一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

保存DVD

2013年01月31日 | 最近のできごと
 以前、VHSビデオデッキを使用していたころ、当時親しかった編集者の○○さんが、テレビで放送された名作映画をカセットテープに録画し、タイトルのラベルも貼ってコレクションしている話を聞いたことがある。私は繰り返し録画用のテープに数本録画して、次々観ては、また録画していたから、1本のカセットテープに1本の映画を最高画質で録画し保存しておくなんて、さすがコレクションしている人は違うと感心した。ところが、○○さんは、
「だけど、そのテープ、結局、観ないんだよね。録画だけしておくと安心するんだ」
「じゃ、飾っておくだけなのね。もったいない」
「ほとんどのテープが、学生時代に映画館で観てる映画っていうこともあるんだ」
 ○○さんは、そのうち観ようと思っていても、観る時間がないのだとも言っていた。
 現在の私は、ハードディスクで観た映画を、もう1度観たい映画だけダビングしてDVDに保存しておく。けれど、○○さんと同じ心理で、もう1度観るつもりでDVDに保存しておくと、それだけで安心して、そのうちそのうちと思いながら、なかなか観られない。もう1度観たら消去するかもしれないので、ラベルではなくタイトルを書いたメモ紙片をケースに貼り付けたDVDが、次々と重ねられ溜まっていく。○○さんと違うのは、ハードディスクで1度観てあることである。
(気分的にも時間的にも余裕があったら観ようっと)
 そう思いながら、ハードディスクに溜まった映画ばかり観てしまうので、ダビングDVDを観る余裕が、なかなかない。また、DVDに保存した映画がテレビで放送されるとハードディスクの録画でふたたび観て、消去するものの、
(もう1度観たいから、保存したDVDで観て、消去しようっと)
 ということに。好きな映画、感動した映画は、何度観ても飽きない性分である。
 年末年始は毎年、いつにも増してテレビを見る時間が長くなるが、今年もそうだった。ハードディスクで観ては消去していくが、もう1度観たい映画をダビングしてDVD保存したのが何本もある。
 その中で、映画ではなく舞台公演が2本。
 1本は、2012年10月赤坂ACTシアターでの劇場中継『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(NHK)。
 演出は齋藤雅文。
 原作は有吉佐和子。
 主演は坂東玉三郎。
 昔、有吉佐和子の小説はわりと読んだけれど、『ふるあめりかに袖はぬらさじ』のタイトルは知っていたが読んでいない。
 時代は幕末で、外国人を相手にする遊廓が舞台。主人公は年増芸者お園。恋人と結ばれず、外国人を相手にさせられるのを悲観して自殺した遊女が、遊郭の主人や瓦版で虚構のストーリーを作り上げられ尊王攘夷のヒロインとなってしまい、真実と偽りのはざまで、お園は心が揺れながら生きて行く。
 この舞台は1972年初演の名作で、1988年から坂東玉三郎が再演を繰り返しているということだった。ストーリーが面白く、シリアスなテーマだが喜劇っぽくて、ところどころクスッと笑ってしまう楽しさがあり、何より坂東玉三郎のお園役に感動させられた。
 もう1本は、2000年6月歌舞伎座の劇場中継『十八世中村勘三郎の至芸 歌舞伎「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」』(NHK)。
『ふるあめりかに袖はぬらさじ』と同様、『髪結新三』というタイトルは眼にしたことがあるので興味を持った。
 原作は河竹黙阿弥。
 主演は中村勘三郎、片岡仁左衛門、坂東玉三郎。
 材木問屋の一人娘のお熊と手代の忠七は恋仲だが、お熊は親に持参金付きの婿を取らされそうになる。それを知った髪結の新三は、忠七に、店からお熊を連れ出し駆け落ちするよう唆すが、騙してお熊を自宅に隠す。
 髪結いの新三という悪役を演じる中村勘三郎が、とても新鮮な気がしたし素晴らしくて魅了された。お熊役が板東玉三郎で、登場シーンは少ないが印象に残る。新三役の中村勘三郎が忠七の髪を整えるシーンが面白い。忠七役の片岡仁左衛門がりりしくて素敵だった。
 







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