暦の上ではとっくに秋だが、神奈川県川崎市多摩区三田の界隈は、昼は蝉の声、夜は秋の虫の音が喧(かまびす)しく、一日のうちに夏と秋とが入り乱れている。
特に9月4日は南方から近づく台風の影響もあって昼の最高気温は35℃超。蝉たちも最後の力を振り絞って鳴き続けていた。
20200904の生田01 昼は夏、夜は秋
(長沢浄水場付近 ↑昼、↓夜)
新型コロナ禍でこの夏はまだ旅行に出かけていない。祭りや旅行など恒例の行事が中止になると、時間の流れの区切りが失われ、ふだんの生活がメリハリのない間延びしたものになってしまう。それは、いかにふだん人が既成の時間の区切りに依存しているかを表している。
時間の中に自らの手で新しい楔(くさび)を打ち込むべし。
20200904 02 生田の空
20200904の生田 昼の夏、夜の秋
付記1
例年は映画の振り返りを年末に行うのだが今年は映画を見る機会が多いので現時点である程度振り返っておく。
今年見た中では二つの作品が印象深い。一つは「クォ・ヴァディス」(1951 米)。ベン・ハーの先駆けとなる歴史スペクタクルで古代ローマが舞台となる。悪名高いネロが登場するが鑑賞後調べるとネロには善政の実績もあって一概に「暴君」とばかり呼べない面があることが分かった。
もう一つは「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017 韓国)。韓国映画はあまり見ないが、見るときには厳選されていることが多いのでハズレは少ない。1980年の光州事件を描いているがこれも鑑賞後調べると事件そのもの、そして登場したタクシー運転手の実像も分かり、それは映画のキャラクター設定とはかなり異なっているのだが、それはそれで感慨深いものがあった。(興味のある方は鑑賞後こちらの記事を参照ください。→『タクシー運転手』キム・サボク氏の長男「本当の父の姿を知らせたい」)
二つの映画に共通するのは観賞後の調査で歴史を知ることができた、いわば映画を二度楽しむことができた点である。映画は必ずしも史実に忠実ではないが、史実を知るきっかけになるという意味では存在意義がある。
以下、今年見た映画と寸評。
1月
「地獄の逃避行」(1973 米)
原題 badlands [荒地、不毛地帯]。心の空虚さが生み出す殺戮。
「舞踏会の手帖」(1937 仏)
かつて自分に愛を囁いた相手を振り返ること。予め失望が約束された旅路。それが人生。
「EIGHT DAYS A WEEK」(2016 英米)
ビートルズが自らの内面を歌っていたことがよくわかる。永久保存。
3月
「男性の好きなスポーツ」(1964 米)
社長のカツラの使い方が素敵。
4月
「アウトブレイク」(1995 米)
感染症拡大阻止のために一都市を爆破しようとする米国政府。
「ライアーライアー」(1997 米)
嘘をつけなくなった嘘つき。
「ウインドトーカーズ」(2002 米)
米国先住民族の誇りと友情。
「おみおくりの作法」(2013 英伊)
原題は「Still Life〔静物〕」。死者は静物か。人を見送るとはどういうことか。永久保存。
「ラスト・ウィークエンド」(2014 米)
息子のボーイフレンドの歌うトゥーランドットに聴き入る母は少しずつ心を通じ合わせていく。
「真珠の耳飾りの少女」(2003 英・ルクセンブルク)
少女は絵心を解していた。17世紀オランダの風俗・街並み。フェルメール家の緊張感。
5月
「ミモザの島に消えた母」(2015 仏)
主人公が父に憤るまさに同じことを我が子にしていることに気づくシーンが印象的。
「終電車」(1980 仏)
愛とロマンスの同一と差異。
「ガンンジスに還る」(2016 印)
死はどうしたって思い通りにはやってきてくれない。
「セトウツミ」(日 2016)
5分で時間の無駄に気づき鑑賞中止。
「ほとりの朔子」(2013 日米)
それでも若者は道をさがす。
6月
「遥か群衆を離れて」(1967 英)
ジュリー・クリスティーと行く19世紀英国田舎遠足。
「墨攻」(韓日中 2008)
軍略から言葉へ。墨守の原義は異なるが。
「審判」(1962 仏・伊・西独)
現実という悪夢。人間の不安と欲望。永久保存。
「バトルロワイヤル」(2000 日本)
若者に対する大人の憎悪。
「欲望という名の電車」(1951 米)
マーロン・ブランドよりヴィヴィアン・リーが怖い。永久保存。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(伊 1942)
愛欲が招く不幸。ヴィスコンティのネオリアリズム時代。
「情婦」(1954 英)
大どんでん返しが感興につながらないデートリッヒのサスペンス映画。
「予期せぬ出来事」(1963 英)
この映画でVIP(原題)の気持ちが分かるかもしれない。エリザベステイラーの美貌。
7月
「引き裂かれたカーテン」(1966 米)
ポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースを楽しむ。ヒッチコック。
「グラン・プリ」(米国 1966)
カーレース映画の最高峰。現代のギリシア悲劇。永久保存。
「翼よ、あれがパリの灯だ」(米 1963)
出来のよい飛行機を作る工場の社長はヒマなのでバーナーでランチ用の鰈(カレイ)を焼く。
「八月の家族たち」(米 2013)
アメリカのアッパーミドル家庭のまがまがしさ。救いの無さが救い。
「しあわせの隠れ場所」(2013 米)
実話ベースの美談は現代アメリカの暗部も描く。
「天地創造」(1966 米・伊)
ノアの方舟に動物のつがいを乗せるシーンが楽しい。永久保存。
「ファイアー・フォックス」(1982 米)
マッハ5の戦闘機搭乗の疑似体験。劇中ほとん音楽がないのがいい。永久保存。
8月
「パーフェクトワールド」(1993 米)
「正直、私を撃ったのがお前でよかった」。ファンタジックなオープニングシーン。
「恋人たちの予感」(1989 米)
男女間の友情と愛情。期待しないで見てみると意外と面白い。
「マーニー」(1964 米)
盗癖のある女を愛してしまう男。ヒッチコック。
「クォ・ヴァディス」(米 1951)
クリスチャンのヒロインとローマ帝国将軍のロマンスの行方と暴君ネロ。永久保存。
「ハリーの災難」(米 1955)
死んでから酷い目に遭う話。ヒッチコック。
「ジェナンドー河」(米 1965)
「なぜ戦った?」「脱走より楽だから」。南北戦争下戦闘を拒否した家族の苦難。永久保存。
「戦場」(1949 米)
軍隊は「水が合う」人がいるのは「戦地では宗派や出身地は関係ない」からかもしれない。
「史上最大の作戦」(1964 米)
現代の叙事詩。原題は「最も長い日(The Longest Day)」。永久保存。
「ワンダフルライフ」(1999 日)
死を受容するための生と死の「間」という空間。
「ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場」(1986 米)
ヴェテラン軍人の存在証明。
「ニノチカ」(1939 米)
「思い出は検閲できません。」グレタ・ガルポってこんな硬い顔してたか?!
付記2
最近の朝食…パンはクルミとレーズン入りのイングリッシュ・マフィン。サワー種を使っている。本来ライ麦に使うサワー種だがこちらの原材料は小麦粉。サワー種を使ったパンは乳酸菌が発酵の段階で生産する乳酸により独特の酸味・風味をもつ。今日はカッテージチーズとキウイをのせた。サラダはレタス、トマト、リンゴ、バナナ、アボカド、マヨネーズ、蜂蜜、米酢、オリーブ油、ドライフルーツ(アプリコットとレーズン)。
付記3
最近聴いた曲
Taylor Swift - cardigan (Official Music Video)
Charlie Puth - Girlfriend [Official Video]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます