児玉時計店 ブログ

時計・メガネ・宝飾・補聴器 取り扱っております。
古い時計の修理もご相談ください。

ラウンドケース 56 グランド 25J     2/3

2022-12-13 | 修理
ラウンドケース グランドセイコーのつづき 2 。

こちらはヒゲ棒間微調整付きの緩急針。

受けとのクリアランスが無く、
調整を行うための余裕がありません。
調整ネジも振り切っています。

受けからテンプを外し、

テンプからヒゲゼンマイを取り外します。

調整幅が確保できる位置にヒゲゼンマイを取り付け直し、
テンプを受けに戻します。

これで受けとの間に余裕が生まれ
調整を行うことが出来ます。

自動巻き部分を組み立てて、

カレンダー機構を取り付けます。

曲がりのあった秒針。

縦方向のみではなく

横方向にも曲がりがありました。

修正を行います。

縦も

横も真直ぐになりました。

分針は

ひねりも加わった、複雑な変形。

塗装を剥がし、

出来るだけ修正を行います。

修正後、元通りに表側のみ塗装し直します。

文字板と共にセットします。

各針のクリアランスも確保できました。


つづく。

ラウンドケース 56 グランド 25J     1/3

2022-12-12 | 修理
こちらもオーバーホールのご依頼をいただきました
グランドセイコー。

珍しいラウンドケースのモデルです。

裏ブタを開け、機械を取り出します。

秒・分針に曲がりがあるのが確認できます。

これ以上、変形させないよう注意して

各針を外し、

文字板、

曜板・日板を外します。

自動巻きのローターを外し、

下にある一番仲介車を取り外すと、

古い油が変質して緑色の粉状になっていました。

こちらは取り外した二番車。

以前にゼンマイを緩めずに分解されてしまったのか、
歯先が削れてしまっていました。

香箱は、

蓋を開け、古い油を洗浄するため

ゼンマイを取り出します。

巻き込み器にて巻き込んだゼンマイを

香箱に戻し、注油します。

針合わせ時にスリップする症状があり、
原因のツヅミ車は、歯先がかなり摩耗していました。

当店に在庫のあった純正新品部品(右側)と比較すると、

歯先外側のエッジが摩耗しているのが分かると思います。

針合わせが確実に出来るように交換します。

つづく。

セイコー 56 グランド 25J     3/3

2022-12-09 | 修理
56グランド 25Jのつづき 3 。

サビ取り、修正など行った各部品を

組み立ててムーブメントを仕上げていきます。

日板、曜板の上に

文字板を取り付けて

時・分・秒の各針をセットします。

サビの発生していた中枠。

板バネを外して、出来るだけサビを取り除き

元通りに取り付けます。

リューズにあるパッキンは

硬化していましたので

取り除き、

専用の新品パッキンを用意して

リューズに取り付けます。

ケースに機械を組み込んで、

中枠とリューズ・巻芯を取り付けます。

裏ブタにも新品のパッキンを取り付け、ケースを閉めます。

メダリオンがきれいに残っている裏ブタと

GSマークの入った純正リューズ。

皮バンドを取り付けて、

完成!!

セイコー 56 グランド 25J     2/3

2022-12-08 | 修理
56グランド 25Jのつづき 2 。

ヒゲゼンマイの外端に変形の確認できたテンプ部分。

受けからテンプを取り外し、

更にテンプからヒゲゼンマイを取り外します。

ヒゲ持ち付近と外端カーブに変形があるので、

修正を行います。

ヒゲ玉と受けの中心が

ピッタリ合うように調整を行い、

テンプにヒゲゼンマイを取り付け

テンプを受けにセットします。


駆動ゼンマイの入った香箱は

蓋を開け、中のゼンマイを取り外し

古いグリスをきれいに洗浄します。

巻き込み器を使いゼンマイを巻き込んで

元通り香箱にセット、

注油し蓋を閉めます。


サビの発生していたアンクルは

出来るだけ赤サビを除去します。


こちらもサビていた

一番仲介車。

サビたカナを一枚一枚、磨いていきます。

カナとカナの間のシャフト部分のサビも

きれいに取り除けました。

つづく。

セイコー 56 グランド 25J     1/3

2022-12-07 | 修理
オーバーホールのご依頼をいただきました、
こちらのグランドセイコー。

セイコーらしいデザインの皮バンドモデルです。

皮バンドを取り外し、裏ブタを開け、
中の様子を確認します。

自動巻きローター上の刻印が、
ベースキャリバーのロードマチックのナンバーになっていたり、

???の個所が見受けられるムーブメントです。

中枠にはサビが発生していました。

ケースから機械を取り出します。

各針を取り外し

文字板と、日・曜板も外します。

日板下の切換レバー類には

グリスが過剰にベッタリと塗り付けられていました。

???のローターを取り外します。

元のローターが使用不可能となり以前の修理で、
ロードマチック用を流用したのかもしれません。

こちらも???の部分。
本来なら付いているであろうと思われる
ヒゲ棒間隔の微調整機構が付いていません。

更にヒゲゼンマイの外端が変形していました。

分解を進めていきます。

つづく。