ヨン様フィーバー

『韓流（はんりゅう）ブーム』らしい。このブームを作ったというか仕掛けた人間がいるような気がしないでもないが、韓国俳優が次々、来日しては、女性ファンたちのフィーバーぶりが報道される。韓国への旅行者も急増、韓国語を習う人も増えているそうだ。最近、ペ・ヨンジュンの２度目の来日で、彼を出迎える騒動の最中（さなか）に、１０人のケガ人が出てしまうほど。それに対するペ・ヨンジュンの沈痛なコメントに、ファンたちのことを〈家族〉（日本語訳）と言っていたのが、いかにも人気俳優らしく印象的だった。ペ・ヨンジュンのそんなやさしさにも、女性ファンたちは魅了されているらしい。
　数か月前、担当編集者である女性編集長○○さんと電話でお喋りしている時、『冬ソナ』の話題になった。彼女も私も、そのドラマを見ていた。
「う～ん、あのドラマはねえ……」
　と、短く批判的な感想を述べる私。
「そうですよねえ！　どうして、あんなにペ・ヨンジュンの人気があるのかしら」
　と、女性編集長○○さん。
「でも、初来日の記者会見、あのペ・ヨンジュンの微笑は、いいわね、印象に残ったわ、とっても素敵な微笑だったわ」
「そうですかあ？　あの記者会見、私、取材で行ったんですよ」
「えっ、ホント？　取材って、何の？」
「ムック（不定期刊行雑誌）出すんですよ。韓国スターの。それで、あの記者会見、カメラマンと一緒に行ったんですけど」
「で、どうだった？　ペ・ヨンジュン素敵だったでしょう？」
「私はああいうタイプってあまり……。もっと強い男っていうか、ガッシリした筋肉質体型のほうが好きで……」
「マッチョマン・タイプ？」
「そうそう。ペ・ヨンジュンみたいなタイプって、私はちょっと……」
「わかるわかる。だけど、記者会見の時の〈微笑みの貴公子〉って言葉がピッタリの、あのノーブルな微笑は素敵だと思うわ」
「じゃ、ムックできたら送りますね」
　そのムック『韓国シネマ＆ドラマ・スターＢＯＯＫ』が○○さんから郵送されて来た。（月刊誌の他に、こういう不定期の雑誌も編集している彼女は偉い！）
　ペ・ヨンジュンの他にイ・ビョンホンやパク・ヨンハなど主演のシネマ＆ドラマの紹介、現地での写真や、来日の様子の写真が掲載されていて興味深く見たり読んだりした。
　私はペ・ヨンジュンのファンではないが、『冬ソナ・ツアー』も『ヨン様フィーバー』も、多数の女性ファンたちを明るく元気に幸せにさせて、とてもいいことだと思っている。