ちなみに吾輩は羊羹好きではない。しかし、羊羹が嫌いではない。酒好きだが甘いものも好きである。特にチョコレート。しかし、バレンタイン・デーに義理チョコ以外もらったことがない。(そんなことはどうでもいい。)
ということで、今年10月ぐらいにいただいた羊羹である。
東北大学附属図書館には「漱石文庫」なるものがある。これは、漱石の没後、愛弟子の小宮豊隆が館長をしていたことから、漱石の蔵書を移し、その後諸資料を加えて現在に至ったものである。
当羊羹は、漱石没後100年(平成28年)と生誕150年(平成29年)を記念して、当館と白松がモナカ本舗(仙台)とが共同企画、販売したもの。
今日、ようやく食べてみた。以下はそのレビューである。
まずピーナッツ羊羹から。
はじめピーナッツジャムのような味がするが、次第に炒り豆のような香ばしさが出てきて、なかなか面白い。漱石らしい一癖ある味わい。
次に紅茶羊羹。
しっとりした舌触り。あまり味を感じないが底の方から湧き出てくるような紅茶の風味。奥行き、深みのある漱石文学の味わい。
どちらも上品ながら一癖ある味わい。漱石らしいかな。
なぜピーナッツなのか。なぜ紅茶なのか。包装紙に書いてある。
漱石は持病の胃潰瘍のため禁じられていたにもかかわらず、「南京豆の油揚げ」(ピーナッツ)が好物で、こっそり食べていたという。
紅茶は、彼の作品中にもたびたび登場しており、英国嫌いだが紅茶は好きだったのだろうとのこと。
* * *
羊羹とは「羊」(ひつじ)の「羹」(あつもの…肉や野菜を煮た熱い汁物)、と書く。wikiによれば、元々中国で作られた羊の肉を煮込んだスープが、鎌倉・室町時代に禅僧によって日本に伝わった際、肉食を禁じられていたため、羊の代わりに小豆を使って作られ、これが現在の日本の羊羹の原型になったという。
それにしても羊羹など久々に食べた。濃厚な味を予想していたが、上品な甘さで、くどくなく食べやすい。緑茶とともにいただいたが、「ほっ」と心が落ち着く。漱石のペーソス、羊羹の歴史、東北大学と漱石の関係を振り返る。そんなひと時を味わわせていただきました。
ありがとうございます。
20171225 吾輩ハ羊羹好キデアル 今年のいただき物 お菓子
付記1
漱石が羊羹好きであったかどうかについては定かではない。
付記2
現在購入できるかどうかは不明。(たしか限定数販売。)白松がモナカ本舗のHPには特設サイトがあり、その中の河北新報の今年11月の記事の引用中に同商品の広告があるので、もしかしたらまだ在庫があるかもしれません。
→白松がモナカ本舗HP
→河北新報記事(引用)
付記3
東北大学附属図書館HPにおける紹介
→東北大図書館と白松がモナカ本舗が「漱石文庫」オリジナル羊羹を共同企画
付記4
wikiによれば、羊羹は和菓子のなかで「棹物」(さおもの)に数えられ、数え方も「一棹」(ひとさお)、「二棹」(ふたさお)と数えるという。ちなみに箪笥(たんす)も「~棹」(さお)と数えるが、これは江戸末期の箪笥が長持の金具に棹を通して担いだものであることからそう呼ばれたもののようである。
付記5
これと一緒に「あきう羊羹」もいただいた。
「大納言」「塩竈もしお」「黒胡麻」の三種類。すっきりした味わい。水羊羹に近いなめらかさ。澄んだ味。これも美味しかったですね。手軽に食べられる一口サイズであるのも良かった。脳が疲れた時のエネルギー補給にも使えるのではないでしょうか。(販売:井ヶ田製茶株式会社、宮城県仙台市青葉区)
付記7
さらに一緒にいただいのが「仙台ずんだせんべい牛たん入り」。「ずんだ」と「牛たん」の入ったせんべい? 食べてみた。言われればそんな気もする(苦笑。味は無難に食べられる味。山葵が効いているのか、甘さや塩辛さ控えめ。お茶請けにいいですね。(青葉亭、仙台)
付記8
昨日「電車の中でたまたま聴きました」、とツイッターでつぶやきました。この歌は甘くはない。
満島ひかり 『群青』
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