今回の長野滞在では造園屋さんが入ることになっていた。
見積りは先月で1日で終わるとのことだったのだけど、なんせこの高温多湿で親方の予想以上に茂ってしまい、今日は昨日終わらなかった部分の作業。
朝いちに来たのは3年目君。
何を改まっているのかと思ったら、カキの木のお清めをしたいので塩と米とお酒をくださいと言う。
今日はアメリカシロヒトリにやられてしまったカキの木の伐採もあったのだったのだけど、この家は屋移りしているからお清めをしなければならないような古木は無い。
と言いかけて、真剣な表情に、すぐ用意するからと返事をした。
あなたも一人前になったんだな、と神棚にあったの渡した。
それから親方も来たから、お清めのことを褒めたら、あいつちゃんとできるようになったんかと喜んでいた。
午前中で作業は終わり少し親方と雑談。
あと20年もしたらこんな商売は無くなってるかもなと親方は言う。
・・・
その通りだわ。
このあたりでも、代替わりしてしばらくすると家は売られ更地になって細切れの、一軒→三軒みたいな、建売りとなる。そしてその細切れ建売りに庭は無い。箱と駐車場しかない。庭らしきスペースがあっても人工芝。
そのまま建て替えても、定期的に専門業者の手入れが必要な庭にはしないことの方が圧倒的に多い。
仕事がなくなっていくのだから技術がどんどんと細っていく。庭師志願の若者がいても、公園や街路樹の管理ばかりで庭師としての経験を積むことができないのだ。
名庭園だけあればいいというものではない。底辺の厚みと安定が無ければ頂も危ういのは庭に限らない。
こうして日本独特の庭は幻になっていくのかもしれない。
そういう私だって長野の庭を持て余してる。仮に住んでいてもたぶん持て余すようになったと思う。
庭に60㎝くらいの小さな五葉松がある。
不用な五葉松だけどそのままにしてある。
昨日も若い職人さん二人が仕事の終わりにチビ五葉松の剪定を楽しんでいた。そのチビ五葉松はカットモデルなのだ。せめてそのくらいしか私にはできない。
ま。
午後から雲行きがあやしくなってきて雨が降り始めた。
9月の満月は見ることができなかったなと思っていたら、雲の中から月が出てきた。
息をのむほどにダイナミックで神々しくすらあった。
伝わるような写真は撮れないのが残念。
美しい日本の景色はこれからどうなっていくんだろ。
テーマパークのように囲われた場所に観光用にだけ存在するようになのかな。
ねえ?どう思う?
まん丸お月さまに聞いてみた。