榎田尤利さん原作2006/08/28発売の
☆執事の特権を聞きました。
良かったです。
榎田尤利
さんは昔から私の大好きな作家さんの一人で、繊細な文章力が素晴らしくてキャラ作りがとても丁寧な作家さんです。
そして、「精神的な問題」という深いテーマがちょこちょこ顔を出す作家さんですね。
今のようにBLという言葉さえまだあまりなかった頃、90年代JUNE系・耽美系と言われた時代。
私が「小説JUNE」を毎月読んでいた頃です。
(その後10年くらい離れてました)
そのころ秋月こお先生、榎田先生、剛しいら先生、それから大御所の吉原理恵子先生。栗本薫先生、そんな方々が執筆されていました。漫画では初田しうこ先生(今は改名されてますね)や西けいこ先生、吉田秋生先生…そういう方々がまだ新人扱いでした。(は~豪華すぎる)
(今じゃマガジンマガジンは地に落ちてしまったような感がありますが・・・)
前置きが長くなりましたが、この方の本は欠かさず読みあさっていたのを覚えています。現在も生き残っているというのはやっぱり実力が伴っていらっしゃるからだと思っています。
キャスト様は
乃木坂乙矢: 野島健児、原田仁:杉田智和(初カップリングですね)
富益一蔵:堀内賢雄、乃木坂慶史郎:青山穣
島津:志村知幸、余市健祐:山中真尋
弟分:間宮康弘、受付嬢:金野恭子
となっております。
発売元は
Atiscollectionなんですが、ここは制作や音響をインターさんがやっているので、安心しました。ふう。
(だって好きな作家さんのを変な演出でやって欲しくないもん)
発売元のページでインタビューやアフレコの様子が見れます
潔癖性で人を寄せ付けない乃木坂製薬経営企画室本部別室室長で会社のトップの孫の乃木坂乙矢。
営業でここの会社に就職したはずだった原田仁はなんとも特別秘書兼執事候補になってしまいます。
それもこれも執事の富益一蔵の差し金。
富益はご主人様のちょっとした特徴を話し始めます。手袋を絶対に着用だの云々……。
む?と思いつつも富益に丸め込まれて結局見ならい執事になる原田。
でもご主人様にあった原田はいきなり
「わたしに触るな…」と命令されます。
そして何度も呼び出しをかけられ、クリップが落ちては拾えだの、なんだの一日中こき使われます。
汚い汚いといって手を何度も洗うご主人。
むかむかする原田ですが、富益曰く「気に入られてる証拠」だと。
訝しがる原田。
ある日火事が起こり、原田が室長を助け出すのですが、身体に触らずにいかなかった原田。
室長はひどいじんましんに見舞われ大変なことになってしまいます・・・。
落ち込む原田。
そんなとき富益が人間ドックで腫瘍ができたといって家を空けることに。富益がいないとなにもできないと焦るご主人様。
原田は一計を講じてチェスをするときにも秘密兵器を使って頑張ったり。
(可愛いのです^^)
大会社ということで企業内のトラブルに巻き込まれていくご主人様。
そして隠していた心をも暴かれそうになるご主人様(涙)。
無事に原田に救い出されますが・・・・
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そんなところです。
いや~泣けます
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これこそ榎田ワールドです。
簡単にメンタルヘルスだのトラウマだのをテーマにしたBLがあふれかえっている昨今。
この人は本質を分かってるな~といつも思います。
隠されたテーマは言葉になって出てくる「強迫性障害」だけでなく、親からの愛に飢えた癒されない心とそれによる見放され不安だと私は思いました。
自分は汚い、汚い、汚いと思い込んでいるご主人様。
手袋という小道具は自分の汚さを隠すための象徴。
人を受け入れられないのは、見放されるコトへの不安の裏返し。
・・・・
錯乱する野島さんのシーンには、思わずこっちまで動悸おこしそうでした
繊細なご主人様の声に野島健児さんの声はぴったりです。
人を突き放すときは、冷たく、そして錯乱するときは激しく、心の奥深くを(まだ子供のままなんでしょうね)見せるときは、非常にたどたどしく。
素晴らしい演技でした
杉田さんはノーブル系の声
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昨日ラブ・プリズム聞いたときにゃ悪代官みたいでしたが、まっすぐで誠実そうで、でも若者らしくすねるときもあって。
良い声でございました。
二人の距離が縮まっていくところは本当に聞き応えがあります。
で、
絡みなんですが、
泣かせたあとにしっかりエッチなのが榎田ワールドですよね。
野島さんの泣きそうな声が切なくて、杉田さんの声が優しくて・・・。
野島健児さんの声って、ほんとこういう役はまり役だなあと思います。
色っぽくて切なくて……
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息も絶え絶えな野島さんの演技(とは思えないくらい素敵でした)にやられました
で、堀内賢雄ファンとしては書かずにおられない、
富益執事~~~~65歳。
いい、いいです。
普段の二枚目ボイスより3トーンくらいおじいちゃん声で、ゆっくりとしたしゃべり。設定が65ですからね~
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そしていろいろとキーパーソンなのが美味しくてにやり、です。
社長!グッジョブ
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です。
私は二枚目な堀内賢雄さんも大好きですが、脇でにやりとさせる「役者堀内賢雄」も大好きなんですよね
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引き出しを沢山作ろうと思っていると再三おっしゃっていたケンユウさん。
いい感じです。
しかしさぞ、収録大変だったでしょうな~。
阿部さんから声が若くなってると何度も言われたというのもよく分かります(笑)。
原作も、CDもお勧めなので、是非。
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