チェリンは、ユジンの前でひたすらにミニョンといちゃついて見せた。ミニョンは自分の彼氏だと、はっきりさせておきたかったのだ。
ミニョンは赤いスノーボードウェアを着て、颯爽とゲレンデを降りてきた。そのカッコいい姿見は、ゲレンデでも注目の的だった。
ユジンは2人の姿を見るのが嫌で、自分の部屋に帰って洋服を着替えていた。
すると、ノックの音がして、静かに怒りに燃えた目をしたチェリンが入ってきた。手には、ユジンが失くしてしまった手帳を握りしめている。
「ユジン、これをどこで見つけたかわかるよね?人の彼氏の部屋で、何をしてたのか説明してくれる?」
ユジンは、下心があって部屋に行ったわけではなかった。必死になってやましい気持ちはなかったこと、たまたま会ったお酒の席で酔いすぎてしまったこと、半分気を失ったので、ミニョンさんが仕方なく部屋に連れて行ったことを説明した。そして、何度も謝罪を口にした。チェリンはショックを受けた顔をしながら言った。
「そりゃああんたとは何もないでしょうけど、彼だって相手を選ぶだろうし、、、だけど酔っ払うなんてユジンらしくない。まだチュンサンを忘れられないの⁉️いい加減にしなさいよ。サンヒョクが可哀想。ねぇサンヒョクの気持ちを考えたことがあるの?今度同じことをしたら、あんたとは絶交するからね。ミニョンさんには、あたしから上手く言っておくから心配はしないで。」
ユジンは一番痛いところを突かれて、謝り倒すしかなかった。たしかにサンヒョクに合わせる顔がなかった。チュンサンだと誤解して、キスまでしようとしたのだから。その日の午後、ひとり仕事をしながら、ユジンは深く落ち込んでいた。
夜、ホテルの外でチェリンとミニョンは揉めていた。
「わたし、ユジンに聞いたのよ。ミニョンさんは婚約者のいるユジンを部屋に連れ込んだって。信じられない。ユジンが好きなの?もうユジンとミニョンさんの顔をみたくもないわ」と涙を流しながら、ソウルに帰ってしまった。ミニョンは、動揺のあまり、チェリンをぼんやりと見送った。とんでもない嘘をつくユジンへの怒りがふつふつと沸いてきた。
ユジンは当てもなく夜のゲレンデを歩き回った。自分がしたことの後悔で、チェリンを傷つけたことに、心が潰れそうだった。サンヒョクも知ったら、ショックを受けるだろう。
やっと頭を冷やして、自分の部屋に入ると、なんとそこにはミニョンがいた。マスターキーで入ったのだろうか。あまりにびっくりして、激しく動揺してしまった。
「何してるんですか?」
ミニョンはそれには答えなかった。
「チェリンに僕の部屋に来た事を言ったそうですね。彼女、傷ついて泣きながらソウルに帰りました。これで、二人きりになれて満足ですか?僕の事が好きなんですか?」
「今なんて?そんなつもりで言ったんじゃないんです。誤解です。」
「そうでしょうね。また誤解ですよね。そんな天使のような顔をして、悪魔のような話を友達にして傷つけるなんて‼️僕はね、女性は好きです。でもあなたの事は絶対に好きにならないですから。」
ミニョンはそう言い捨てて、部屋を出ていった。
ユジンは、どこでどうボタンを掛け違ったらそんな話になるのか分からず、ただ涙を流すだけだった。ただチュンサンのことを想っただけなのに、そっくりな彼に罵倒されてしまった。心は孤独でいっぱいで、涙が止まらなかった。
一方ミニョンはひたすらにチェリンの携帯に電話していたが、チェリンは怒っているのか、全くでてくれなかった。ミニョンはため息をつくのだった。
その頃チェリンは帰りの車を運転しながらほくそ笑んでいた。これで作戦は成功した。2人の仲は壊れたはずだと。
そんな次の朝、また事件が起こったのだった。