九州の旅2泊目は、大分県由布院温泉にある名旅館「玉の湯」に宿泊しました。
「玉の湯」の素晴らしさは「亀の井別荘」とともに多くの話があるのでここでは避けますが、同業者としてこの宿のもつ魅力、懐の深さ、思いやり、居心地の良さなど、次々と繰り出してくる「癒しのエネルギー」に圧倒されました。(というかすっぽりと包まれた感じです)
私は以前より由布院のまちづくりの考え方や経営哲学が大好きで、日頃から由布院のまちづくりの書籍を読んでおり、再確認の旅という気持ちで宿に泊まったのですが、改めて「心からお客様本位の宿」が当たり前に展開されているさまを見て感動いたしました。
●送迎しない理由
この日由布院では珍しい12月の雪に見舞われ、私共家族はレンタカーを博多に置いて、「ゆふいんの森」号という特急列車を利用して、湯布院駅に降りました。
そこで早速「玉の湯」に電話を入れ送迎のお願いをしたところ、「タクシーをご利用下さい、支払いは宿がいたします」という返事でした。
実は玉の湯が送迎サービスをしないのは知っていたのですが、昨晩の宿の方から「送迎すると思いますよ」というお話を頂いており、また高級旅館ということできっと送迎ぐらいするだろうと思っていたのです。
私の記憶では、確か由布院のお宿はあえて送迎しないのです。
それは面倒だからということではなく、タクシー業を保護するのはもちろん、癒しの里にふさわしい観光タクシーとして大きな役割があるからであると聞いたことがあります。
宿には宿の、タクシーにはタクシーの観光客にできる役割があります。由布院の宿では送迎しない代わりにタクシーを利用してもらい、その代金を到着時に宿がタクシー券で支払えば送迎と同じことです。
また由布院のタクシードライバーはホテルマンのような格好をしており、接客も丁寧で、非常に親切です。宿の送迎スタッフと同じぐらいのおもてなし感があるのです。また宿のスタッフとも仲が良さそうで、異業種の連携が図れている様を見れてとても勉強になりました。
●シンプルな客室
由布院玉の湯は1泊4万円以上するいわゆる高額の宿です。
現在はデザイナーズ旅館が人気ですが、それとは全く正反対で極めてシンプルです。
客室はまるで普通の家のように見えました。豪華な家具や照明などはなかったです。しかしながらこの空間、気持ちが良く落ち着くのです。デザインはシンプルですが、部屋の構成は和室にベッドルーム、テラス、書斎部屋?、そして縁側がありました。玄関も広々としています。
タオル類は山ほど置いてあり、いつの間にか浴衣のサイズも揃えて一人2枚づつ用意してあります。ドライヤーも2個、洗面室が2室、トイレに暖房、ミニキッチンや広い内風呂(温泉です)もあります。エアコンが4つも付いていました。
見かけの格好良さではなく、全て利便性、快適性を優先した客室なのです。あと特筆すべきは非常に清潔だったことです。新居の心地良さみたいな感じです。
まるで普通の家というのが、この宿の考える「最もくつろげる客室」なのでしょう。しばらく客室にいるといつの間にかそこに住んでいるような感覚になります。そのような客室に泊まったことがないので、この客室コンセプトには関心しました。
次回は、感動の食事と接客サービスをレポートします。