(新)八草きよぴ(kiyop)非公式モリゾー愛ブログだトン

2018年12月放送大学面接授業ー環境社会学

昨年2018年12月25~26日にかけて開催された放送大学神奈川学習センターの面接授業。
「環境社会学」を受講してきました。今回はその概要を紹介します

講義のテーマとしては以下の通り(シラバス引用)

環境社会学とは環境問題を社会学的に研究する学問です。今世紀最大の課題といわれている環境問題は地球的規模の問題として日々深刻さを増しています。環境問題は越境し国内的問題と国際的問題の両面の視点から捉えなければなりません。本講義は、環境と人間社会との相互作用から発現する環境問題について社会的側面(環境社会学)から把握理解して、その解決の手段について学びます。また、環境問題を克服して持続可能な社会をつくるために何をすべきかを共に考えます。

12月25日火曜日
第1回環境社会学とは何か
第2回環境問題の歴史-世界と日本の環境問題史
第3回環境問題の歴史-日本の四大公害病
第4回水環境を考える-今日の水環境

12月26日水曜日
第5回水環境を考える-東アジアの水環境
第6回持続可能な社会への視点-循環型社会の構築と低炭素社会
第7回持続可能な社会への視点-循環型社会の構築と3R
第8回環境基本法と環境法の理念・原則

講師は中央学院大学教授の佐藤寛氏。中国留学・また講師として大学での講義の経験があるそうです。

定員は40名。私は追加募集で12月初めに神奈川学習センター窓口で直接申込みしました。私が申し込んだ時点で8名程度空席がありました。

テキストは随時レジュメのような形で配布。参考資料として新潟水俣病及び環境基本法に関する冊子も配布されました。先生曰く、今回の授業の為に第一級の資料の提供を頂いたとのこと。

今回の講義は放送大学の放送授業「環境と社会」からの抜粋+αを学習するような形になっているそうです。私は「環境と社会」はまだ受講していませんが、今回の面接授業であらすじを学習しているので、単位取得も比較的楽かも??次学期以降で受講しようか迷いますね。

12月25日第1時限「第1回環境社会学とは何か」
まず最初に「環境学」「環境社会学」とは何かという定義からスタート
環境学とは:人間世界・生活を取り巻く環境で自然環境は都市環境、人文科学、地球自然や動植物について物理学・生物学・化学など広い分野からアプローチにより研究を行う学問分野である
「公害問題」「環境問題」「地球環境問題」の3種

環境問題の先駆者として知っておくべきー「レイチェルカーソン(沈黙の春)」「ギャレットハーディン(コモンズの悲劇)」「リンホワイト」「飯島伸子(日本人の先駆者)」

地球環境問題ー9つの現象の総体
地球温暖化問題・オゾン層の破壊・酸性雨・森林破壊・砂漠化・開発途上国の公害・生物多様性・海洋汚染・有害廃物の越境問題

地球温暖化問題:産業革命以降温室効果ガスの排出が顕著に。京都議定書、COP(締結国会議)など、アメリカ・トランプ大統領の離脱宣言など。
生物多様性:ワシントン条約、ラムサール条約など。バラスト水問題など。海洋汚染対策→マルボール条約
有害廃棄物の越境問題:「カリンB号事件」など。途上国が外貨獲得の為に安易に処理が難しい有害廃棄物を受け入れてしまう→バーゼル条約の採択に。日本の業者がフィリピンに医療廃棄物を不正輸出した例も。


第2回「環境問題の歴史-世界と日本の環境問題史」
世界の環境問題の時期区分



日本の環境問題史



環境問題は江戸時代以前に発生。欧州よりも1世紀遅れ。
最初期は鉱山問題。別子銅山の有害排水流出。加害者は発生源の責任は取らない。被害者から藩への訴えの記録も無く泣き寝入り。

明治時代~第1次大戦前。富国強兵・殖産興業の時代。被害者の抗議活動もあるが国策事業により解決困難。足尾鉱毒事件。茨城県日立鉱山など。戦前期は富国強兵の国策の時代。「黒煙は国家の繁栄を意味するものとして歓迎」「製鉄業の七色の煙」。工場の黒煙が美化され公害の認識がない

戦後、工業生産の復活に伴い公害問題も発生(1956年に工業生産力は戦前の水準に)。1955年~1964年の時期、経済第一主義。イタイイタイ病・水俣病など人体被害も発生する。1958年に水質2法(水質保全・工場排水)が制定。

1965年~1974年の時期、日本は公害大国に。国民が公害によって人命・健康被害を被る。薬害や森永ヒ素ミルクやカネミ油など食品害もこの時期。1970年には都内で光化学スモッグが発生し公害に反対する大衆運動ももっとも高揚する。背景として公害防止技術を伴わない生産力の向上や規制する法律・制度の不備など。利用可能な平地面積が少ない日本の地形的問題も。公害訴訟もおこる(4大公害+大阪空港問題)
1970年の「環境国会」にて14の環境関連法が成立。公害対策基本法(1967年→1970年改正)。国民の健康保護や生活環境保全が規定される。それを受け環境庁が成立。公害健康被害補償法など

1975年~1984年の時期に基本法成立を受け公害訴訟は被害者側が相次いで勝訴。加害者と被害者の関係が大きく転換する。そして1985年から現代までの時代、環境問題は地球環境問題に進化。加害者が別の被害者となるなど関係性の複雑化。世界的な問題になる。日本企業による公害輸出問題も発生する(東南アジア等に進出した現地企業が水俣病類似の被害を出すなど)


第3回環境問題の歴史-日本の四大公害病
日本の高度経済成長期に発生した4大公害病、水俣病・新潟水俣病・イタイイタイ病・四日市公害に関して紹介。水銀中毒の原因であるメチル水銀はアセトアルデヒト生成の際の副産物であったこと。公害の原因の一つとして当時は生物濃縮がよく知られておらず有害物質も海で希釈されて被害を生まないと思われていたことなど。
4台公害に関する参考文献:中央公論「4大公害」
この中で特に水俣病と新潟水俣病(阿賀野川水銀中毒)に関して自治体製作の紹介DVD「水俣病のあらましー水俣病と生きる」「新潟水俣病」が放映されました。また新潟水俣病に関しては新潟県提供の冊子が資料として配布されました(先生曰く第1級の資料であると)

2013年に水銀被害の阻止を目的に「水銀に関する水俣条約」が採択。水銀の根絶に向けた取り組みや日本の役割が期待される



DVDでは水俣病・新潟水俣病の発生から現在までが紹介。発生当初、原因が究明されない中で被害者は公害による病気だけでなく周囲から奇異の目で見られ差別される。また原因判明後も水俣は発生源のチッソの企業城下町であったこと。また魚が売れなくなることを恐れた漁業者など、発生企業だけでない加害問題が感じられた。
また企業活動への影響を恐れ、社内調査等で発生源が判明してもなかなか公表され新たな被害を生んだこと。国等による公式確認後も患者として認定されなかった人の問題など数十年以上に及び尾を引いていること。その間に多くの被害者が亡くなっていることを思うと非常に頭が痛い問題であると感じた。
これらの問題は高度経済成長期の負の側面として記憶した上で、日本を超え世界で再発を防止する為に国際社会をリードする日本の役割に期待したい。

第4回水環境を考える-今日の水環境
ここで人間の身体を構成する基本である水についてを学習する。
地球上の水の97.5%は海水であり淡水のうち大半は氷河や南北極の氷であり人間が使えるのは僅か0.01%。気候変動等で今後の降水量は予測できない。水の循環。蒸発→雲→降水。水の総量は変わらない
水の需要は世界で増加。減少することはないとされる。1995年は1950年の2.7倍。2025年は1995年の1.4倍増加する予想。今や環境・エネルギー・資源問題はアメリカ・中国を抜きには語れない
世界では過去500年の間に800回戦争が起こる。原因として水不足による水源地をめぐる争いが圧倒的に多い。21世紀は石油から水を争う時代に。

日本の降水量は世界平均の約2倍。
水資源の有効活用で再生水(中水)活用の動きも。東京都の芝浦再生水センター。オフィスビルのトイレの水や電車の洗浄などに利用。香川県では田んぼで使用。山に流すなど県の大綱でも規定。
イオン処理されているが飲用には適さないとされている。シンガポールでは水道用水と混ぜて使用。
全国の水使用の7割は農業用水。海水淡水化はコストが非常に高い。福岡に日本一の海水淡水化施設がある。節水トイレの普及など節水意識の向上も叫ばれる。

バーチャルウォーターという概念=日本は世界一の水輸入大国になる。


翌日12月26日第5回水環境を考える-東アジアの水環境
ここではモンゴルの水事情についてを紹介
モンゴル国の概要としてDVD「MONGOLIA」(モンゴル政府公式のものと思われる)を視聴
70年間ロシアの忠実な兄弟国であったが1990年に民主化運動。ロシアとの関係は近い。

首都ウランバードル市の水事情。トーラ川河川敷の大規模な水源地からポンプでくみ上げ。涵養林の類がなく原野などが驚く。伏流水の利用。1日29万㎥を取水。
現在、遊牧民がゲル地区を作り定住している。水道は引かれておらず地区内の給水所からトラックで輸送される。市民の水使用量は1人1日当りアパート地区120ℓ、ゲル地区8ℓ。日本での平均は320ℓである。

汚水処理問題。ソ連時代の処理施設の老朽化で汚水が未処理でトーラ川等に排水される。汚染が深刻化。ある河岸では糞尿のアンモニアで鼻が痛くなるほど。WHO、世界でもっとも汚染されている川の7つのうち第5位。
金の露天掘りなど鉱山汚染によるオルホン川の汚染で下流のロシア・バイカル湖が汚染されている。その他湖が家畜の糞で汚染されるなど汚染問題が深刻化していること。


第6回持続可能な社会への視点-循環型社会の構築と低炭素社会
ここでは「ゴミ処理」に関して紹介。循環型社会の構築とリサイクルの重要性。一般廃棄物と産業廃棄物。
古代のゴミ、生活空間から離れたところに投棄した貝塚。最古のごみ処理
江戸時代、人口増加、都市発達でゴミが増加。野焼きの禁止=火災防止。江戸では埋め立て地が出来、ゴミ投棄を監視する役人も。ごみ投棄に関する禁令も多く出されリサイクルも進む→リサイクル3業態(全てがリサイクルされたわけではない。近年陶磁器の埋め立て処分跡なども発見される)
一方で中世のパリ・ロンドンはごみ投棄などで衛生事情は悪かった。
明治~戦前期、焼却処分。戦中期の金属回収「もったいない」がスローガンに
昭和29年に清掃法。昭和45年に産業廃棄物法で産業廃棄物が初めて規定される。東京ゴミ戦争→「自区内処理の原則」1983年頃~豊島ゴミ事件。
集積場にゴミを捨て車両で回収を行う。ごみ排出の形態は戦前期から現代でも変わっていない。
進化した中国のエコタウンでは管の中を空気圧で送るシステムも実用化されている。中国は進んでいるところは日本よりもはるかに進んでいる。

第7回持続可能な社会への視点-循環型社会の構築と3R
この回と次回では経済産業省「資源循環ハンドブック2018」も全員に配布されて使用



2000年国会・循環型社会に関する法律6法成立。循環型社会元年・持続可能な社会に向けての取組がはじまる
持続可能な発展論。1987:グロー・ハーレム・ブルントラントがブラントン委員会で提唱
環境容量内での廃棄物排出
低炭素社会=二酸化炭素排出の少ない社会に
循環型社会の定義。



環境循環法
3R→リデュース・リユース・リサイクル
リデュースは使用量の抑制(素材使用量の少ないペットボトルの開発など)。リユースは再使用(一般的用語のリサイクルショップは実際はリユースショップ)。リサイクルは再生利用(素材にして再利用)

DVD「ペットボトルの水」(約30分)を視聴
ペットボトル入りの水について。単に井戸水をペットボトルに詰めただけ。
生産工場が地域の井戸水を枯渇させ地域住民が水を使えなくなった例なども紹介


第8回環境基本法と環境法の理念・原則
ここでは1993年制定の環境基本法に関して紹介
グローバル化にともない新しいタイプの環境問題が発生。国際化・広域化の流れなの中で一国だけでの問題ではなくなる。公害・自然破壊・気候変動・生態系への影響

環境基本法の理念



環境権
持続的発展が可能な社会の構築
国際的協調による地球環境保全の積極的取組

ここでは60分程度の短縮として残った時間でアンケート及び感想文の記入に。

ということで2日間に凝縮して地球環境問題に関して、様々な切り口から学んできました。
環境問題、地球環境という用語は社会でも頻出しますが、では「環境」とは何か??今一つ定義されずに使用されている部分が多々ありますが、今回の授業では「環境とは??」について過去の経緯から現代までを縦覧しつつ学ぶことが出来ました。
特に既に現代では環境問題が一国だけの問題ではなくなっていること。また特にアジア圏では大国である中国を無視しては語ることが出来ないことなど、過去に学校で習った時代の「公害」から大きく進化している環境問題に関して知識を整理することが出来ました。

第1回のレジュメで配布されたボパール事件。1984年インド・ボパールにて殺虫剤生産工場、ユニオンカーバイドインディア社の生産上の不手際で有毒ガスが大量流出。工場周辺の街では一夜にして2000人以上が死亡。15~30万人が被害を受け最終的に2万人前後が死亡したとされるという事件。何気に非常に衝撃的な事象ですが、授業内で扱われなかったのは残念。

今回の授業に限らず放送大学の他の面接授業に関してもですが、授業の最後に感想文の提出を求められることは多いですが、講師の先生の講評や特筆的な内容を全員に紹介するなど授業後にフィードバックがないのが残念です。Webサイト上で閲覧できるようにするなど何らかの形でのフィードバックが欲しいですね。

また今回の授業ではレジュメで使用されないスライドが多くて、出来るだけデジカメで撮影しましたがタイミング等の問題で撮影出来なかったのがちょくちょくあったのが残念です。この記事を書く際に撮影したものを目を通し直しましたが結構いい復習になります。出来るだけレジュメで配布してもらえるとありがたいのですが・・・。


【PR】楽天市場で「環境社会」を検索

2019/1/17 2:44(JST)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「その他の話題(食べ物etc) others」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事