一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

壊れたショック

2014年07月28日 | 最近のできごと
 固定電話機が壊れた。通話は、できる。親機の液晶画面の文字が、表示されなくなったのである。
 電話機が壊れるなんて、思ってもみないことだった。何度か買い換えたけれど、壊れたからではなく、便利な機能があるので新しいのを買った。電話機が壊れたのは初めての経験である。
 親機の液晶画面に表示される文字が、突然、消えたのではない。少しずつ薄くなって、それを眼にするたび、妙な気がしていた。
 液晶画面が点灯していない時は、日付と時刻が表示され、電話がかかった時は点灯して、その登録名や電話番号が表示されるという一般的な電話機である。
 最初は、電池かしらと思ったが、親機のどこにも電池は入れてない。表示文字がさらに薄くなり、ついに、完全に消えてしまった。通話はできても、ナンバー・ディスプレイの意味がない。
 メーカーに問い合わせると、修理が必要ということで、保証期間は過ぎているから修理費がかかる。5年以上使用しているが、10年は経っていない。修理の高額費用を出すより、新しい商品を買うほうがいいのは、大半の電化製品と同じ。
 家電量販店へ行き、新しい電話機を買って来た。
 説明書を見ながら、電話帳その他さまざまな機能を、ユーザー設定していく。留守電の応答メッセージ作成の時、何度やり直しても、自作メッセージが再生されない。同じメーカーなので、その設定方法は、前に使っていた電話機と同じで簡単である。再生もされないし、スマホから何度もかけて試してみたが、当然、応答メッセージは流れない。
 メーカーに電話した。サポーターから電話番号を聞かれた後、かけてもらったが、やはり駄目。
「それ、不具合です。こちらから修理に行きます」
 女性サポーターが、冷静な口調で言った。どこか言い慣れているような感じがした。
(留守電の応答メッセージが流れない欠陥商品、他でもあったのかも……)
 そう疑いたくなるくらい、穏やかで冷静で言い慣れているような口調だったのである。
「不具合って、欠陥商品、ということですか?」
「はい。そうです」
 新しく買った電話機が欠陥商品とわかり、ショックを受けた。まさか壊れるとは思っていなかった電話機が壊れたこともショックだったが、新しく購入した商品が欠陥商品だったことに、さらにショックを受けた。
「修理、ですか? 修理だなんて。そんな時間と手間がかかるなんて」
「または、購入した店で交換ということもできますが……」
「じゃ、そうします」
 何日の何時に修理の人が来て時間をかけて修理して、というより、商品を交換するほうが早い。
 箱は捨ててしまったので、そのFAX付き電話機が入る紙袋を探した。縦横幅のあるデパート系スーパーの大きな紙袋を2枚重ねて、その中に入れ、翌日、店へ持って行った。
 欠陥商品であることと、サポーターの言葉を伝えた後、
「同じ商品で、また欠陥ということもあるかもしれないから、交換ではなく、他の商品を買いたいんですけど」
 そう言うと、承諾。もちろん交換ではなく返品も可能だが、早く新しいのを買わなくては不便である。古い電話機を捨てる前で、はずしたそれを、その日はセットして来た。
 ネットで調べておいた他のメーカーのFAX付き電話機をいろいろ見てみたが、もう長年、同じメーカーのを使い慣れているし、やはり一番落ち着けるデザインなので、〈おたっくす〉シリーズの別の商品を買った。
 帰宅して、真っ先に留守電の応答メッセージの設定。自作応答メッセージにするのをやめて、テープの合成音のままにした。
 まさかと思っていた電話機が壊れて買いに行って、設定不能でやり直しの時間もかかり、サポーターに電話したり、店へ持って行ったり、また買って来て説明書見ながら2度目のユーザー設定――。何て時間と手間のかかる不運なできごとと嘆きたくなったが、人生には無駄な時間も無駄な手間も少なくないのは仕方ないことと思い直した。 
 その前の時期――。
 パソコンが壊れた。正確には、壊れたのではないかもしれない。ネット接続もWEB閲覧もメールも文章作成も、通常どおり可能である。マイクロソフトのプログラム更新が、できなくなったのである。自動更新もされないし、手動も、〈失敗しました〉のメッセージばかり。ネットでいろいろ調べたり、マイクロソフトのヘルプセンターとメールのやり取りを何度も交わし、セキュリティ・ソフトをはずしたり、プログラム設定を変更したり、さまざまな方法を試みたが、やはり駄目。6年使用したパソコンである。新しいのを買うことにした。
『Windows8.1』が発売されたが、
「まだ安定してないから、すぐ買わないほうがいい」
 と、飲み会の時に会ったコンピューター関連会社の知人にアドバイスされ、ネットでいろいろ情報を読んでいた。パソコンに詳しい編集者○○さんからメールが来た時、相談して教えてもらった。
 家電量販店へ行き、ようやく買った。『VALUESTAR G』21.5型デスクトップ。セキュリティ・ソフトは、マイクロソフトのプログラム更新が不能になった原因ではないにしても、変えることにした。以前使っていたノートンで、店員からすすめられた『Norton 360 Premier』のパッケージ版を買った。それまで使用していた『Vista』にダウロードしたソフトが、非対応で使えないので、『一太郎2014』と、『ホームページビルダー18』のバージョンアップ版も買った。プリンターも対応しないが、店員の説明を聞くうち、買う意欲を失った。使っていたキャノンのプリンターは7色インクだったが、対応のプリンターは5色。プリントする画像をパソコンに表示させると、『VALUESTAR G』のほうがきれいで鮮明だが、プリントすると『Vista』で作成の7色インクのほうがきれいだという説明なのである。プリンターは賀状作成ぐらいで滅多に使わないし、USBメモリに画像データを移して『Vista』でプリントすることにした。
 新しいパソコン『VALUESTAR G』21.5型デスクトップは、搭載の『Windows8.1』も思ったより使いやすいし、性能がいいし、便利な機能がいろいろあって、作業は快適である。
 その前の時期――。
 ブルーレイ・DVDレコーダーが壊れた。その時の激しいショックと言ったら、なかった。正確には、壊れたのではないが、ある日、突然、動作しなくなった。この時はもう、超がいくつもつく大ショックで泣きたくなった。マルチ・リモコンの電池は、交換してから、そう経っていないから、電池が原因ではない。リモコンの電源ボタンは有効で、テレビはちゃんと見られる。いつも、リモコンを手にすると、真っ先に押すビデオの〈見る〉ボタンが有効にならないのである。そのため、ホーム画面も、テレビのは表示されるが、ビデオのは表示されない。頭の中が熱くなるほどパニック状態で机の引き出しから説明書を取り出し、トラブルのページを読んだが、当てはまる例がない。
 メーカーのサポート電話をかけても、〈お待たせして申し訳けございません……〉のテープ・メッセージが流れるだけで、なかなか繋(つな)がらない。何度かけ直しても、繋がらない。
 ――ビデオが壊れた! どうしよう! ビデオ見られない! どうしようどうしようどうしよう、ああ!――
 もう、この上ないパニック状態で、この世の終わりと絶望的になり、生きた心地がしないとはこのことと言いたいくらい。泣きべそかきながら友人にメールすると、
 ――命より大事なビデオが壊れたなんて大変ですね――
 の返信。
(生命より大事なビデオだなんて! オーバーねえ!)
 冷やかしメールのお陰で、少し冷静になり、設定を見てみることにして、その画面を表示させた。いろいろ見てみたが、接続その他、どこにも問題があるとは思えない。
 10回近くかけたサポート電話が、ようやく繋がった。トラブルを伝えた後、指示されるまま、静電気を抜く作業をしたが、やはり駄目。マルチ・リモコンではなく、ビデオのリモコンとテレビのリモコンで試しても、やはり駄目。次にテレビの裏側の配線を変えてみると言われた時には、もうもうパニック状態も最高潮に達したほどだった。
「配線だなんて! そんなこと、私、今まで1度もやったことないし、できません!」
「わかりやすいように説明しますから、大丈夫です」
「録画の映画30本以上観てないのがあるのに、消えちゃったら、どうするんですか!」
 ディスクで弁償してね! と言いたいくらいだった。
「大丈夫です。消えませんから」
 サポーター女性の口調は、あくまでも落ち着き払って穏やかそのものである。
 電話の子機をいったんテーブルに置き、テレビを少し移動させて壁際から離すと、裏側に回った。ふたたび電話子機を手にして伝え、サポーター女性に指示されるまま、何とかのローマ字の下のコードをはずし、他のローマ字の下のコードをはずして、それをはずした箇所に差し込み、次に何とかのローマ字の下のコードを……。というようなことを、テレビと、ブルーレイ・DVDレコーダーと、VHS&DVD一体型レコーダーと、シアタースタンド、すべてソニーの4つの機器の配線をそれぞれ差し込み直すという作業を行い、リモコンのボタンを押してみるが、やはり駄目。結論は、
「シアタースタンドの接続が、何か邪魔してるのが原因ではないかと思います。私はビデオ担当ですから、シアタースタンドの担当に相談してみて下さい」
 である。その言葉に、またしてもショックを受けた。時計を見ると、もうこんな時間と驚き、スーパーへ買い物の予定だったので、その日は諦めた。
 その夜と翌日の朝は、味気ないテレビ番組を見て過ごし、サポート受付時刻の午前9時に電話した。
 女性サポーターの回答に不信を持ったわけではないが、シアタースタンド担当ではなく、もう1度、ビデオ担当に電話した。
 サポーター男性の指示のまま、ふたたび静電気を抜く作業から始め、次に設定画面を表示させての確認。
 その画面で、ビデオとテレビをつなぐいくつかの項目の中の1つのチェックがはずれていたので、チェックを入れたところ――。
 リモコンの〈見る〉ボタンが有効になり、ビデオのホーム画面がようやく表示されて、通常に戻ったのだった。
 何故、その項目のチェックがはずれていたのか、わからないが、何かの誤作動によるらしい。
(ああ、良かった! 壊れたわけじゃなかったんだわ!)
 安堵と喜びいっぱいで、神様に感謝したい気持ち、ピョンピョン飛び跳ねたいほど幸せな気分だった。
 ――というふうに、今年の前半は、固定電話機とパソコンとDVDレコーダーに振り回されてしまった。
 現在はスマホのメモリ容量不足でメモリ解放アプリを10以上も検討したり試したりして振り回され、昨年は2つの体重計に振り回され、その前は自動血圧計や体温計に振り回され……。
(私の人生って、いつも何かに振り回されっ放しみたい)
 本当は恋する男性に振り回される人生がいいのに――。



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