お江戸の目の前に広がる田んぼにある小さなお寺。そこにいるのは、流行(はや)り病で父も母も死んでしまってこの寺に引き取られた子どもたちです。
「スイカを切ったから、こっちへおいで」
お母さん代わりの女の人の声に、3人の子どもたちはお寺の中へ入りました。子どもたちは、4つに切り分けたスイカを早く食べようと口にほおばっています。
「母ちゃん! いつもありがとう!」
「みんながおいしく食べてくれるので、あたしも本当にうれしいわ」
お千代は、この寺で子どもたちのお母さん代わりとなっています。まわりにいるのは、8才の女の子・みよと9才の男の子・佐次郎(さじろう)、そして11才の男の子・勘太(かんた)の3人です。