「おおきく振りかぶって」がアニメ化されて、
ご存知の方も多いかもしれません…
月刊漫画雑誌「アフタヌーン」の存在を。
アニメ化され、作者自身も有名な
藤島康介の「ああっ女神さまっ」という
看板タイトルをはじめとして。
実写映画が海外でも高い評価を受けた
「蟲師」や、アニメ化された「げんしけん」。
その「げんしけん」のスピンオフ的な作品として
生まれた「くじびきアンバランス」は
テレビアニメだけでなくOVAにもなっているようです。
……と、人気作品が目白押しのアフタヌーンで
次にアニメ化されるタイトルが決定しました。
それは「しおんの王」、将棋漫画です。
こう書くと「月下の棋士」なんかを思い浮かべる人も
居るかもしれませんが、この漫画が他のそれと違うのは
将棋がメインでありながらジャンルがサスペンスだという点です。
・女流棋士・しおん
まあ、主人公は可愛い女の子じゃないと!
っていうことで? いや、そんな単純な理由かどうかは
分かりませんが、この漫画の主役と言ってしまって
過言ではないのが3人の女流棋士です。
まずは主人公・安岡紫音(しおん)。
幼い頃に両親を目の前で惨殺され
その時のショックで喋れなくなってしまったという設定。
一人残されたしおんは、隣の家に住んでいた
プロ棋士・安岡夫婦に引き取られ育てられます。
14歳になった今、とあるきっかけで
女流棋士が注目されることになり…男女の垣根を越えた
トーナメント戦に出場することになります。
しかし、彼女の周りでは常に何かが起こっています。
あの事件を忘れるな、お前を幸せにはしない…
そう言っているかのように、稚拙な嫌がらせから
彼女の心をかき乱す悪質なものまでが多発します。
彼女の両親を殺したのは誰なのか、
それは今回のトーナメントと、いったい
どういう関係があるのか。
事件の謎をややメインに置くことで、
将棋を詳しく知らない人でも楽しめるように
作られています。
・しおんの葛藤
何より大事なのは、主人公のしおんが
感情移入しやすいキャラであり続けられるよう
浮世離れしすぎないように図られているということです。
将棋の話ばっかりになると、棋士が持つ独特の
悩みで葛藤します。それはそれで
ドラマになるかもしれませんが、
読者からして分かりにくくなってしまいます。
そこで、不穏な動きが周りで起こり続けることで
分かりやすい悩みを抱き続け
純粋な心の持ち主である、しおんの心は揺れ続けます。
その葛藤が、この漫画をドラマとして十二分に成立させています。
・しおんの脇を固める魅力的なキャラ達
主人公・しおんと、それ以外の2人の女流棋士を含めた
3人がこの漫画の主役です。
まずは二階堂沙織(にかいどう さおり)。
セーラー服を纏った姿に長い黒髪という伝統的な
王道のお姉さんキャラです。ちなみに女子高生。
名人・羽仁(はに)に師事してきました。
しおんの兄弟子に好意を寄せられていることに気付きながらも、
自分は一途に名人に想いを寄せ続けています。
羽仁には弟がおり、ことあるごとに
しおんに嫌がらせをしてきます。
事件の最有力容疑者ですが、さて……そうすんなりと
結びつくでしょうか。
そして、斉藤歩(さいとう あゆみ)。
ツインテールに眼鏡という、或る意味
ツボの人にはたまらない女流棋士です。
彼女との戦いがしおんに大きな変化をもたらします。
その変化は大きなうねりを生み出し、
女流棋士たちへの刺激となっていくわけですが
彼女自身には大きな秘密があって……。
しおんにとって、気になる相手でもあります。
美しい女流棋士たちを取り上げるマスコミが
開催したトーナメント戦が進んでいくうちに
進化する彼女たちの技術。
開花する才能。
浮上する疑惑。
勝つのは誰なのか、果たして
新たな事実は浮かんでくるのか……?
アニメの放送時期は発表されていませんが、
まず間違いなく原作より先に終わるでしょう。
そうなると、原作とは違う終わり方をするだろうことは
目に見えているわけで。
アニメと原作、おそらく違う事件の真相と展開に
注目したいところです。