原因は明らかにチョンユジンだ。
初めて会ったときは清楚で前向きで努力家、才能もあるインテリアコーディネーターだと好感を持った。でもチェリンの話では、とんでもない男たらしで、あの純情そうな顔で、人の真似をして男を奪ったり、初恋の話で瞳を潤ませて、必ず落とすらしい。
それにしても、僕の前で見せる誠実な態度とチェリンの話のイメージが違いすぎる。
それなのに、この前パーティーに誘ったら、なんとチェリンには僕の買ったドレスが似合わないから着てくるなと言いながら、自分はちゃっかり全く同じドレスを着てきていた。しかも、ヒール👠まで友達のだって言うから図々しい。もっとも、胸元と背中がざっくり開いたドレスを見事なスタイルで着こなしていたし、普段は見られない白い肌があらわになっていて、そのギャップが実に艶かしかったのはチェリンには言えない。ユジン本人は僕の冷たい態度にポカンとしてたけれど、あれも全部演技ならば、彼女は男をたらし込むプロだ。
そして、先日偶然に会ったバーで、キム次長とチョンアさんたちと飲むことになったら、
「飲めないんです」なんて言いながら、罰ゲームでベロベロになるまで酔っ払っていた。あれも酔ったフリなのだろうか。あんなふうに涙をためた上目遣いで見られて、堕ちない男がいるだろうか。
結局成り行きで二人きりにされたので、住所も言えないほど泥酔した彼女を、ホテルの自室に連れて行くしかなかった。ソファーに彼女を寝かしたところ、メガネを外した僕を見て、急に
「チュンサン」と呼んで涙を流し始めた。チェリンに初恋の人に似てるんです話で男を落とすと聞いていなかったら、潤んだ瞳でじっと見つめられて、顔を近づけて瞳を閉じられた日には、本当にキスするところだった。それぐらい彼女の赤くふっくらとした唇が魅力的に見えた。彼女に抱きしめられた時、その身体の柔らかな感触と甘いにおいに、思わず抱きしめ返そうと思うほど、グラリと心が揺れた。
それにしても酔い潰れたフリといい、自然に男に迫る仕草といい、本当に恐ろしい。サンヒョクという婚約者がいて、僕にはチェリンという恋人がいるのに。僕は嫌悪感でいっぱいになった。
それなのに、自分から誘っておいて、僕がそれを指摘すると、ものすごい勢いで怒り出し、頬を引っ叩かれた。あの迫真の演技も実に素晴らしかった。思わず騙されそうになった。
チェリンの話は全て本当だったのだ。
明日職場で会ったら、これ以上近づくなとはっきり言ってやろう、ミニョンはベッドに横になりながらぼんやりと考えた。
しかし、不思議なことに、眠りに落ちる瞬間はなぜかユジンの切なげな瞳と、赤い唇、そして怒りと悲しみの混じった表情が脳裏に浮かぶのだった。