めまいがしそうな滅茶苦茶な暑さに強風が吹き荒れる。
普通に生活してるのが不思議な気すらする。
いったいどうなっちまってるんだろ?
夕空が妙に神々しい。
今宵は藤原新也のメメント・モリのページをめくる。
藤原新也のメメント・モリが刊行されたのは1983年。
不朽のロングセラー。
2008年に三五館から2018年に朝日新聞出版から出されている。
ちょっとそこのあんた、顔がないですよ
2020年からは、マスクだ。
2020年以前から知ってる人はマスクをしていても顔がわかるけど、2020年以降特に仕事関係は顔がわからないままの人が何人もいる。顔はあるのだけど、顔がわからない。それは、顔がないも同然かもしれない。
でも最近、早くマスク無しの生活を取り戻したいと思っているのは少数派だったんだと思い知らされた。
疫病が落ち着いてきて高温多湿な季節が来て国からも要請が出ても、ほとんどの人がどんなに閑散とした場所でもマスクを絶対に外さない。
マスクばかりではない。
疫病下の緊急避難だと思っていたことが、疫病が収束しても定着するなという事象があちこちにある。
本音では素で接触したくないことが世の中にはこんなにもたくさんあったんだと知った。
人の体温は体温計で表示されるものであって五感で感じるものではなくなった。
疫病下では死と背中合わせの実感がすぐそこにあるというのに。
なぜだか、いのちが、見えない。死ぬことも見えない。
ページをめくるたびに、少しずつ気持ちが落ち着いていく。
だからどうというでもない。
あの人骨を見たとき、病院では死にたくないと思った。
なぜなら、死は病ではないのですから。
ガンジスの岸辺の人骨の写真は、それはそれは美しい。
今夜は熱帯夜。
明日の夜明けまでエアコンをとめられそうにない。