Blog友さんに放映があることを教えていただいて録画しておいた。
宗教的な寓意も感じられる
映画だった。
映画の舞台はデンマークの寒村。
清貧という言葉がぴったりするような村だ。
その村にはキリスト教のある宗派を主催している牧師がいて、彼には美しい姉妹がいた。
その姉妹目当てに教会に来る人も多かった。
若い頃の姉妹には、それぞれ求婚してくる男性もいたが、二人はその求婚を退けて神に尽くす道を選ぶ。
今は老女になった二人は、今も村人のために無償の奉仕を続けていた。

そんなところに、ある嵐の夜、一人の女性が訪ねてくる。

その女性はかつて姉妹の妹に求婚したフランスの有名音楽家の手紙を携えてきていた。

その手紙には、この女性がフランス革命?で殺されそうになってデンマークに逃れることになったから、面倒を見てやってほしいと。
手紙には、今も姉妹の妹のことを思っているとも書かれてあった。
音楽では名声を得たが、今になると、姉妹のように村の人々に尽くして尊敬される生き方のほうが幸せだったかもしれないとも。
姉妹は、家政婦を雇うほどの余裕がないことを理由に訪ねてきた女性を断る。
すると、この女性、バベットは、「無給でもいいから働かせてほしい」と頼む。
それで姉妹も家政婦として雇った。
14年が経った。
姉妹も村の人達も老いた。
老いて短気になる者もいた。
昔の話を持ち出して喧嘩になる人達もいた。
姉妹はその仲裁で疲れていた。
そんな頃、バベットにフランスから郵便が届く。
それはバベットが買い続けていた宝くじが当たったという知らせであった。
賞金は1万フラン。
バベットは姉妹にお願いする。
姉妹の父親であった牧師様の「生誕記念日にフランス料理の晩餐を作らせてください」と。
が、質素を宗としている姉妹は断る。
するとバベットは「費用は私がもちます」と。
ここからがクライマックスになる。
バベットはフランスに食材の買い出しに行く。
数日後に、バベットの甥が小舟いっぱいの食材を運んでくる。
姉妹は、その食材を見て驚く。
生きたままのウミガメやウズラなど、見慣れないものばかりだったから。
姉妹は、どんな料理を食べらされるか心配になり、村人たちに料理について何も言わずに食べるように言う。
ワインも特別な上等品が届く。
晩餐会の料理をしている途中に手紙が届き、姉妹の父親の牧師を尊敬していた将軍とその伯母上の訪問の知らせであった。
将軍は若い頃、姉妹の姉に求愛したこともある。
その後、将軍は名誉も何もかも手に入れたが、今決して満たされた気持ちでいるわけではないと。
バベットは、甥にも手伝わせて様々な料理を手際よく作っていく。
テーブルのセッティングも本格的にする。
時間が来て村人たちが集まってきた。
ミサの間もバレットは料理に専念する。
最高の食材ばかりだ。
将軍と、その伯母上も到着する。
晩餐会が始まって、村人たちが、見たことも食べたこともない料理が次々と運ばれてくる。
村人たちは黙々と食べる。
が、パリに滞在したことのある将軍だけが、料理とワインの素晴らしさを口にする。
そして、この料理がパリの高級レストランのシェフの手で作られたものだと喝破する将軍。
村人達は、料理のことはわからなくても、美味しい料理を食べているうち心がほぐれて、なごやかな雰囲気になる。
それを見て、姉妹も喜ぶ。
将軍は姉妹の姉に「どこにいようとも、心はいつも一緒です」と告げる。
将軍とその伯母上が帰ってから村人たちも三々五々帰っていった。
皆が帰った後、姉妹はバベットをねぎらって「バベットがパリに帰っても忘れない」と言う。
するとバベットは「私は有名レストランのシェフでした」と白状して、「パリには戻らない」とも。
姉妹が「なぜ?」と聞くと、フランスに待ってくれている人がいないことと宝くじの賞金は、この料理に使い果たしたことを告げる。
姉妹がせっかくの賞金を使い果たしたことを驚くと、「芸術家は貧しくありません」と。

そして、「パパンさん(将軍)が世界中の芸術家の心の叫びがする」とおっしゃいましたと付け加えた。
それに対して姉妹は「天国であなたは偉大な芸術家になる」と応える。
素晴らしい映画だった。
たくさん出てきた料理も撮影したかったが、それは「映画を見てのお楽しみ」にということで。
料理は、ただ食べるだけでなく、こんなにも人の心を豊かにしてくれると教えてくれる映画だった。
それは食べた人だけでなく、作った人をも!
また、こんなに年老いても、人を思う、人に思われることの素晴らしさも同時に味わわせてもらった。