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冬のソナタに恋をして

思いがけない事故

ミニョンはドラゴンバレーに着くと、取る物もとりあえず、ユジンの部屋に駆けつけた。
焦りながら部屋のチャイムを鳴らすと、サンヒョクが出てきた。後ろからキョトンとした顔のユジンも出てきたが、流石にこの状況では話せなかった。

ミニョンは頭を冷やすために、一度外に出て散歩をした。そして、また部屋に戻ってくると、ユジンの部屋の前でサンヒョクとユジンが話していた。
「もう少しいてもいいじゃないか。ベッドも二つあるし」
と言うサンヒョクに、
「だめよ。もう遅いから自分の部屋でゆっくり休んで」と無理矢理帰らせているのが見えた。ミニョンはユジンは本当にマジメなんだなぁ、2人はまだそういう関係ではないんだと安堵した。

次の日、ミニョンが現場で仕事をしていると、ユジンがやってきた。
「理事、キム監督の解雇を撤回していただいて、ありがとうございました」
ミニョンはユジンと心の準備もないまま顔を合わせて、ひどくドキドキしてしまった。思わず「婚約者の方はもう帰りましたか?」と訳の分からない事を言ってしまった。


ユジンが、一礼して歩き去ろうとしたときに、ユジンの手帳から何かが落ちた。ミニョンが慌ててそれを拾ったところ、タロットカードだった。そしてそれは運命の輪のカードだったのだ。自分の運命の相手が持っているというカード、、、。ミニョンがそのカードをぼんやり見ていると、頭上ですごい音がした。とっさに上を見上げると、束ねられていない材木が頭上から被さってくるのが見えた。

その時だった。誰かにものすごい勢いで突き飛ばされた。そして、誰かの上に材木が次々と倒れてきた。立ち上がって材木の間を見ると、そこにはユジンが倒れていた。頭から血を流して意識がない。ミニョンは、ユジンが突き飛ばして助けてくれたのだと気が付いた。ミニョンは呆然としながらも、材木を取り除いた。
人々が次々と集まりはじめて、
「救急車だ。救急車を呼べ。」
「頭を打ってる。動かすな」
「だれだ、材木を結えなかったのは」
など口々に叫びはじめた。その中でミニョンはひとり呆然として、ユジンの手を握っていた。ユジンの手は氷のように冷たかった。ミニョンはどうかユジンを助けてくださいと祈っていた。


ユジンはもよりの病院に運ばれて検査を受けた。幸いにも頭部の打撲と打身だけですみ、検査結果は良好で2、3日の間に退院できるだろうと言うことだった。
その頃サンヒョクがかけつけた。サンヒョクはユジンの部屋で待っていた時に、事故の一報を知らされた。そのとき、ちょうどミニョンを探すチェリンも合流したため、2人は一緒に病院へ駆けつけた。サンヒョクは病院にチョンアといたミニョンを見るなり、胸ぐらをつかんだ。

「何があったんだ!」
ミニョンは申し訳なさそうに言った。
「申し訳ありません。僕の責任です、、、」
サンヒョクは怒りに燃えた目つきでミニョンを睨みつけた。ミニョンだけは許せなかった。
その時、看護師が
「ご家族の方、こちらに」とうながした。サンヒョクはこれみよがしに手をあげて行ってしまった。チョンアも「会社の者です」とこれに続いた。
ユジンはベッドで寝ていた。
チョンアはサンヒョクをたしなめるように言った。
「サンヒョク、理事が悪いわけではないのよ。ユジンが、理事をかばったの。材木が落ちてきたから、突き飛ばしたのよ。理事も自分を責めてるから、これ以上責めないで。」
サンヒョクはそれを聞いて倒れそうになった。ついに来る時が来たのだ。ユジンはミニョンにチュンサンを重ねている。命まで投げ出して救おうとするなんて、完全に混同してしまっている。サンヒョクは心が粉々になりそうだった。

すると、ちょうど意識が戻ったユジンがチョンアを見た。サンヒョクには気づいていない。
「ユジン、大丈夫?」
「オンニ、あの人は大丈夫だった?ケガはない?」
その一言にサンヒョクは凍りついた。ミニョンの事を第一に口にするのが許せなかった。ユジンに対してもどんどん怒りが湧いてきた。チョンアは気まずそうな顔でユジンを見つめていた。
「サンヒョクがね、あなたのことをとっても心配してたのよ」
ユジンはサンヒョクに気がつくと、バツが悪そうな顔で微笑んだ。サンヒョクは自分が惨めすぎて、ぎこちなく笑うのが精一杯だった。

すると、今度はミニョンとチェリンが病室に入ってきた。チェリンはいかにも心配している風を装って、「ユジン大丈夫?痛くない?何か食べたい物はある?」と甲斐甲斐しく世話を焼いた。
「ユジン、ミニョンさんを助けてくれて本当にありがとう。まさか、わたしのミニョンさんをここまで助けてくれるなんて、、、」
と白々しく言う。
サンヒョクは思わずむっとして、
「ユジンは優しいから、ミニョンさんでなくても助けたから。」と言ってしまった。
ミニョンはとても申し訳なくて、
「ユジンさん、すみませんでした。僕の責任ですから、お手伝いする方を手配します。」と言った。しかし、サンヒョクは冷たく返した。「結構です。僕たちが自分で手配しますから。お帰りください。」
部屋の中には微妙な空気が流れた。
やがてミニョンとチェリンは退室して、サンヒョクは2人を追って行った。
「ミニョンさん、さっきは失礼なことをいって申し訳ありませんでした。でも責任を感じてもらわなくて結構です。ユジンはあなたを助けたんじゃないんです。あなたの中に別の人を見ているだけですから。失礼します。」
ミニョンはそんなこと分かってる、と言いたかった。カンジュンサン、、、ユジンの心にいるのは彼だけなのだ。自分を見ているのではない。
サンヒョクは病室に戻る道々、ユジンがチュンサンをなおも忘れられないことに絶望していた。しかも、そっくりのミニョンがウロチョロしている限り、ユジンは揺れ動くだろう。
サンヒョクはベッドに寝ているユジンを厳しい顔で睨みつけた。

「君がミニョンさんにチュンサンを重ねるのが嫌なんだ。チュンサンの事をいつまでも思っているのが嫌なんだ。」
サンヒョクは心の内をさらけ出した。
ユジンは涙をポロポロ流しながら言った。
「サンヒョク、本当にごめんなさい。でもわたしの目がチュンサンを覚えているの。私の心がチュンサンをわすれられないの。ねぇ、私はどうしたらいいの?」
ユジンは誰でもいいから、この苦しくて切ない気持ちを忘れる方法を教えてほしかった。
そんなユジンを見て、サンヒョクは狡いと感じていた。そうやって嘘をつけずに正直に泣けるユジンに憎しみさえ湧きそうだった。
「忘れろ!頼む。忘れてくれ!」サンヒョクは懇願するように叫ぶと、くるりと踵を返して立ち去った。
「また今度話させてくれ」
ユジンは、ベッドの上でいつまでも一人で泣いているのだった。

チェリンはミニョンの態度に怯えていた。先日自分のブティックに帰ったら、今しがたミニョンが帰ったと聞いた。しかも、チェリンたちの会話を聞いたのか、カンジュンサンの存在を知っていたと言う。チェリンはチンスクに
「このおしゃべり‼️」と言ったが、反対に「あなたこそ、おしゃべりじゃない。彼、知ってたわよ」と言われて、思わず絶叫してしまった。しかも、ミニョンは慌てて出て行ってしまったと言う。きっとユジンのもとに行ったに違いない。

ついに来る時が来たのだ。嘘がバレた。ミニョンは許してはくれないだろう。どうすれば彼に許してもらえるか、チェリンは頭をフル回転させていた。さっきからミニョンは全く目を合わせてくれない。あの日以降、電話にも出てくれないのだ。二人は車でドラゴンバレーに向かいながらも、一言も口を聞かなかった。
そして、車から降りてミニョンの部屋に入ると、ミニョンが重い口を開いたのだった。



コメント一覧

kirakira0611
@ra9gaki_do さま、いつも温かいコメントをありがとうございます。懐かしいですか?きっと観た人の数だけ思い出がありますよね。
これを書くに当たって、NHKに寄せられた視聴者からの手紙集も読みました。皆さん熱いな、と思いましたし、大半が亡くなったか、認知症になってしまったのかな、と切なくなりました。
kirakira0611
@rakoru さま、お返事遅くなりました。
ありがとうございます!
いや、観てくださるなら嬉しいですよー。
感激です。
また、お時間があるときに純愛に浸ってくださいませ。
kirakira0611
@hinata_bocco さま、そーそー。何言うのって大体わかるよね(笑)
アンニョン❤️
hinata_bocco
重い口を開いたのだった。。。えええええ 
地獄のひき ですやん(@Д@)
まて!!次号!!(・-・)ノ
rakoru
こんばんは!
私は「冬のソナタ」を見た事がありませんでしたが、kirakira0611さんとの出会いで、少しずつ読ませていただいています。
すっかりハマりました❣️
いつか、ドラマを絶対観てみます😊🖐
Unknown
こんばんは(^-^)
いつも温かいリアクション
ありがとうございます。
冬ソナを垣間見るたびに
過ぎた日を懐かしく思い出しています。
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