ほんの少し秋を感じたのは朝だけ。
日中は今日も暑い暑い。
銀座の資生堂ギャラリー。
「初めての東京は銀座だった 石内都」。
会期は8月29日~10月15日。
第4回木村伊兵衛写真賞受賞を始め数々の作品が国内外で高い評価を受ける写真家・石内都。
資生堂の「ウェブ花椿」は「現代銀座考」を連載中。
その「現代銀座考」の第2章「銀座バラード」のために石内が撮り下ろした写真から未発表も含むオリジナルプリントの展覧会。
群馬は桐生に生まれ横須賀で育った石内が初めて銀座を訪れるきっかけとなった歌手のレコード。
月光荘で戦争中に製造販売されていた絵具など石内の記憶に結びつくものに加えて、資生堂の初めての香水「香水花椿」、新橋の姐さんたちから譲り受けた着物とスカジャン、銀寿司幸の蛸引き包丁、ミタケボタンのボタン、天一の天ぷら、もとじの草履、ボーグの帽子、資生堂パーラーのオムライスなど、銀座の文化を映し出す数々を写す。
今は、ほとんどの人がスマホやらコンデジやら一眼レフやらなんやらを常時持ち歩き、何をするにしてもまず撮る時代。
世の中はうんざりするほどに写真で溢れかえる。
にもかかわらずやはりグッと心を掴まれる作品がある。
たった1枚の二次元から物語を紡ぐことのできる作品がある。
石内の作品もそのひとつ。
月光荘の戦時中の絵具を写したフライヤーの上に今の月光荘の絵具を置いてみた。
戦時中も絵具の製造は続けられていたんだな。
国威発揚のための作品やらなんやらを描くための絵具だったのだろうけど、戦いの終わる日を待ち耐え続けた何かを感じるのが不思議。
朝の爽やかさは何処へやら。
蒸し暑い風が吹く二百十日の夜。