【武田邦彦、緊急論述】 原子力発電の安全基準とは?専門家の見解・全【必読】
原子力発電の安全基準について武田邦彦氏の緊急論述です。
その1その2その3を全文を、転載引用、必読です。。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
緊急論述:原子力発電の安全基準とは?専門家の見解 その1【武田邦彦】
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規制委員会の新しい原発の安全指針が
パブリック・コメントの時期を迎えま
したが、その内容は極端に貧弱で、
このことを多くの人がコメントを政府に
出す必要があると思いましたので、少し長いのですが、
「このまま原発の基準が決まったら、危険なことになる」
ので緊急で掲載しました。
パブリッ ク・コメントを出すご参考になればと思います。
できるだけ普通の用語を使って話します。
・・・・・・・
2012年の福島原発事故はなぜ起こり、
なぜ恐怖をもたらしたのだろうか?
日本のもっとも重要なものの一つであり、
国民の一人として、また科学者と して見解を示したい。
長大となるが必要な点は網羅した。
まず、それは次の 7項目にまとめられる。
この重要なことが基準に入っていな ければならない。
1) 固有安全性と多重防御という2大概念を設計に取り入れていなかった、
2) 事故時の被曝限界を決めておいたのに、
真剣に守ろうとはしていなかった、
今、被曝限度不明のまま、基準が決まろうとしている、
3) 「想定外の事故」に対して責任を持たなくても良いことになっていた、
4) 危険だから東京でつかう電気を新潟と福島で
作っていたのに安全だとしていた、
5) 原発からでる廃棄物をどうするか決まらないまま運転していた、
6) 事故が起こった時、何をすれば良かったか決まっていなかった、
7) 低線量被曝による健康被害が明確になっていなかった。
原発に少しでも関係した専門家なら、
この 7つの未解決課題があることに合意 できるだろう。
だから、この7つの課題に対して明確な回答をせず、
原発を稼働させるのはきわめて危険である。
原発は巨大なもので、広島原爆と比較すると
数1000倍の放射性物質を保有して運転している。
だから、ひとたび爆発すると、福島原発のように、
日本の 国土、子ども、そして経済に対して甚大な影響を与えることなる。
よく、「原発を再開しないと日本経済に甚大な影響がある」と言われるが、
それは「原発が事故を起こさないなら」という前提に基づいていて、
そのためには「安全に稼働させるための基準の存在と実施」
が前提であることも言うまでも無い。
私は経済より日本の国土と子どもを大切にしたいが、
これは経済の発展、国の発展と同じである。
原発が危険なら、運転を継続することは
日本に大きな ダメージを与えるから、経済が発展することはない。
もしくは「戦争によって経済が発展する」と同じ論理で、
「人の幸福よりお金が優先する」という 哲学に基づかなければならない。
次回に、項目別に慎重に考えていきたい。
(平成25年2月1日)
武田邦彦ブログより転載引用
http://takedanet.com/2013/02/1_d748.html
☆緊急論述:原子力発電の安全基準とは?専門家の見解 その2
「comment021tdyno.63-(7:46).mp3」をダウンロード
「comment022tdyno.64-(7:46).mp3」をダウンロード
第一に、仮に原発がどんな事態になっても
原子炉自体が核爆発することはな いと言われてきた理由
:すなわち「固有安全性」について疑問が残ったままである。
このブログでも取り上げたが、
福島原発の爆発の後、なぜあれほど 必死に注水したのか?
(政府はなにを恐れたのか?)
原子力の専門家でなければ
「メルトダウン」という言葉に恐怖を感じたと思うけれど、
メルトダウンは放射性物質の飛散という点では危険では無い。
だから、何を恐れて政府が必死に水を掛けたのかまだ不明である。
3号機の爆発の噴煙が、
なぜ上空に昇ったのかが明確に説明される必要がある。
噴煙が上方に上がるためには
原発建屋の下部で爆発が起こらなければならず、
原発下部には酸素が不足するはずなので、水素爆発の可能性は低い。
一方、原子炉が再臨界に達したとすると、
原子炉は破壊されているはずだが、
破壊されていないと報道されている。
つまり、合理的な説明が無いままである。
また誰が報道統制しているのかも不明だが、
4号機の爆発映像は定点カメラで福島中央テレビや
NHKが保有しているはずだが、公開されていない。
人命と今後の大きな選択に関係するのだから、
国民の知る権利の大幅な違反である。
また多重防御については、それが原発の安全の基幹であると
繰り返し述べられたにもかかわらず、
現実は福島原発、他の原発を含めて
多重防御になっていないことが明らかになった.
このことについて「詐欺罪」を検討し、
誰がどのようにウソをついたのか、
そのウソは今後の再開に問題が無いのかを
明ら かにしなければならない。
体罰問題などであれほど報道をくり返すマスコミは、
2011年の大事故と今後の日本の将来に大きな影響を与える、
この巨大なウソをまったく追求してい ない。
核爆発系、電源停止系、テロ系、
多重防御系および人為的事故系について、
「多重」とは「何重」なのか、具体的にそれぞれについて、
どのような「多重防御」が施されているかも曖昧である。
・・・・・・・・・
次に、安全設計には具体的に
「どういう状態を安全と言うのか」
ということが決まっていないとできない。
素人なら「おおよそ安全」ですむけれど、
工 学的には、基本設計はもちろん、制御系や機器の信頼性、
鉄板の厚みからはじめてすべての設計は
基本として守らなければならない「数値」が必要であ る.
これまでは、その基本となる数字は
「通常時 1年1ミリ、
1万年に1度の頻度で起こる事故に対して5ミリを限度とする。
原発敷地境界で 0.05ミリ」となって いたが、
福島原発事故ではあらかじめ決まっていた基準の根幹を
いとも簡単に放棄した.これでは安全設計は意味が無かったことになる .
現在進んでいる規制委員会の基準に
「守るべき数値」が表面にでていない .
仮に「政治的に明らかにできない」という状態で
安全基準を決めるなら、また 危険な原発を動かすことになろう。
特に規制委員の中には中村委員のように
「 1年20ミリまで大丈夫」と繰り返し
法令や今までの安全基準のもとになる
数値を否定している委員がいる。
自らの信念から発言しているなら、法令改正を先にしなければならない。
このままでは「国家の要職になりたいために政府にゴマをすった」
と言われても仕 方が無い。
日本のように原子力発電所が海岸線に建設されている場合は、
海への放出限界も決めておかないと安全設計はできない。
2011年の事故では「無制限に海に放流できる」
という方針のもとで行動していたが、
常識では考えられない ことである。
第三に、2006年の原子力安全委員会の場で
「想定外の事故が起こりうること、
大量の放射性物質が漏洩し、国民が被曝する」
が明記された文章が配られた.
この記載は原発の安全性の基幹に触れるもので、実に重要であり、
私も質問したが回答は明確では無かった。
当時、この文面がどの段階(安全委員会?首相?閣議?)まで
承認されてい たのかを明らかにし、
それが現在も継続しているのかについての
情報を公開 する必要がある。
「想定外の事故なら被曝はかまわない」という
内容だからきわめて重要だ。
また、安全を保つという点では、
「想定外」が任意に決定されるなら事故のもとになる。
事故の確率の議論では1万年に一度以上の事故を想定しているのに、
1000年に一度の事故を「想定外」としたのだから、
この問題は明確にする必要がある。
つまり、今回の地震や津波は1000年に一度であると言われているが、
安全設計では1万年に1度の事故を想定していたのだから、
実は、 2011年の事故は想 定内の事故であったことは間違いない。
安全基準というのはどのような場合 を
「想定外」というのかもハッキリしておかないと意味を持たない.
(平成25年2月1日)
武田邦彦
武田邦彦ブログより転載引用
http://takedanet.com/2013/02/post_92c0.html
☆原子力発電の安全基準とは?専門家の見解 その3
武田邦彦ブログより
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緊急論述:原子力発電の安全基準とは?専門家の見解 その3
「comment03tdyno.65-(8:52).mp3」をダウンロード
第四に、原発の安全に関する 3つの大きな「論理的矛盾」を
新しい基準で解決 しておく必要がある。
まず、東京で消費する電力を 300キロほど離れた新潟と福島で製造し、
送電線 で東京に送っているのは原発が危険であるからに他ならない.
現実に著者が 安全委員会の専門委員の時に強く感じたことだったが、
安全投資が議論され る時には
「どうせ、地方に作るのだから危険でも良い.
そのことは金をもらっ ている地方はわかっている」
という暗黙の了解があった。
このことは一見、「経済的」に見えるが、
それが今回の福島原発事故の一因 になったことは間違いない。
地方に作るのだから危険でも良い、
その分だけ 危険手当を出しているのだから、
というのは安全技術上は最も忌避しなければならない考え方である.
「これなら原発は安全だ」という基準は「東京に作っても」なのか、
「地方 なら」なのかをハッキリ明記する必要がある。
もし「東京に作っても安全」 と明記されたが、
次の原発は、東京、大阪、名古屋にまずは作るべきである。
福島の人は「お金が欲しくて危険を承知で原発を誘致した。
大人ならお金を もらえばそれが危険手当であることぐらい知っている」
ということは多くの人が心の底に持っていることで、
それを福島の人への非難には使いたくないが、
これからの被害を無くすためには福島の人も
どのように考えていたかを明らかにして欲しい。
「安全を信じていたが、お金は受け取った」
というのは理屈に合わない。
立派な人は「理屈に合わないお金」は
「自分のプライドに反するお金」は受け取らないのは
日本の文化でもある。
堅気の女性は自分の体が目当てのお金を受け取ることを拒否するはずだ。
第5項目では、現代の日本の工業界において、
新設工場から出る廃棄物を
その実施者が自ら処理できない状態で
運転が認められるというのは、、おそらく原発だけだろう.
水俣病の例を挙げるまでも無く、現代工場はその原料から製品、
廃棄物に至るまで100%の責任を実施者がもつからこそ事業である .
日本の電力会社は巨大で、人材も豊富、
研究費も電力費の0.15%をあてるという好条件にあるのだから、
自ら廃棄物の処理をするのは当然である.
今、日本には原発の使用済み核燃料が 130万本あると推定されるが、
この危険 な廃棄物を子孫に送るのは不適切である。
「危ない者は子孫に」という考え 方は日本の文化には無い。
すでに2012年にはアメリカの新規原発が
「廃棄物をしまうところが特定され ていない」
という理由で建設を止められている。
電力会社は自らの行動に責 任を持ち、
原発を再稼働するなら廃棄物の処理と埋設を
自らの力で実施することは最低の義務であるし、
社会も電力に甘くすることは日本の発展に良い ことでは無い。
私は「子どもを守る」という点から、
「危険だから核廃棄物は子どもに任せる」
という考えを到底、容認できない。
次に第6項目だが、
安全に万全を期している大型客船でも左舷と右舷に
すべての乗客を収容できる救命ボートを備えている.
原発事故に対しての救命ボートを備えずに
原発を再開するのは見識がないとされても仕方が無い.
福島原発事故を「教訓」とするなら、原発事故に備えて、
1)避難用のバス を準備する、
2)緊急時の住民の避難場所を確保する、
3)原子炉への注水 設備を強化する(必要な水量を注水できるようにする)、
4)疎開用の学校 を建設しておく、
5)食品・瓦礫などの汚染限度を定めておく、
6)除染方 法を技術的に確定しておく、
7)緊急時の赤ちゃん用の水を準備しておく、 など多数が未着手である。
福島原発事故後、電力幹部と話をしたら、
上記の 7項目などはまったく電力に関係がないという態度だった。
その理由の一つは、原発は国がやっているか ら国の責任だということと、
福島原発は「希な事故」であり、
二度と再び起 こらないという意識が見えた。
福島以外でも、
震度 6の地震で7発電所すべてが破壊されているし、
茨城の東海第二は全電源が止まって
爆発寸前まで行ったと言われている。
でもこれら は「闇の中に葬られている」が、
それは「電力は心の中では爆発があるだろうと思っている」
ことを示している。
どうしても、爆発時の準備が必要だ。
(平成25年2月1日)
武田邦彦
(C)武田邦彦 (中部大学) 引用はご自由にどうぞ
より転載引用、音声もコチラ↓↓
http://takedanet.com/2013/02/post_2e60.html