昨年の春先に、親しい知人と久しぶりに会ったら、知人は風邪の治りかけだった。風邪を引かなかったかと聞かれたので、5年前に引いたと答えたら、
「5年前にひいた?! そんなに頑張らなくたって」
と、呆れたような口調だったので、どんなリアクションすればいいのか、
「別に、頑張ってるわけじゃないんですけど」
小さく笑って、そう言うしかなかった。
私が何か特別のこととか、いろいろな努力して5年間、風邪を引かなかったと、知人がそんな考え方をするというのが、意外というより驚きだった。その知人にとっては、毎年、風邪を引く女のほうが可愛げがあるという感覚なのかもしれない。男の自分でさえ風邪を引くのに、女の私が引かないことが気に入らないようだった。
あるタイプの男性たちは、風邪を引いたり体調を崩したりする身体の弱い女のほうが、父性本能を刺激されて好きなのだと思う。その意味では、私は可愛げのない女ということになる。
この冬も風邪を引かなかったので、6年間、引いていないことになるが、知人が言ったような努力とか頑張りではなく、もしかしたら無意識のうちに風邪の予防をしているような冬の生活なのかもしれないと思い、自己分析してみた。
思い当たるのは――。
ずっと以前、風邪薬を買いに行った漢方薬局店で、店員の男性薬剤師から、
「風邪を引いたら、ビタミンCの果物をたくさん摂って、カロリーの高い食事をするといいですよ」
そう教えられた。風邪のウィルスを撃退するのは、ビタミンCと高カロリーの食物ということかもしれない。
それ以来、その薬剤師の言葉が、頭の中にイン・プットされている。
風邪を引いた時は、そのアドバイスどおりにして、短期間で治った。風邪を引かない時も、冬になると、無意識のうちに風邪予防のため、毎食後にビタミンCの果物を食べ、比較的カロリーの高い食事をしているような気がする。
また、風邪予防に欠かせないことは、外出先から帰宅した時の手洗いと、うがいをするのが常識と知っている。
冬だけでなく、帰宅したら手を洗う習慣があるから、その点は風邪予防になっている。
けれど、うがいは、面倒で、しない。
そう言えば、以前、歯科クリーニングに行った時の、担当の歯科医師が風邪気味で、精巧そうな医療用マスクを指さして、
「これ付けてるから、うつらないと思うけど、帰宅したらイソジンでうがいして下さい」
と言われたので、素直な私は、帰りに薬局店に寄って、イソジンを買った。
帰宅して、いつものように手を洗った後、そのイソジンでうがいしたら、洗面台が真っ赤になった。水を流しても落ちないため、洗面台下の扉を開けて、スポンジとクレンザーを取り出し、洗面台に広がった真っ赤な部分をスポンジでこすり洗いして、水をジャージャー流すのを繰り返しながら、
(うがいって、何て面倒なのかしら)
そう思い、買って来たイソジンは、その時しか使わなかった。いつか使う必要があるかもと、洗面台下の収納スペースの奥のほうに保存しておいたが、使用期限が切れているのに気づいて捨てた。
イソジンを使うと洗面台の掃除が大変なことは、ずっと以前に経験して知っている。うがいは、水では駄目でイソジンを使わなくては効果がないらしいから、もうずっと前から、うがいをしない習慣がついていたのである。
私が6年間、風邪を引いていないのは、昨年、知人から言われた、「そんなに頑張らなくたって。風邪ぐらい引きなさいよ」という言葉の、頑張っているわけではなくても、無意識のうちの風邪予防は、手洗い&うがいではなく、ずっと以前の薬剤師のアドバイスの、「ビタミンCの果物とカロリーの高い食事」という言葉が、脳にイン・プットされた冬の間の生活になるためのような気がする。
もっとも、ビタミンCの果物とカロリーの高い食事というのは、私の好きな食べ物なので、知人が言った「そんなに頑張らなくたって」と、風邪予防のために嫌いな物を無理して食べているわけではなく、むしろ、好物を食べられるということである。
というわけで、少々、冬太り、というほどでもないけれど、現在は48キロ台後半から49.3キロという結果に。標準体重の49.5キロはオーバーしてないが、夏に甘い飲み物や食べ物を控えて、せっかく48.5キロ前後にしたのに、またリバウンド気味。
けれど、風邪の季節は終わったから、毎食後のたっぷりの果物やカロリーの高い食事を少し減らして、また48.5キロを目指している。

「5年前にひいた?! そんなに頑張らなくたって」
と、呆れたような口調だったので、どんなリアクションすればいいのか、
「別に、頑張ってるわけじゃないんですけど」
小さく笑って、そう言うしかなかった。
私が何か特別のこととか、いろいろな努力して5年間、風邪を引かなかったと、知人がそんな考え方をするというのが、意外というより驚きだった。その知人にとっては、毎年、風邪を引く女のほうが可愛げがあるという感覚なのかもしれない。男の自分でさえ風邪を引くのに、女の私が引かないことが気に入らないようだった。
あるタイプの男性たちは、風邪を引いたり体調を崩したりする身体の弱い女のほうが、父性本能を刺激されて好きなのだと思う。その意味では、私は可愛げのない女ということになる。
この冬も風邪を引かなかったので、6年間、引いていないことになるが、知人が言ったような努力とか頑張りではなく、もしかしたら無意識のうちに風邪の予防をしているような冬の生活なのかもしれないと思い、自己分析してみた。
思い当たるのは――。
ずっと以前、風邪薬を買いに行った漢方薬局店で、店員の男性薬剤師から、
「風邪を引いたら、ビタミンCの果物をたくさん摂って、カロリーの高い食事をするといいですよ」
そう教えられた。風邪のウィルスを撃退するのは、ビタミンCと高カロリーの食物ということかもしれない。
それ以来、その薬剤師の言葉が、頭の中にイン・プットされている。
風邪を引いた時は、そのアドバイスどおりにして、短期間で治った。風邪を引かない時も、冬になると、無意識のうちに風邪予防のため、毎食後にビタミンCの果物を食べ、比較的カロリーの高い食事をしているような気がする。
また、風邪予防に欠かせないことは、外出先から帰宅した時の手洗いと、うがいをするのが常識と知っている。
冬だけでなく、帰宅したら手を洗う習慣があるから、その点は風邪予防になっている。
けれど、うがいは、面倒で、しない。
そう言えば、以前、歯科クリーニングに行った時の、担当の歯科医師が風邪気味で、精巧そうな医療用マスクを指さして、
「これ付けてるから、うつらないと思うけど、帰宅したらイソジンでうがいして下さい」
と言われたので、素直な私は、帰りに薬局店に寄って、イソジンを買った。
帰宅して、いつものように手を洗った後、そのイソジンでうがいしたら、洗面台が真っ赤になった。水を流しても落ちないため、洗面台下の扉を開けて、スポンジとクレンザーを取り出し、洗面台に広がった真っ赤な部分をスポンジでこすり洗いして、水をジャージャー流すのを繰り返しながら、
(うがいって、何て面倒なのかしら)
そう思い、買って来たイソジンは、その時しか使わなかった。いつか使う必要があるかもと、洗面台下の収納スペースの奥のほうに保存しておいたが、使用期限が切れているのに気づいて捨てた。
イソジンを使うと洗面台の掃除が大変なことは、ずっと以前に経験して知っている。うがいは、水では駄目でイソジンを使わなくては効果がないらしいから、もうずっと前から、うがいをしない習慣がついていたのである。
私が6年間、風邪を引いていないのは、昨年、知人から言われた、「そんなに頑張らなくたって。風邪ぐらい引きなさいよ」という言葉の、頑張っているわけではなくても、無意識のうちの風邪予防は、手洗い&うがいではなく、ずっと以前の薬剤師のアドバイスの、「ビタミンCの果物とカロリーの高い食事」という言葉が、脳にイン・プットされた冬の間の生活になるためのような気がする。
もっとも、ビタミンCの果物とカロリーの高い食事というのは、私の好きな食べ物なので、知人が言った「そんなに頑張らなくたって」と、風邪予防のために嫌いな物を無理して食べているわけではなく、むしろ、好物を食べられるということである。
というわけで、少々、冬太り、というほどでもないけれど、現在は48キロ台後半から49.3キロという結果に。標準体重の49.5キロはオーバーしてないが、夏に甘い飲み物や食べ物を控えて、せっかく48.5キロ前後にしたのに、またリバウンド気味。
けれど、風邪の季節は終わったから、毎食後のたっぷりの果物やカロリーの高い食事を少し減らして、また48.5キロを目指している。
