奥田 健次著 集英社新書 定価:777円(税込)

☆「人間は報酬がなくても行動することがある」と
☆考えている人が見落としていることにもお気づきいただけるだろう。
☆そもそも、「メリット」という言葉は、
☆「(目先の)利益」という印 象を抱かせるようであり、
☆「人間は自己利益のために行動している」と考えたくない人にとって、
☆受け入れがたいものなのかもしれない。
……………………………………………
【奥田健次の教育改革ぶろぐろ部】
NNNドキュメント'13『孤高の出張カウンセ ラー 自閉症の子どもたちとの500日』
http://kenjiokuda.cocolog-nifty.com/
奥田健次オフィシャルブログ
http://diamondblog.jp/kenjiokuda/
………………………………………………
『メリットの法則 行動分析学・実践編』
「ダイエット」「恋愛」「不安」……
あなたの行動、全てカンタンに説明できます
「すぐに弱音を吐いてしまう」「ダイエットに失敗する」
日常 ありがちな私たちの行動を分析するのに、難しい理論はいらない。
心理学のメインテーマともいえる
「なぜ、その人は○○をしてしまう のか」
という問いへの答えを「心」ではなく、
「外部の環境」に求 めるのが行動分析学だ。
「好子」「嫌子」「出現」「消失」。
あらゆる行動は、四つのキー ワードで分析可能であり、
不登校から潔癖症まで、様々な問題行動を劇的に改善することができる。
本書は、そうした改善の実例を豊富に揃えるとともに、
最新の知見も交えた実践の書である。
まえがき
以前、出演したテレビ番組で、
「人間は、その行動をした直後にメ リットが生じると、
またその行動をするようになるのだ」というテーマ から、
数ある心理学領域の中でもひときわユニークな「行動分析学」を紹介した。
番組ディレクターらは、視聴者にわかりやすく
「メリットの 法則」という番組用の造語を用いて、
行動分析学の専門用語を使わずに 番組を構成してくれた。
そのおかげもあって、
深夜帯であるにもかかわ らず大変な高視聴率であったという。
スタッフによれば、番組中にツイッターやら2ちゃんねるなどの
メディアでもかなりの反響があったそう である。
しかし、確かに視聴者にはわかりやすい
「メリットの法則」なのであるが、
一方では番組企画段階での予想通り、誤解を招いたところもある。
そもそも、「メリット」という言葉は、
「(目先の)利益」という印 象を抱かせるようであり、
「人間は自己利益のために行動している」と考えたくない人にとって、
受け入れがたいものなのかもしれない。
もしくは、人間は動物と違うので「報酬」がなくても
行動することがあると いう信念を持つ人も多い。
そうした感覚はおよそ真っ当なものである。
人間には、確かに人間以外の動物とは異なる特徴がある。
ただ、物事を印象や感覚だけでとらえることはよろしくない。
「人間 は、ネズミやハトなどの動物などと全然違う」
と言われる方にお聞きしたい。
「そうです、全然違いますね。では、
人間にもネズミやハトと共 通するところがあるとすれば、
それはいったいどんな部分ですか?
で きるだけたくさんの事実を挙げて下さい」。
このように問われると、どのように答えるのだろうか。
行動分析学には、多くの実験研究から膨大な知見が集積されていて、
そのおかげで、逆に人間が人間以外の動物と
どのような点で違うのかという知見についてもまた、
数多くの事実を明らかにしてきた。
そして、行動分析学が明らかにした行動の法則は、
それが人間社会に おける諸問題の改善に応用され、
大いに貢献していることもまた事実である。
集英社新書の杉山尚子氏のベストセラー
『行動分析学入門─ヒトの 行動の思いがけない理由』において、
その行動分析学の基礎から応用ま でが十分に概説されている。
本書では、行動分析学の基本を押さえつ つ、
日常生活上の諸問題から臨床事例を多めに解説していく。
もう少しやわらかく言えば、周囲の人や自分自身の
「よくある行動」に着目して 行動の原理に迫っていくので、
本書を読み終わってから杉山尚子氏の 『
行動分析学入門』を読まれると、きっと頭の中で整理できるようにな るだろう。
第1章の冒頭、頻発する発作で悩む親子への介入事例を取り上げるのだが、
こうした生理的・病理的な問題にすら、
行動分析学がどのように貢献できるのかをご覧いただき、
人の行動の裏に隠された法則を紹介した い。
それによって、「人間は報酬がなくても行動することがある」と
考えている人が見落としていることにもお気づきいただけるだろう。
本書では、数多くの日常例や症例などを取り上げた。
人間が目先のメ リットで動く場合も、そうでなさそうな場合も、
いずれも感覚ではなく、事実として行動分析学に対する
理解を深めていただければと願って いる。
特に、本書は行動分析学の諸原理だけで
強迫性障害などの精神疾患のメカニズムを解説した初めての解説書でもある。
全国各地、世界各 国を飛び回って数多くの臨床活動をしてきた中で、
思い出に残っている 事例から、行動の法則を浮き彫りにしたい。
奥田 健次(おくだ けんじ)
一九七二年、兵庫県生まれ。専門行動療法士、臨床心理士。
桜花学園大学大学院客 員教授、法政大学大学院非常勤講師。
二〇一二年に行動コーチングアカデミーを設 立。
代表を務め、発達障害、自閉症、不登校などの問題解決を行う。
緻密な指導プ ログラムで子どもの問題行動を改善させることから、
「子育てブラックジャック」 と呼ばれる。
著書に『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(大和書房)、
『子育てプリンシプル』(一ツ橋書店)など。
集英社より
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0664-e/