サクラサク…というと昔は大学受験の結果報告電報に使われた決まり文句だが現在はどうなのだろう。私が受験した時は話だけで実際にそんな文言を見た記憶はない。電報は使ったような気がする。在校する大学生がアルバイトでやっていたような。今考えればそんなもので確認することはだいぶ不確かであぶなかっしいが当時は普通だった。今なら学校がHPで合格者番号を公表するネット発表が当たり前だから電報を使うことはないだろう。
桜といえば染井吉野(ソメイヨシノ)というのが日本の桜の定番イメージだが生田のサクラを見ていて緑色の入った白い花びらのものが多いので桜の種類について調べてみた。
「さくら図鑑」さんによると桜の品種は原種11種とそこから自然もしくは人為で交配した雑種が多数確認されている。原種について7種特徴を挙げると次のようになる。
○江戸彼岸(エドヒガン)…花は薄紅色から白。花弁は5枚で一重。名前通り春のお彼岸(3月中旬頃)の開花。ソメイヨシノの片親。
○大島桜(オオシマザクラ)…花は白色で5弁。3月から4月にかけ開花。葉の成長と共に白色の花をつける。ソメイヨシノやカワヅザクラ(河津桜)の片親。命名は伊豆大島に由来する。
○山桜(ヤマザクラ)…花は一般的に白色もしくは淡紅色だが淡紅紫色や先端の色が濃いものもあり花弁は5枚。日本の代表的な野生種で「吉野の桜」は本来これを指す。
○寒緋桜(カンヒザクラ)…花は白から濃い桃色まで個体差があり釣り鐘状の形が特徴。おおよそ1月から2月上旬にかけて開花。主に沖縄県で野生化。早咲きのカワヅザクラ(河津桜)の片親。
○豆桜(マメザクラ)…花は白から薄紅色で5枚一重。開花は3月下旬~5月上旬。その名が示すように樹高が大きくならず花も小さい。富士山近辺やその山麓、箱根近辺等に自生することからフジザクラやハコネザクラとも言う。フユザクラの片親。
○丁字桜(チョウジザクラ)…花は白からやや薄紅色で5枚一重。開花は3月下旬から4月下旬。花びらを横から見ると丁字(フトモモ科の常緑高木。クローブ)に見えることがその名の由来(丁子の植物全体の姿のことか実のことなのかは不明)。
○大山桜(オオヤマザクラ)…花は淡紅色。4月下旬開花。樹高は7mから20m程度で育ち根元近くから枝を生やし範囲が7mから15m程度に達することも。
これら原種に対して園芸品種は日本では固有種・交配種を含め600種以上が確認されている。染井吉野もその一つ。二種だけ挙げておく。
○染井吉野(ソメイヨシノ)…花は咲き始めは淡紅色で満開になると白色に近づく。花弁は5枚。開花は3月後半。江戸時代中期-末期に園芸品種として確立したとされる。エドヒガン系統の花が葉より先に咲く性質とオオシマザクラの大きく整った花形を併せ持った品種。自ら増えることがないため接ぎ木など人の手により広まる以外に手立てがない。
○河津桜(カワヅザクラ)…花は桃色ないし淡紅色。1月下旬から2月にかけて開花する早咲き桜で花期が1ヶ月と長い。和名は1955年に飯田勝美が静岡県河津町で原木を偶然発見したことが由来で毎年2月上旬に行われる河津町の河津桜まつりは有名。
なお枝垂桜(シダレザクラ)は広義では枝がやわらかく枝垂れるサクラの総称で狭義では特定のエドヒガン系統の枝垂れ性の栽培品種。また八重咲(やえざき)は言葉の意味としては桜に限らず花弁(花びら)が幾重にも重なって咲くことあるいはその花のことだが生物学的には変異種で変わり者扱いらしい。
生田駅付近の河津桜(カワヅザクラ)。白い花が混じるので変種だろう。下に見える黄色い花は何だろう。
生田駅近くの枝垂桜(シダレザクラ)。まだ三分咲きというところ。
五反田神社の桜。
橋と大島桜。地域ボランティアの皆さんが駅近くに園芸スペースを作っている一角。
通りに桜の花びら落ちていたのでこちらの公園にも桜が咲いているかと思い立ち寄ったが桜の木はなかった。
学校近くの染井吉野。
公園には大島桜と染井吉野が咲き競っていた。
これは八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)ではないかと思います。エドヒガン系の園芸品種で八重咲きで濃い紅色をしたシダレザクラです。
浄水場近辺の近辺の桜。
住宅地の斜面に生えるこの木は大きさから豆桜(マメザクラ)と思われます。
いろいろ調べてみて生田のサクラに緑が混じった花が目立つ理由が分かった気がする。桜は種類によって花の咲く時期と葉の出る時期とが一様ではなく「花が先に咲きその後に葉が出る」だけでなく「花が咲くと同時期に葉が出る(花と葉の時期が重なる)」ものもある。花の見え方は葉の出方と花の咲き方が関係するから染井吉野のように「花が先に咲きその後に葉が出る」ものについては一面の花の絨毯(じゅうたん)といった光景や「潔く散る」イメージが成り立つし「葉桜になる」などという表現も成り立つ。だからこそ江戸期成立の園芸品種であるにもかかわらず全国に普及したのであろう。これに対し「花と葉の時期が重なる」ものは初めから花の色に葉の緑色が混じり染井吉野とはちがったイメージになる。大島桜はまさにこれであり生田のサクラにはこの大島桜が多いのである。白い花に緑の差す花びらは清々(すがすが)しく爽やかでもあり私はこれも好きである。品種としては大島桜の八重咲きなのであろう。
動物や植物に詳(くわ)しくないので美しい鳥の声や姿あるいは美しい草花に接してもその名が分からず残念に思うことがある。大勢の人がいても知っている人がいないとさびしいのと同じである。少しでも知っていることが増えれば少しは友だちが増えたような気がする。
サクラサク ー2022年4月1日の生田の桜ー
付記1
昨年クリスマスイブに受けた大腸内視鏡検査ではポリープ1個が認められ切除した。組織検査の結果は年明け1月7日前後に分かり良性(腺腫)だったので大事には至らなかった。医師からは前年より結果が良いので次の検査は2年後でよいと言われる。現在大腸は好調だが十分配慮しながら付き合いたいと思う。そう思いながら今宵(こよい)の酒の肴(さかな)を考えている。
付記2
本来なら生田緑地の枡形山(ますかたやま)に赴(おもむ)き一献傾けたいところだが希望の平日午前はスケジュール調整が難しかったので自宅で写真を見ながら花見を楽しんだ。因みにお酒は三千櫻(みちざくら)という北海道のお酒である。(昨年岐阜から蔵ごと転居した。)
(うるい酢味噌、アボカドと豆腐と若布(わかめ)のサラダ、姫筍(ひめたけのこ)と蕗(ふき)の煮物、鶏もも肉とカシューナッツの炒め物、鰤(ぶり)の刺身)
付記3
「原種」という言葉は2通り意味があり一つは「種子」の種類であり一つは「園芸品種」に対するものである。ここではもちろん後者であり品種改良や種間交配が行われて園芸品種が作られた場合に「野生種(Wild species)」をさしてこう呼ぶ。
付記4
最近つぶやいた曲
Tate McRae - she's all i wanna be (Official Video)
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