今回は御殿場線の2020年3月14日ダイヤ改正について紹介します。
今回のダイヤ改正では日中時間帯の国府津発下りなどが大きく変わっている他、臨時列車の土休日運転の定期化、国府津発最終電車の繰下げなど、利便性向上に
なっています。
御殿場線ダイヤはあさぎり号沼津延長があった平成3年のダイヤの運転本数を基準としているので、実に29年ぶりとなる増発改正です。
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★国府津発時刻改正前
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国府津発時刻改正後
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ワンマン列車に関しては国府津発で下り各6本・上り5本で変わらずですが、ワンマン化当初に比べかなり減少しています。混雑時などに遅延の原因になるなど、癌のような存在で、行楽シーズン・高校の試験期間など混雑が予想される際は2両でも車掌乗務になる日があります。
今後315系登場による車両配置の再編なども予想される中で、ワンマン列車の去就には注目です。
★特急ふじさん号5往復体制は変わらず
ロマンスカーふじさん号(旧あさぎり号)は平日3往復
土休日1往復追加(11・12号)
土休日のうち繁忙期は更に1往復追加(31・32号)
の最大5往復体制となっています。
ふじさん31・32号は2018年3月改正ダイヤから登場しています。土休日かつ繁忙期のみ運転で運転日は少な目ですが、小田急の土休日ダイヤに組み込まれており、近年の小田急ダイヤでは珍しい存在です
下馬評では「特急ふじさん号は利用が振るわず廃止危惧」を耳にしますが、実際には土休日ダイヤではSE車時代も含めて最多の本数が設定されています。
近年の御殿場線は富士山観光やインバウンド需要の増大により乗客が増加、更には小田急が出資し2020年に御殿場アウトレットの増床・ホテル温泉施設のオープンなど需要増が期待されます。
一方で土休日は東名高速道路の混雑、アウトレット施設周辺の渋滞、駐車場混雑などで車で行きづらいこと、更に高速バスは運転手不足などで輸送力に限度があることも背景でしょう。
松田~御殿場間の約25kmで特急料金は860円(通常期)でこれは、小田急の新宿~町田間の約31kmの特急料金420円の倍額であることから「空いているように見えるが利益率が高い」ことには留意したいと思います。
ロマンスカーは車両数が少ない減量体制で運用されていますが、GSEをもう1編成増備してGSEによるふじさん号の運転に期待したいです
★臨時列車の土休運転列車としての再編定期化
御殿場線ではここ数年来、土休日を中心に臨時列車が運転されていました。
改正前
8691M・国府津10時58分→御殿場11時51分(御殿場到着後国府津に回送)
8693M・山北14時34分→御殿場15時00分(国府津発山北行の延長)
8694M・御殿場14時45分→山北15時9分(山北発国府津行きの延長)
改正後・土休日運転の定期列車として運転
5535M・国府津10時17分→山北10時43分→御殿場11時12分(沼津行・平日は国府津発山北行および御殿場発沼津行)
5550M・御殿場14時47分→山北15時15分→国府津15時40分(沼津発・平日は沼津発御殿場行および山北発国府津行)
国府津~山北の区間列車を土休日は御殿場方面に延長している形ですが、車両運用としては平日も回送で山北~御殿場を運転している模様。回送で走らせるなら平日も運転するべきでしょう。(恐らく社内手続き上の理由と推測)
この臨時列車は2019年頃~20年3月改正前は土休日・お盆期間・年末年始は全日運転され実質的に「土休日運転の定期列車」状態でしたが、今回のダイヤ改正では、正式に土休日運転の定期列車として再編されたことになります。
午後の山北行は午前中に移動したものの、国府津発御殿場行きの臨時列車は消滅。臨時列車込みで考えると減便となったのは残念なところです。
なお消滅した国府津10時58分発臨時列車は、国府津9時21分で到着した列車の2+2を分割した編成の沼津方編成は9時50分発、残りの国府津方編成を使用する形で運転。更に国府津13時7分発に間に合わせるために御殿場発の回送列車が設定されていました。
臨時列車は土休日全て運転されるようになっても、駅に小さな掲示が出る程度で、大きく宣伝されず、その時たまたま駅にいた人だけが乗れる状態。また自治体(山北町)がふるさと納税資金で制作配布したポケット時刻表には全く掲載されないなど、走っていることが認知されない状態でした。yahoo乗換検索などでは表示されたようですが・・。
今回、定期列車化されたことで認知が進み利用されることを期待したいですね。
★国府津発最終山北行の4分繰下げ
今改正では重要な利便性が向上する変更点です。
国府津発23時38分が23時42分発に4分繰下げされます
これは熱海発23時07分の東海道線上り小田原行きの最終列車が国府津まで延長(小田原23時31分発国府津23時37分発)され、この列車から御殿場線最終山北行きに接続を取るため。が表向きの理由です。
この繰下げにより国府津乗換えの御殿場線最終への接続時刻が熱海では32分、小田原では21分繰下げられることになりました。
更に松田発が23時52分から23時57分に5分繰り下がったことにより、小田急線小田原23時36分発成城学園前行から新松田で乗換えが出来るようになりました。(従来の新松田乗換えは最終接続は23時15分発本厚木行)
小田原発の最終接続時刻が約20分繰り下がったことにより、東海道新幹線の東京発最終こだま815号(東京22:48・品川22:55・新横浜23:07・小田原着23:22)から国府津経由・新松田経由ともに御殿場線最終に乗り継げるようになりました。
新幹線の料金は高いとはいえ、小田原・国府津・新松田などからタクシーを走らせることを考えれば安くつくケースも多いと思うので、覚えておいて損はないでしょう。
更にこの最終電車の繰下げにより東海道線東京方面からの接続関係も改善しています。
ダイヤ改正前
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時刻は発時刻。ライナー号は土休運休
ダイヤ改正後
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時刻は発時刻・ライナー号は土休運休
ダイヤ改正前の最終接続は東京駅22時30分発の湘南ライナー15号でしたが、ライナー号に平塚で追い越される沼津行普通からも接続するようになりました。
(沼津行の二宮→国府津が改正後+1分なことから国府津2番線到着と思われる)
これによりライナー号が運休となる土休日では東京・横浜・大船など各駅からの最終接続が約20分繰下がり相当な利便性向上が期待できます。
一方で平日は大磯・二宮以外は現状通りですが、先日の記事で触れたようにライナー号の特急化、現15号の平塚打切りの可能性を考えると、その布石のようにも感じます。
なお小田急線新宿方面からの新松田乗換えに関しては、新松田・平日23時44分、土休日23時42分着の列車(新宿22時21分発快速急行小田原行)となり、ダイヤ改正前後ともに変わりません。
今回の最終繰下げにより、下曽我~山北間各駅の利用客にとってかなりの利便性向上となりました。
なお国府津発最終は以前は23時35分発でしたが、ライナー号の遅延が多く余裕を持つために23時37分発となった過去があります。
★上大井駅での行き違いの増加
上大井駅は相対式2面2線の駅ですが、基本は上下列車ともに駅舎側の1番線を使用、行き違いのある時のみ下り列車が2番線発車となっています。その為か上大井駅の行き違いは必要最低限に抑えられていた印象ですが、今回のダイヤ改正で行き違いが2回増えています
信号システム上、下曽我の行き違いはかなり手前から徐行が必要になり時間がかかるので、それを避けるためでしょうか??
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上大井駅行き違い列車:改正前(7本)
これには載っていませんが11時8分発の臨時列車も2番線発着でした
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上大井駅行き違い列車:改正後
上大井駅ではこの発車ホームの理屈を知らずに「下り列車は進行方向左側のホームから発車する」と思い込み、知らずに2番線で待っていて列車が接近してから慌てる人も(中には線路に降りて横断する人も)見かけます。上大井駅から下り列車に乗車する際は注意して欲しいです。
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上大井駅での行き違い風景。
★その他の注意点
今回、国府津10時50分発の列車はふじさん32号のスジの関係で松田→御殿場間で平日・土休日で約8分異なります。
なお日中の国府津発を毎時50分に統一した影響で一部列車は上大井7分や松田10分など長時間停車が発生しています。
★まとめ
さて利便性向上もともなった久々のダイヤ改正となりました。よく「地方のローカル線は地元住民の物だ」という鉄ヲタ論がありますが、現状の御殿場線はインバウンドのみならず日本人も含めた観光客様様な状態です。
特に近年アウトレットや富士山の観光客が多く、行楽シーズンなどは夕夜は御殿場発車~松田まで3~4両で満員状態。ドア付近にいないと途中駅で降りるのも大変。という一昔前では考えられない状況にも遭遇します。
一方で日中の臨時列車の定期運転化だけでなく、国府津発最終の繰下げなど地元利用者にとっても利便性向上となっているのは評価したいところです。
国府津口に関して言えばあと2~3往復増発して、1時間間隔になるところを最大40~50分待ち程度で運転されれば、観光客、地元客共々かなり便利になると思うのですが・・。
今回の新ダイヤを時刻表をベースにダイヤグラムを引いてみましたが、本数が少ないように見えますが、特に特急ふじさん号が絡む場面など過密化し、それにより行き違い駅での3~5分以上の長時間停車が発生している箇所もあります。また御殿場駅での長時間停車等で御殿場で分断化している場面もあります。
イベント対応等ではなく定常のダイヤとして考えると現行の施設では、両方向に2時間に3~4本程度+ふじさん号。が遅延回復の余裕など考えて無理なく運転できる本数なのかな?と感じます。
施設としては特に行き違い駅間の距離が長い、松田~山北、足柄~御殿場、下土狩~沼津などがネックになっている感があります。東山北~山北、沼津駅高架化にあわせて沼津駅付近などが部分複線化されればだいぶ違うように思うのですが。
以前の御殿場線は大雨や台風の時など風速や雨量の規制値に関係なく、特に松田~御殿場間は計画的に運休(回送は運転)させるなど、特に沿線乗客には不便極まりない状態でした。ただ一昨年ごろからは計画運休を行わず、風速・雨量規制値による運休も、駿河小山で折り返し運転を行うなど、JR化初期のころ並みに良くなってきた感はあります(昨年の台風19号など東京圏の広範囲な計画運休は別の話)
「万年0点ののび太君が35点取ればまずはそれを褒めてあげましょう」といいますか、昨年来の取り組みを評価しつつ注意深く観察していきたいと思います。
輸送障害では新東名の工事と関係があるのかないのか、昨年ごろから特に夜間に動物との衝突が頻発しているのも気になるところです。
2020/3/17 19:09(JST)