一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

電子レンジ

2016年02月22日 | 最近のできごと
 昨年の12月、電子レンジが壊れた。と言っても、機能は正常のまま。温めも、解凍も、野菜の茹で物も、ちゃんとできる。
 けれど、ボタンを押すと、ガガガガガガガと、凄い音が発生するのである。
(な、何、この音……!)
 思わず、レンジの庫内を見たが、マグカップを乗せたプレートは、いつものように回転している。
 間もなく、ガガガガの音が止まって、終了サインのピピピ音。
 カップを取り出し、口をつけてみると、正常に温まっている。
 総菜の温めも、ブロッコリーを茹でるのも、問題なかった。
 翌日も、そのまま使い続けたが、ガガガガガガガの凄い音の発生は、もちろんレンジが壊れたのである。
 電子レンジが壊れたなんて、初めての経験である。買い換える時はいつも、新たな機能や便利な機能に惹かれたからだった。
 朝食、昼食、夕食と、1日3度、電子レンジを使う。正確に言えば1度の食事の準備に、数回は使用するから、1日10回ぐらいチンしている。
(ずいぶん酷使しちゃったものね)
 7、8年使用した電子レンジである。
 この数年、電化製品が次々と壊れ、そのたびにパニックになったりショックを受けたりしていたが、
(電子レンジまで壊れちゃった!)
 というショックは、それほど受けなかった。10年近く酷使したから壊れるのも無理ないからではなく、昨年の晩秋以降、激しいショックを受けたための情緒不安定の日々だったからである。
(新しいレンジ、買わなくちゃ)
 毎日、そう思っていたが、行きつけの家電量販店へ、なかなか買いに行けなかった。
「壊れたレンジを使い続けるのは危険」
 と、友人から忠告されていたが、それでも、なかなか買いに行けず、半月間も使用のたびにガガガガガガガの音を聞きながら電子レンジを使っていたのである。
 外出できないから買いに行けないわけでは、なかった。昨年11月から12月にかけて実家のある市へ毎週行き、多い時は週に3日も実家へ出かけた。
 帰りに家電量販店へ寄って電子レンジを買って来ようと、何度思ったかわからない。
 けれど、帰りの電車の中では、いつも胸に想いがあふれ、店へ行く気分になれなかった。
 半月後にようやく、毎回毎回、ガガガガガ音を聞くのに嫌気がさし、使用不能になるのも時間の問題と思われて、電子レンジを買いに行った。
 数日後、商品が届いた。壊れたレンジは引き取りなので、配送担当者がそれを玄関へ運び出して行く間、レンジ台の上をきれいに拭いた。
 間もなく配送担当者が商品の入った箱をかかえてきて、中から取り出し、レンジ台の上に置く。それから、プレート、説明書、保証書、アース線を1つずつ、その名称を口にしながら私に渡すので、
「ええっ、アース線、付けてくれないの?」
 驚いて聞くと、
「はい。私は配送だけの担当なので。設置は他の人が担当ということになってるんです」
 70代に見える善良そうな感じの配送担当者が答えた。
「でも、引き取ったレンジを買った時は、配送担当の人がアース線付けてくれたわ」
「決まりなんです。配送と設置は担当が別になってて」
 申し訳なさそうに配送担当者が言う。
「でも、私、アース線を付けたことなんて1度もないから、できないわ。今まで買い換えるたびに、配送して来た人が付けてくれたもの」
 すると、おとなしそうな善良そうな感じの配送担当者が、
「じゃ、やってあげます」
 と、アース線を付けてくれたので、ホッとした。
 こうして無事に新たな電子レンジを使用できるようになったが、
(電源コンセントは差し込んでくれて、アース線付けるのは設置の担当者だなんて、変なの)
 レンジのプレートを洗剤で洗いながら、おかしくなった。
(そう言えば……)
 18年前、現在住んでいるマンションに引っ越して来たばかりのころ、新しいテレビとテレビ台を買った。届けられた日、30代ぐらいの配送担当者が、テレビとテレビ台の箱を1つずつリビングルームに運び入れて、サインの紙を出すので、驚いた。当然、箱から出してテレビ台の上にテレビを置いてくれると思い込んでいたのである。
「ぼくの担当は配送だけなので。設置は別の担当者なんです。設置もこちらでやると料金も発生します」
 そう言うので、設置料金を払うと言ったら、その配送担当者は配送の仕事の担当で、設置の担当者に連絡することはできなく、買った時に言わないと駄目だと言うのである。
 アナログテレビで30数インチのテレビと、それ用の台である。私にはとてもテレビ台の上に、そのテレビを乗せることはできない。
 すぐにテレビを見られないと不満だったが仕方ない。
 配送担当者が帰った後、ちょうどその時、リビングの壁にエアコンを設置するための工事をしていた取り付け業者が、
「やってあげましょうか?」
 と言ってくれた。業者は2人で、脚立の上に乗って作業しているのが中年男性、もう1人はエアコンを一緒に運び入れた後は作業をしてない熟年男性。その熟年男性がそう言ったので、
「助かるわ。お願いします」
 と、ホッとして答えた。
 熟年取り付け業者が、箱からテレビと台を出し、説明書を見たりしながら、台の上にテレビを乗せる時は脚立の上で作業中の人に手伝わせて、テレビを設置してくれた。ビデオレコーダーも接続してくれたので、その夜から新しいテレビを見られた。
(あの時、エアコン取り付け業者が2人来ていて良かった)
 あらためて、そう思った。エアコンはやや大型だから、取り付けるのは1人でも運び入れるのに2人来たことが幸運だったのだ。
 ただ、その後、エアコンを買い換えた時、配送と取り付け業者が、壁に工事したコンセント口が大型用なので、現在使用の16畳用エアコンでないと適合しないため、工事をし直すか、コンセント口はそのままで新たに買ったエアコンを大きいサイズに買い換えるかしないと、取り付け不可能と説明された。リビングダイニングは12畳ぶんのスペースなので、そのスペース用のエアコンを買ったのである。
 結局、工事をし直すか大きいサイズのエアコンでないと取り付けられないので、業者は新しいエアコンを持ち帰った。
 コンセント口の工事費用と、やや大型エアコンを買う費用も比較したが、工事は時間がかかるに違いないので、また家電量販店へ行って16畳用エアコンを購入した。このエアコンは現在も使用中で、隣の和室の襖も開けたまま、前のエアコンの26~27度設定より低い、24~25度のリモコン設定で充分暖かい。風量、風向き、強度など自動運転設定だが、エアコンはメーカーの機器によって効果が少し違うから、リモコンの設定温度は変わる。
(私が家電製品を買う時って、本当に予想外のことばかり起こるのね)
 購入した時も壊れた時も、思ってもみなかったことが起こることが多い。これからは、そのことを覚悟しておかなくちゃと思った。




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