「イグアナの娘」2000/11/16
萩尾望都
前回の記事を書いたあと、さっそく萩尾先生のコミックを何冊か購入しました。
いちばん気になっていた作品「イグアナの娘」
昔テレビドラマでやっていたのを見ました。
最初は作者が萩尾先生と知らずに見ていて
これはファンタジーなのかな?と思いながら最後まで見ましたが
なかなか素敵なドラマだったと思います。
100分で名著のスペシャルで紹介されていた作品のひとつでもあって
実は母と娘の葛藤を描いていた作品と知って、今回興味津々で手に取りました。
短編なのですが、これはかなり心が痛くなりました。
主人公のリカは母親から見るとイグアナに見えてしまう...
どうしてもリカを愛せない..
リカの妹のマミのことは、人間の女の子として見えるし可愛い。
そこで姉妹の差別が始まる。
けれど母から愛されたいと思うリカ..
どうしても分かり合えない母と娘...
100分で名著のインタビューで
萩尾先生もまたずっと母親との関係に悩んできたのだと知りました。
マンガ家としてあんなに成功したのに、母親からはマンガをやめなさいと言われ続けてきたそうです。
こんなに分かり合えないのは、私が宇宙語をしゃべってるんじゃないか?
もしかしたら人間じゃないかもしれない..
そこで作品の中に、片っぽを動物にしてしまえばいいと思ったそうです。
話の中でリカに恋人ができて、長風呂をするシーンで
ぐずぐず入っているなと母親から怒られるところなど、本当に悲しくなってしまいました。
リカが幸せになるのを許せないのか?
その時の恋人とは別れて、3浪して同じ大学に入学してきた牛山さんと
卒業と同時に結婚して子供を授かるのだけれど
愛情が全然わかないと悩む、そしてさらに子供を憎んだり嫌ったりしたらどうしようと思う。
その後、母親が心不全で急死
枕辺で見た夢で何かが浄化された..
最後にリカは自分の子供を愛せるようになって、ハッピーエンド💛
あ!でもリカの子供、どうやら男の子のようだ。
ちょっとそこが複雑な気が..
女の子だったら果たしてハッピーエンドになったのかな?
ひねくれていてスミマセン💦
このブログは備忘録も兼ねていますので、ここからは自分のこと..
私自身と重ねて、この物語を読みました。
私もかなりひどい兄弟差別を受けて育ってきて
それなのに、母の愚痴の聞き役はいつも娘の私でした。
それは、結婚して家を出ても続き、母の期待通りにならない私に
母は自分は悪者にならないように「お父さんがこう言ってた」「叔母さんがこう言ってた」と言ってくる。
だんだん話すのが嫌になってきて、自然と距離をとるようになりました。
本当はちゃんと私の気持ちを言うべきだったのか?
差別されて悲しかったこと、愚痴の聞き役が嫌だったこと、その他いろいろ..
母が亡くなった後、どうにも複雑な思いを抱えるようになりましたが
たぶん、言わなくて正解だったと今は思います。
分かり合えるなんて、それは私の希望的観測で
下手したら絶縁なんてこともありえたかもしれないし
そうならなかったことを良しとすることにしました。
あまりにも自己肯定感が低い私でしたが
最近になってやっと自分が選んできた選択は、間違っていたこともあったかもしれないけれど
その時その時に、最善の方法を直感で選んできたように感じます。
つい答えを見つけたくなりますが
わからないことってたくさんあります。
特に他人の心はわかろうと思うこと自体思い上がりではないのか?
そんなことを思う日々です。