(新)八草きよぴ(kiyop)非公式モリゾー愛ブログだトン

基地問題の狭間に拡幅工事中の東名大和トンネルを行く

東名高速道路大和トンネル。
全長280mのこのトンネル。東名高速のみならず全国一ともいわれる渋滞の名所としてニュースの交通情報で度々登場。神奈川県大和市の名を全国に轟かしている存在です。

通行量も多く渋滞も多かった東名高速道路も厚木IC~大井松田IC~御殿場IC間の3(4)車線化をはじめ長年にわたる様々な渋滞対策が行われ、かっての渋滞の名所が次々と脱落して「普通の混みやすい場所」になった今でも未だに渋滞の大王として君臨。
渋滞の原因はトンネル前後の区間の微妙な勾配の変化もさることながら「トンネルに入る」ことでの無意識な速度低下によるものと言われています。大和トンネルの渋滞は「大和トンネルが存在することによっておこる渋滞」といえます。



東名大和バス停から大和トンネルを望む。
普通トンネルといえば山や丘を越えるものをイメージしますが、大和トンネルの上に山も丘もありません。道路の上に蓋をしている暗渠のようなものです。

大和トンネルがあるこの場所は厚木基地滑走路の延長線上。飛行機の墜落事故時に東名高速道路上で二次災害を起こさないためのものです。
1961年には厚木基地からの離陸に失敗した戦闘機が滑走路終端部のすぐ先を横切る相鉄線大和~相模大塚間の線路上に墜落して架線を切断。幸いこの時は電車が来ないタイミングで大事には至らなかったもののこの事故の教訓で線路上に蓋をして短いトンネルのような形状になります。

更に1964年には以前にこのブログで紹介した「1964年大和米軍機墜落事故」が発生。離陸に失敗した戦闘機が開業前の東名高速道路予定地を横切って舘野鉄工所に衝突炎上という事故を起こしています。
1968年に開通した東名高速道路で事故の際の大惨事を防ぐ為に道路に「蓋」をしてトンネルが作られたのは当然のなりゆきと言えます。

1964年米軍機大和墜落事故の慰霊碑と泉の森(本サイト記事)
https://yaplog.jp/kiyop/archive/2879


現代日本で基地問題というと沖縄をイメージしますが大和トンネルとその渋滞も基地問題の一つです。

さてこの大和トンネルに実際に訪れてみることにしましょう。



相鉄線相模大塚駅で降ります。



相模大塚駅前は静かな住宅地の駅といった様相ですが、駅前には基地の騒音問題を感じさせる建物も・・。
相模大塚駅前は厚木基地滑走路北端から東に約500m。相模大塚駅前で携帯電話で通話していたら運悪く戦闘機の離陸に遭遇。電話で通話できないほどの爆音を体感してしまったことがあります。

厚木基地では平成30年3月末に米軍艦載機の岩国基地への移駐が完了し騒音は減少。一方で移駐後も滑走路から北3kmの南林間駅東口でも最大100db以上の騒音が測定されるなど予断を許さない状況が続いています。

(参考)
大和市ー航空機騒音測定結果と苦情件数について(2018年度)
http://www.city.yamato.lg.jp/web/kichi/noise-data2018nendo.html




駅前から相鉄線の線路沿いに横浜方面に向かう形に進みます。
駅近くには「いなげや」「オリンピック」「バーミヤン」「しまむら」と郊外型店舗が並ぶエリアが。いなげやの中には小さな駅前には似つかわしくないマクドナルドもあります。



道なりに歩くと掘割状になっている東名高速道路の防音壁があります。
東名高速道路に沿うようにわき道に入ります。



遊歩道にあるような道案内標識を発見しますが遊歩道という雰囲気はありません。
道幅が狭めな割に自動車交通量が多いので注意です



途中に東名高速道路の上を横切る橋があります。
大和1号橋から撮影した東名高速道路。写真奥が大和トンネル。
路肩側にもう1車線増設しようとしているのがわかります。



左側には草柳園という釣り堀がみえます。
この辺りが大和トンネルの入口。
下に東名高速道路と側道を横切るトンネル状の通路があるのですが上からでは分かりませんね。



大和トンネルの筐体が見えます。4車線化で作りなおしているので真新しいですね



4発の大型機が着陸する場面に遭遇

大和トンネルの上には東名高速道路を横切れる連絡通路があります(歩行者2本・車1本)
連絡通路でトンネルの上に出てみます



これが大和トンネルの上。工事現場の資材置き場のようになっていますね



大和トンネル出口(名古屋方面側)の上から東名高速本線を望む

東名高速道路のこの区間、短い距離で大和市・綾瀬市・海老名市と自治体が変わり、それぞれ横断橋に自治体PRの標語が掲げられています。それぞれの標語を楽しむのも東名高速の旅の楽しみの一つかも??
大和市では昨年4月の「70代を高齢者と言わない街」宣言や「年間300万人来館シリウス図書館」をPR。ヤマトンのこともPRして欲しいですね



もう一つの横断通路も渡ってみます
こちらの横断通路上には工事の概要を紹介する案内掲示がありました。



また作業員の休憩所と思われるプレハブ小屋もあり作業員のアクセス通路にもなっているよう。



横断通路の案内



工事手順の案内
トンネル躯体上部の木を伐採して盛り土を除去→トンネル躯体の横を掘って新しい壁を設置→新しい壁とトンネル躯体を接続して内側の壁を除去→再び盛り土をする
というような手順のよう。12月半ばに東名高速を通った際には新しい車線のスペースが見えたので、工事としては最終段階に近い、4車線化間近な状態のようでした。




大和トンネル周辺の航空写真も掲示されてました。
googlemapの航空写真を見てもわかるのですが、滑走路先端からの延長線上は、市の森林公園(ふれあいの森・泉の森)や墓地になっているのがわかります。ただ大和トンネルが少し東京寄りにあるのが気になります。もう少し名古屋寄りでもいいようにも見えますが、1964年の墜落事故を意識しているようにも感じます。

大和トンネルは延長280mと長めにとってあること。またweb記事では2重壁になっているとの記述もあります。
もしかしたら大和トンネルは離陸に失敗した飛行機の高速道路本線上の落下防止の他に、敢えて大和トンネル上に不時着(墜落)させて周辺民有地への被害を防止させる役割も想定されていたのでしょうか??2重壁なのはその為に強度を持たせるためとか???

(参考)
「東名大和TN、渋滞ワースト独占 対策案が抱える大きな問題」
https://trafficnews.jp/post/51098




工期は7月まで。工期は躯体の上に盛り土をして復原するまでを含んでいると考えると、4車線化自体はもっと早く(3~4月頃?)には開通するかもですね。

側道を歩いていると何処から何処までが大和トンネルなのかよく分からないぐらいです。工事中で柵で囲われているので尚更・・。外から見るとそのぐらい存在感のない大和トンネルです。



東名大和バス停交差点に出ます。この交差点の先が東名大和バス停。
バス停の先で小田急江ノ島線と交差します。
相模大塚駅から東名大和バス停までは徒歩約20分。東名バス停から大和駅までなら徒歩15分程度で行けるので、相模大塚駅周辺に用事があるわけでなければ、大和駅に向かう方がお勧めです。

都市化した街中の基地として沖縄の普天間基地の問題が取りだたされますが、東京都心から約30kmの厚木基地も都市の中の基地として問題を抱えてます。厚木基地絡みでの墜落事故は現在1977年の横浜市荏田の米軍機墜落事故以来発生していませんが、厚木基地周辺では部品落下事故や乗員・民間人ともに犠牲者がいない不時着などは近年でも発生しています。
過去に目を向ければ1950~1960年代には民間人の犠牲者が出なかったから現代では注目されていないものの、乗員が死亡するなど痛ましい事故も神奈川県内で数多く発生しています。

東名高速道路の渋滞から見えてくる基地問題。基地の存在の是非は別にして、このような背景にも目を向けてみたいものです。

(取材日2019年1月15日)

【PR】楽天市場で「東名高速」を検索

2019/1/19 2:12(JST)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「ヤマトンと大和市の話題(yamaton & yamato city)」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事