]付けなのである。[20230104追記])主だった参加者はニーナ・シモン、B・B・キング、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、チャック・ジャクソン、アビー・リンカーン&マックス・ローチ、ザ・フィフス・ディメンション、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、スティービー・ワンダー、マヘリア・ジャクソンら。
※ 「輝く星座(アクエリアス)/レットザ・サンシャイン・イン」はもともとミュージカル「ヘアー」の劇中曲の最初の曲と最後の曲をメドレーにしたもの。「ヘアー」自体はベトナム戦争中のアメリカを舞台とし若者からの反戦のメッセージと当時のヒッピー文化を伝えるものだった。「アクエリアス Aquarius」は「水瓶(みずがめ)座」を意味し「平和が惑星を導き/愛が星々を動かす」といった詩の内容から愛と平和を希求する歌であることがわかる。なぜそれが「水瓶座」なのかは占星術に由来するらしくそれによると20世紀後半から世界は魚座の時代から水瓶座の時代―「愛」「平和」「理想」「進歩」が重んじられる時代ーになるのだという。ただしこれは諸説あり占星術において統一的な見解があるわけではないようだ。
以下その他の映画。40本程見ている。ジャンル的に西部劇が多いがたんなるアクションではなくドラマ性・社会性のある作品、ジャンルを超えた良作が多かった。地味だが「シマロン」(1960 米)、「追われる男」(1954 米)、「ブラックライダー」(1972 米)、「馬上の二人」(1961 米)、「プロフェッショナル」(1966 米)、「南部の反逆者」(1957 米)はじっくりしみじみ感じるところのある作品だった。
●ロープ(1948 米)…閉所恐怖症にはきついニーチェの超人思想と優生思想の関連を考えさせる。ヒッチコック。永久保存。
●黄昏(1952 米)…人間のエロスの本質をワイラーが描写。永久保存。
●さらばバルデス(1973,伊・仏・西)…ブロンソンの妻ジル・アイランドの美貌。
●或る女優の不在(2018 イラン)…トルコなのかイランなのかアゼルバイジャンなのか。田舎の美と迷信と因習と偏見。もはや後進性と呼ぶべきか? 原題「سه رخ (Se rokh)」はペルシャ語で「3つの顔」の意。
●哀愁(1940 米)…ヴィヴィアン・リーの美。永久保存。
●誰が為に鐘は鳴る(1943 米)…何度見てもよい若きイングリッド・バーグマン。永久保存。
●はちどり(2019 韓国)…「桐島…」以来の青春映画の快作。永久保存。
●明日の食卓(2019 日)…子育てする母親たちの群像劇。テーマの掘り下げが甘く深みを欠く。
●Fukushima50(2014 日)…2011年福島第一原発事故の教訓。
●ホモサピエンスの涙(2019 スウェーデン)…唐突な状況提示により観る者に物語を想像させる作品。
●マーティン・エデン(2019 伊・仏)…船乗りが独学でベストセラー作家に成り上がる一途さと迫力と最期。主演ルカ・マリネッリが素晴らしい。
●嘆きのピエタ(2012 韓)…悲しき救済。ピエタはイタリア語で慈悲・哀れみの意。美術用語として十字架から降ろされたイエスを抱く聖母マリアの像。韓国はキリスト教国だった。
●シマロン(1960 米)…米国における人情の機微。永久保存。
●南部の反逆者(1957 米)…南北戦争期のみならぬ奴隷制の実態と米国の良心。クラーク・ゲーブルの存在感。永久保存。
●素晴らしき哉、人生(1946 米)…失われる前に気づくこと。
●ロスト・バケーション(2016 米)…途中から早送りして20分で見終わる。
●ハニーランド 永遠の谷(2019 マケドニア)…この世界に楽園はない。永久保存。
●追われる男(1954 米)…人を育てることの難しさ。永久保存。
●少年は告白する(2018 米)…米国における同性愛矯正施設の実態。
●断崖(1941 米)…お調子者の詐欺師を愛する偏執性、無労働で贅沢三昧の生活をいつまで続けられるかのスリル。ヒッチ・コック。
●星の子(2018 日本)…親子は思想・信条を超えたところで成立する絶対的不条理な関係。異常な親の許に生まれ普通に育つ子ども。芦田愛菜はなかなか良い俳優。良作青春邦画。
●アイガーサンクション(1975 米)…クリント・イーストウッドのスタント無しの登山シーン。
●罪と女王(2019 丁・瑞)…女性。その存在の暴力。
●ピアニスト(2001 仏・墺・独)…知性の奴隷の悲喜劇。
●チィファの手紙(2018 中国)…岩井俊二監督。「ラストレター」の中国版。
●オルフェ(1950 仏)…私たちの記憶の背後には反世界のような抹消されたもう一つの生が隠されているのもかもしれない。永久保存。
●恐るべき子供たち(1950 仏)…自ら暗い宿命の中へと突き進んでいく若者たち。
●駅馬車(1954 米)…時折挿入されるヴィヴィドな映像が印象的。永久保存。
●ヒア アフター(2010 米)…来世を見た者達。インドネシア大津波のシーン。2011年以前の作品であることに驚く。C.イーストウッド監督。
●ノマドランド(2021 米)…放浪と漂流の間。自発と強制の間。
●砂の器(1974 日)…癩病患者への差別の歴史。松本清張原作。
●ドライブ・マイ・カー(2021 日)…チエホフのワーニャおじさんの劇中劇の奇跡。岡田将生が良い。永久保存。
●アラベスク(1966 米)…GペックとSローレンのロマンチックアクションは無理があった。
●馬上の二人(1961 米)…この時代に人種差別主義批判の映画を撮るJフォード。
●ハンニバル(2001 米)…『羊たちの沈黙』のようなクライム・スリラーに私はリアルを感じない。
●獅子座(1959 仏)…ある漂流の風景。果てしないダラダラ感がいい。永久保存。
●泥棒成金(1958 米)…GケリーとKグラントの完璧な娯楽作品。ヒッチコック。
●羊飼いと風船(2019 中)…中国の近代化とチベットの日常。
●スイミングプール(2003 英・仏)…シャーロット・ランプリングの自意識過剰。
●ブラックライダー(1972 米)…米国における黒人差別の歴史的資料。良作。
●フォートブロックの決斗(1958 米)…立身出世のために女を捨て女のために立身出世を捨てた男の物語。米国の良心。
●プロフェッショナル(1966 米)…クラウディオ・カルディナーレの野性美。西部劇のジャンルを超えた隠れた名作。永久保存。
●明日なき追撃(1975 米)…日和見的市民への批判。カーク・ダグラス。
●草原の野獣(1958 米)…米国における親子間・兄弟間の価値観の変移を映し出す良作。
●悲しみは空の彼方に(1959 米国)…米国における黒人差別の実態と白人と黒人の間に生まれた女性のどう生きるべきか。
◆今年の日本酒ベスト(印象に残ったもの)
★姿 純米吟醸無濾過生原酒 愛山(栃木)…陶酔感あり。突然変異的に美味しかった。今年愛山にハマるきっかけになったお酒。
●七郎兵衛 特別純米原酒華吹雪六拾(青森)…熟成原酒の強烈な個性・インパクト。
●大七 生酛純米大吟醸 箕輪門(福島)…きれいな熟成生酛。さすがの大七。
●白神 純米吟醸雫取り無濾過(青森)…きれいさの中にも厚みがあり旨甘酸味のバランスがよい。青森シリーズはどれもよかったが意外と個性の差が感じられなかった。そういう意味で田酒、陸奥八仙、豊盃は特別なのかもしれない(七郎兵衛もか…)。
●澤乃泉 登米のどぶろく(宮城)…さっぱりさらさらどぶろく。
●二世古「きたしずく」特別純米酒 新酒しぼりたて生原酒(紫)(北海道)…力強く爽やか。
●十六代九郎右衛門 生酛純米愛山13(長野)…生酛13度だがキュートな甘味がよかった。
●長龍 四季咲 楓蔦黄 純米吟醸無濾過生原酒 露葉風(奈良)…四季咲シリーズは追ってみよう。
●稲の国の稲の酒 生酛特別純米酒無濾過生原酒(奈良)…旨味甘味のふくよか純米。
●花笑み 純米吟醸(大分)…印象に残った新顔。味がしっかりしている。
◆ベストイベント…サッカーW杯カタール大会
●決勝アルゼンチンvsフランス戦以外にもオランダvsアルゼンチン戦終了間際のFKのトリックプレー同点劇は圧巻だった。乱闘騒ぎもこのカードではおなじみだが。
アルゼンチンvsフランス 試合ハイライト|決勝 @ABEMA で無料配信中 https://t.co/J1ssxZsBZP
— 佐藤慶広 (@codaimon) December 27, 2022
以上。
2023年も良い年になりますように。
皆様も良いお年をお迎えください。
20221231 大晦日の生田の空
20221231 大晦日の生田の空と鳥の鳴き声
付記1
注文した記憶のないお酒もあるので意識のない状態で注文しているかもしれません。気をつけなければ。
付記2
今年のお気に入り再生リスト…今年は Tate MacRae(テイト・マクレー)が良かったです。
付記3
今年の大晦日の曲
ABBA - Thank You For The Music (Official Lyric Video)
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