第7章 経営者人生の終い方 「出口戦略」 事業承継・M&Aと廃業
(2) 会社を親族に 〈譲る〉 「親族内継承」
今世紀に入るまでは、中小零細ファミリー企業の継承は息子がいれば、
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息子に承継する
のが当たり前でした。息子がいなければ
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娘に承継する
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子どもの配偶者や孫に承継する
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兄弟や甥姪に承継する
ことで、後継者探しという点ではそう難儀ではありませんでした。
しかし既に、子どもが家業のあとを継ぐのは当然だという時代はおわりました。大家族制の崩壊で兄弟家族との交流も希薄になり、家を出た兄弟や甥姪とも疎遠で交流が少なくなり、親族内承継も難しい時代です。
最近では子どもが何人かいても、中小企業経営者の子どもは総じて高学歴で、大企業で働いていたり高度専門職についており、誰もあとを継がないということが珍しくなくなりました。
親から、「後を継げ」と言われても、今の安定した生活をなげうって、リスクを取ってまで継ぐのを嫌がるのは理解できます。
経営者である親も、自分の子どもに自分と同じような苦労をさせたくないと思う人が多いのも理解できます。
しかし、そんな後継者候補の中に、
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家業を継ぐのは嫌だが、自分でやりたいとことがあるとか
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家業は業種が違うからやりたくないが、今の会社から独立して、起業したい
からという方々が少なからずいます。
第2章「(1)起業して10年以内に95%の会社は消えていく」で触れたように
法人の存続率は、起業から5年後まで生き残っている企業はわずか15%前後で、8割以上の企業が倒産や廃業に至っています。
起業して2~3年後に、精気のない顔で無料経営相談で私の前に座し
「私は他の社員と比べて営業力や販売力があって、会社に大きな貢献をしているのに他の社員と比べても評価に大きな差がない。顧客や仕入先も協力すると言ってくれている。起業して自分でやればもっと自分の思うようにして、もっと稼げる」と言って起業した30~40代の人が散見されます。
この章で、
中小企業庁の「創業・起業早わかりガイド」のなかに「創業・起業カンタンステップ」というページがありますが、これは「はじめて会社(という入れ物を創る)カンタンステップ」でしかありません。これを見て起業されたら、3年後には三分の一の会社も残らないのも仕方がないと思ってしまいます。「読むべき本・マニュアル」もこの段階で優先して読むべき本が少ないように思います。ほとんどの人が起業前に失敗の原因をつくっています。
とも話しましたが、親族内継承を考える経営者と親族内継承を打診されている子どもさんにぜひとも読んでいただきたい本があります。
この書籍を熟読した後、言い争いになることも覚悟して、双方が本音をぶつけ合って話をしていくことです。
そうすれば親子ですから承継する、しないのどちらの結論が出てもお互いが理解して応援しあえるようになります。
この書籍は
中沢康彦著・日経トップリーダー編 「星野佳道と考えるファミリービジネスマネジメント①継ぐべきか、継がざるべきか」 日経BP社です。
次回は、(3)継ぐべきか、継がざるべきか(星野佳道と考えるファミリービジネスマネジメントより)を予定しています。
このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2018」は井上経営研究所が発信しています。
さらに詳しくお読みになりたい方は井上経営研究所のホームページ「長寿幸せ企業への道」の「井上雅司の経営再建講座」をご覧ください。
井上経営研究所(代表 井上雅司)は
2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に
- 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
- 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
- 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業
に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。
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