さて大埔虚駅に到着です。九広東鉄では沙田につぐ主要駅という感じの駅です。ホームは火炭と同じ都営新宿線岩本町式の２面3線駅です。
（写真上・にぎやかな大埔虚駅の改札口）
ここでいったん下車して、香港唯一の鉄道専門博物館である「香港鉄路博物館」に向かうとします。
99年の訪問時に訪れた場所ですが展示物が増えたという話なのと駅降りのたびには欠かせない施設なので・・・
改札を出るとここも駅前に立つ高層住宅に目を奪われますが・・、博物館は大埔虚駅と隣の太和駅の間の線路沿い（羅湖方面に向かって右側）にあるので、線路沿いの道を進み、直ぐに線路をくぐる地下道があるのでそこを越えて、春暉園という公園の中を通ります
写真下：公園の中から撮影：駅を発車する電車。近くのお店でお持ち帰りしてここで電車を見ながら昼食を食べるのもよさそう・・
公園自体は人も少なく、子供をつれて散歩をしている人とすれ違った程度でした。
一旦街中にでて駅から15分弱で目的の香港鉄路博物館に到着です。
（本来は公園の中を通るより近い道がありました。実際行かれる場合は地図を見ながら行くと良いかと思います）
鉄路博物館の入口にある展示館。旧の大埔虚駅の駅舎をそのまま利用しています。
当時はこの場所に大埔虚駅があったのが電化時に現在の新駅に移転した模様。
旧駅舎利用の展示館の他には、本線に併走する留置線に実物の客車・機関車などを展示。
本線と線路は繋がっているようなので搬入などの際に役立っている模様です。
博物館自体は入場無料で香港人らしきお客さんがそこそこ来ていてカップルで機関車の前で写真を撮りあったりしていました。
以前（99年）に来た事があるというか・・この時点ですでに15時40分。あと3駅残ってる上に17時半～18時にはホテルに一旦戻らないといけないのでかなり早足で見物します。
展示館には電化前の風景の写真パネルも展示ありますが、1980年代初旬の撮影なのに、ローカル線然とした今とは全然違う様子でびっくりです。
各国の国際列車のＨＯゲージ模型も展示されていて日本の300系と400系新幹線もありました。
近頃新たに展示に加えられたらしい、51号ディーゼル機関車。
アレクサンダーという愛称付です。
その代わりに、電化時に投入された電車の実物大のカットモデルタイプのモックアップは撤去されていました。
他に機関車関係ではインドネシアに一旦売却されたのが鉄道博物館開館時に買い戻したという、タンク機関車（ＳＬ）もいます。
客車は下の電化直前まで活躍していたと思われる車両の他、戦前製の客車もいました。
196？年製の頭等（一等車）です。
車内はボックスシートですが快適そうな感じがはします。ちなみに非冷房車
1974年製の普通車（276号）近畿車輛製です
転換クロスシートです。通路幅が相当に広いのが特徴的。
写真中央部にある仕切りはデッキ部分で客室が3分の２と3分の１ぐらいのスペースに分かれています。
この車両のドア位置はかなり特徴的で、片方の車端部ともう片方の車端から3分の１ぐらいの場所（↑の写真のデッキ部分）の2箇所にあるのが、同じ2ドアといえども日本の客車（12系や50系）に較べて違うのが特徴的です。
ちなみにドア自体は12系客車などと同様の幅の折戸が設置されています。近畿車輛製だけあって日本の香りを感じます。
複線電化当時の鉄道ピクトリアル誌(注)によると、
（＊引用）
（非電化時代末期）「ラッシュ時には245％もの乗車率を誇る（中略）ラッシュ時には13～14両編成に達し輸送力の限界に達し・・・」
（＊引用終わり）
という記述があり、輸送力の確保が急務だった当時のラッシュ対策がしのばれる設計のような感じがしますね。
ちなみに車端にはトイレ設備もありました。
電化当初に投入された車両にもトイレ設備があり後に撤去された（現地鉄道サイトの記述）そうです。現在の通勤電車にはトイレはありませんが、元々汽車だった名残なのか近年開通の新線も含めて各駅にお手洗いがあるのは嬉しいところです。（ちなみにＭＴＲは駅にお手洗いがないので結構しんどい時が・・・むぅ～）
普通車が転換？クロス車で１等がボックス席というのは何かのネタで使えそうだ・・
さてざっと見物して16時ちょっと前に再び出発です。
8/24 1：00ＵＰ
（注）鉄道ピクトリアル誌83年12月号 425号 大阪市営地下鉄50年特集
110Ｐ～112Ｐ「変貌した九広鉄路 1983.7.16 複線電化開業」（徳田耕一）
http://www.toy-train.com/top.html
ToyTrainサイト
ホーム＞香港1979のコーナーに非電化時代の貴重な写真があります。すごいサイトです。
