シチズン 10石 ポケットウォッチの天真新規作成作業。
取り外した問題のある天真。
当時の純正部品は入手困難の為、
当店にて新規に天真を製作いたします。
新規作成する材料の鋼材を用意し熱処理を行います。
硬度を上げるため焼き入れを施し、
一旦、表面の被膜を除き磨きます。
さらに弾力性を確保するために、焼き戻しを行います。
幅のあるハブの径も確保できる太さの素材が準備出来ました。
硬度の適性化が完了した素材を
時計旋盤に取り付け、切削して行きます。
天輪に入る部分を削り出し、
ヒゲ玉部を削り出すと同時に、
天輪にカシメるカラクリ部も削ります。
先端のホゾの部分を削り出します。
反対側の加工に移り、
ハブの部分を削り出します。
このまま下側を切削する方法もありますが、
振り座がラックで留めてあったように元の天真の精度が悪く、
振り座部の正確なサイズの測定ができないため、一度切り離します。
入念なセンター出しを行い、下側を切削して行きます。
振り座が、適切な圧力で留まるように、
太さを調整しながら削っていきます。
最後に下ホゾを切削します。
右側が新規作成した天真。
元の天真はホゾ部が長すぎるため、
適切な長さに仕上げました。
問題の振り座部も適切な太さに仕上がり、
シチズン10石ポケットウォッチ用天真、完成です。