さて大倉山の図書館へ本を返しに行かなきゃ。
国会図書館が欲しいと言ったのは荒川弘氏だったかな。
借りると欲しくなる。大半は目ん玉が飛び出すような値段でもない。でも買ってしまうと、不思議だな。いつでも読めると安心してしまうんだろか。積ん読になってしまうこともままある。
やはり焦燥感のうちに読むものなのかもしれない。この本は一度貸出の延長までしてもらっていたのだ。
「ヒトは食べられて進化した」。ドナ・ハート/ロバート・W・サスマン著。伊藤伸子訳。化学同人。
ここのとこ、やたらクマの出没が報じられる。
ヒグマに襲われて命を落とした話は昔からあるけど、なんというのか、それはヒトがクマの領域に踏み込み過ぎたという感じだったのが、どんどんとそこそこ市街地にまで出てくるようになったとでもいうのかな。
私がクマに遭遇するのは長野滞在中の山地。ツキノワグマだからか、怖いというより愛おしい。もちろん近づくことはしないし安全な位置を確保して遠目で見てるだけなんだけど。
ヒグマとツキノワグマは違う。でもツキノワグマだってヒトを食べることはなくても危険を感じれば襲いかかってくる。あの生き物が猟銃で撃ち殺されるなんてつらいことだなぁ…
なんて思っていた矢先に図書館で目にした本だった。
ヒトは狩りの最中に怪我をしたり命を落とすことがあっても、あくまで狩る側だと思っていたものが、狩られる側だったという。
ヒト科最古の先祖は中程度の大きさの霊長類で生まれ持っての武器は備えていないうえに、開けた土地と河川近くの森が混じった環境に暮らしていた。暮らしやすい場所とは誰にとっても暮らしやすい場所。水を飲みに行けばワニ、果物を取りに行けばハイエナやジャッカルなどなどに捕食され、常に捕食者にオドオドビクビク怯えながら惨めにその日その日を暮らしていたらしい。
結果から言えば、それが進化につながったということだ。
生き延びるためには以下の知恵を発達させて行ったという。
・比較的大きな集団で暮らす。
・多才な移動様式。
・柔軟性のある社会組織。
・社会集団にはかならず♂がいる。
・♂を見張りとして使う
・泊まり場所を注意深く選ぶ
・賢くあれ。そして相手より一歩先んじること。
人類は絶えずなにと戦ってきたか。
人類は何を恐れるのか。
もっとも生理的なレベルでのパニックと憎悪をいまだに引き起こすものの正体は何か。
それは捕食される獲物側だったから。
日常生活の些細な事も国家間の大きな戦争も、そういえば当てはめてみればここに起因するかもしれない。
だからクマとどうやって暮していったらいいのかわからないけど…
今日から空模様が梅雨になるというけどまだ雨が降ってこない。これからかな。