ゆるふわ屋。 - 鏃キロク・若林浩太郎のブログ -

シナリオライター若林浩太郎のblogです

スクリームの人、哭く

2009年08月23日 21時40分51秒 | 雑記
ニコニコ動画で有名になった
ヴァイオリン奏者「スクリームの人」のライブに行って参りました。

そんな人は知らないって?
コチラを観れば「あっ」と分かるかもしれない。


知らない方にオススメすると、
ここら辺なのかな・・?

イース2のOPをヴァイオリンで弾いてみた ver2.5(more acoustic)



蒼穹のファフナー・Shangri-laをヴァイオリンで(ピアノ伴奏ver)



創聖のアクエリオンをヴァイオリンで弾いてみた Ver.魔界大冒険



モザイクカケラをヴァイオリンで弾いてみた



興味があれば、マイリストを覗いてみると
「あ、この曲知ってる!」ってのが、あるかも。

ゲームBGM・アニメの曲をメインに何でも弾いてはります。


こちらもニコニコ動画で有名になった
ヴァイオリン奏者(&ヴォーカル)のウサコさんらを含めた
「魔界弦楽団」としても活躍してるので、
そのメンバーをご存知の方も多いかもしれません。


今回のライブでは、
ウサコさんがゲストの1人として来てはりました。
他にもsenseiさん、Quadさんがゲストとして参加。

豪華・・なのかは正直、分からないのですけれども
1人「この人がライブやる!」っていうので
ライブハウスを数時間、貸し切れるのっていうのは凄いネームバリューだなと思います。

たいてい、幾つかのバンドでシェアして
オールスタンディングみたいですから。


事前に定員の120席分、椅子が用意してあって
座った状態でリラックスして演奏やら小芝居やらを楽しめたので非常に良かったですよ。

自分は「スクリームの人」ご自身のファンではないので
行く前は「生でヴァイオリンのライブって初めてかもしれないな。
どんな感じなんだろう」ってなもんだったんですよ。


でも現地に着いて3時間前後、
その時には「来て良かった」って心の底から思いました。

ライブハウス入りする時にアンケート用紙を渡されて、
そこに感想欄があったのでライブ中に
「こう書こうかな、それともああいう風に書こうかな」なんて思う場面もあったんです。


けど上手いこと書こうとする必要なんて、微塵もないなって
終わってみてそう思えたんです。

音楽評論家でもないし、ライブに足しげく運んだりもしない、
ニコニコ動画も自分から観に行く事が少ないので他の動画とも比べられない。

唯一無二とか書くと大袈裟に見えると思うんですけど、
ライブって生で、時間って(いつもは無意識に過ごしてても)いつでも換えのきかないもので……


スクリームの人はプロじゃないので、ライブ等をやる時は
有志が様々なサポートをしてらっしゃるそうです。

そういう人達が手作りで作ってるライブだからこそ出る味みたいなものがあって、
決して完成されてないままの、けれど伝えたい「何か」、
言葉では伝えられないからこそ音楽にする「何か」を、そこで受け取りました。


そんなファンの中でも、初期から支えて下さった方が
ついこの間、亡くなったという話を途中でされて驚きました。

自分も身内が逝くし、今年は何かと訃報が絶えませんね・・
その時のむせび泣くスクリームさんを見て
「ああ、こういう感謝の気持ちが、この人を動かしてるんだろうな・・」って
人間として共感を覚えたり。

あらためて仮面を被り、座ったまま奏でた「ダイヤモンド・クレヴァス」ら2曲は
逝ってしまった、その人への葬送曲だったのでしょう。
きっと、ご本人もあの会場に居て、喜んで聴いてたんだろうなあ。


さて。


スクリームさんの演奏を聴いてて、漫画「ベルセルク」で登場する
ジュドーの台詞を思い出しました。

「最初から何も願わない奴なんて居ない。
けど、俺は一番になれなかった。
だから、一番になれる奴のそばに居ようって決めたのさ」

うろ覚えなので正確じゃありませんけど、だいたいこんな感じ。


もしかしたらスクリームさんは、一番になれる奴が欲しかったのかもしれない。
だから仮面をつけて、それになってみた。

仮面をつけて演奏している間、
スクリームさんは「スクリームの人」になれる。

しかし、ご本人の真骨頂は仮面を脱ぎ捨てた時です。
名もなき1人のヴァイオリン奏者として演奏に集中した時、
それまでのリミッターが解除されて別人になったかのような錯覚を覚えました。


そりゃあ仮面をつけてるから視界も狭いし
息もしづらいんだから、外した方が演奏が上手くなるのは当たり前です。
でも、それでは説明できない何かを、まとっていたように見えたんですよね。



体調が悪くて2次会には出られなかったのですが
そのおかげでか、ステージ上でスクリームさんとウサコさんと握手しました。

「来て良かったです」と言うと嬉しそうに笑ったスクリームさんの顔が、
とてもとても印象的でした。


同じように言うとウサコさんは「グダグダな進行ですいません」と返したので
「それも含めてこそ、じゃないですか」と自然に口をついて出ちゃいました。

何故か名札を確認されたので、
お気分を悪くされてなければ良いなぁと思いながら会場を後にしましたとさ。

自分は良い意味で、好きで集まってくれたスタッフ、
観客が混然一体となって出来上がったライブに良いも悪いもないと思ったから言ったんです。
(そんなの補足する時間あるわけないです、はい)


ただ伝える側としては「もっと、こうした方がいいなあ」とかいう欲は
当然あると思うんです。やってて「まーこんなもんかな」っていうんだったら
きっと次のライブに参加しても、何か物足りない感じが残ると思うんです。

支えてくれる色んな人達に感謝しながら、
地道にコツコツと活動して、自分なりの上(目標)を目指している、
そんな人達がここにも居る。

自分も負けてられないな、なんて……良い刺激を受けましたよ。