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特別捜査密着24時の『妄想飛行~冗談は脳内だけにしろ~』で野村さんが言っていたこと
>>「9つも歳が違うと同じ学校に通うなんてことないしさ、妄想が膨らむよね」
>>「もう少し年齢が近かったら、こんなこともあったかな~っていう俺のロマンじゃーん」
みたいに譲二さんも妄想してたかな…と思ったらこんなお話が浮かびました。
なお、妄想の中の『マスター』は先代マスターです。
☆☆☆☆☆
妄想飛行~譲二の場合 その10
元気のない百花ちゃんにラム入りのココアを入れてあげた。
俺もラム入りのココアを淹れて二人で向かい合わせに座わる。
百花「…美味しい」
譲二「よかった。…ねぇ、百花ちゃん。何か悩みがあるなら…話を聞くよ?」
百花「…」
譲二「一人で悩んでいるより、口に出した方が楽になるよ?」
と、突然百花ちゃんの目から涙が溢れ出した…。
譲二「ちょ…、百花ちゃん…」
俺は慌てて、とりあえずティッシュを百花ちゃんにわたした。
百花ちゃんはすすり上げながらそのティッシュで涙を拭いた。
百花「ごめんなさい…、マスター。取り乱してしまって…」
譲二「もしかして…。一護と喧嘩でもした?」
百花ちゃんは一護のことが好きなんだろう。
そばで見ていればすぐわかる。
俺は彼女のことを…いや…今はこの気持ちは横においておこう。
百花「私…いっちゃんと一緒にいるだけで、とても楽しくて…」
譲二「うん」
百花「今まではいっちゃんも…私といると楽しいのかなって思ってた」
譲二「うん」
百花「でも、この頃、いっちゃんは私と一緒にいても上の空で…それで何かあったかなって思って、ハルくんに話してみたんだけど…」
譲二「うん」
百花「…ハルくんと二人で話している時にいっちゃんが来て…『お前は俺よりハルといる時の方が楽しそうだな』って…」
百花ちゃんはまた嗚咽を漏らす。
譲二「そっか…一護に誤解されちゃったのか…」
百花「私…そんなつもりじゃなかったのに…」
その後の言葉は涙の中に埋もれてしまった。
俺は百花ちゃんの頭をポンポンと軽く叩いて慰めた。
そしてもう一枚ティッシュを渡す。
譲二「一護もそんなこと言って…きっと今は後悔してるよ…」
百花「そうかな…」
譲二「うん…そうだよ。一護はすぐ強がったり、百花ちゃんに意地悪をいうけど…百花ちゃんのことを本当に大切にしているって思うよ」
百花「今まではそうだって思ってたけど…。今回は…」
俺は百花ちゃんの愚痴を聞いてあげるくらいしか何もしてあげられない…。
譲二「だって、百花ちゃんは一護のことが大好きなんだろ?」
百花「今まで、いっちゃんのことだけ見てきたけど…。この頃なんだかよく分からなくなってきた」
その言葉に何か引っかかった。
譲二「それは…もしかして、他にも気になる人ができた…とか?」
百花「どうして?マスターはそれを?」
百花ちゃんは涙で汚れた顔で、俺を見つめた。
譲二「いや、なんだかそんな気がして…」
自分で言いながら、ドキドキしている。
百花「私…この頃…」
譲二「うん」
百花「ハルくんのことが気になって…」
へ?
百花「いっちゃんのこととかハルくんに色々相談してたら…、優しく一緒に考えてくれるハルくんのこと…好きになってしまったかもしれない…」
それだけ言うと、百花ちゃんはテーブルに突っ伏して、声をあげて泣き始めた。
それって、百花ちゃん…。重大発言じゃないか…。
そして、そんなに泣くってことは一護のこともあきらめきれないんだろう。
俺はどうなぐさめたらいいのか分からないまま、彼女の柔らかい髪をそっと撫でていた。
妄想飛行~譲二の場合 その11へつづく