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この話はハルルートの譲二さんの「それぞれの道」の7年間の空白期間を埋める話をと考えて書き始めたものです。
ところが、書いて行くうちにハルルートの譲二さんの話からは外れ、全く違う結末のお話になってしまいました。
それで、upしたものかどうか悩みました。
二次創作の二次創作だし…。
ヒロインは娼婦だし…。
譲二さんは壊れてるし…。
不快に思われる方もいるかもしれません。
でも、一時お話をかけなくなった時期に書けるものを書こうと書き始めたのがこの話で、そういう意味では私を助けてくれた話とも言える。
アクセス数が減ってるということは読む人も少ないわけで、ひっそりとupするのならいいかなと思い公開します。
性描写もそれなりにあるので、18禁にしようかとも思ったけど、そもそもネットではそれを確かめるすべもないし。
だから、こういう話はダメという人は避けてくださいね。
上にも書きましたが、ハルルートの譲二さんの話から派生した物語なので、読んでない方は『それは突然の告白から始まった…』から『それぞれの道~その1~その5』あたりまで読んでもらえると、どうして譲二さんが壊れているのか…とかが分かると思います。
☆☆☆☆☆
近づいていく2人の距離~その1
〈譲二〉
翌朝、無性に美味しいコーヒーが飲みたくなった。豆から挽いて丁寧に淹れる。
いつもはここまでしないのだが…。
なんだかクロフネが懐かしい。
今は仕事に追われているけど、グループの経営が軌道に乗ったらクロフネのマスターに戻ろう。
そこまで考えてハッとした。
美緒の思い出から逃れたくて、クロフネから逃げて来たけど、ちゃんと帰りたいって考えていたんだ。
クロフネに帰ったら、毎日こんな風にコーヒーを淹れてお客さんと歴史談義に花を咲かせて…。
アリサ「おはよう」
譲二「あ、おはよう」
アリサ「早いんだね…。うわあ、コーヒーのいい香り」
譲二「今日は豆から挽いたから美味しいよ」
アリサ「ジョージって、ホントコーヒーに詳しいよね」
何気ないアリサの言葉にドキっとする。
そうか、アリサには俺が喫茶店のマスターをしてたことは話してない。
昔の思い出話はすべて美緒のことに繋がる気がして、アリサには話す気になれなかったのだ。
だから、アリサには俺のことは何も話せてない。
一緒に暮らしているのに、お互いのことを何も知らないんだな、俺たちって。
☆☆☆☆☆
朝食をとりながら、アリサをそっと眺める。
初めは美緒に似ているから惹かれたんだけど、今はアリサらしいところが好きだなと思う。
明るくていつも俺のことを気遣ってくれる。
だけど、自分の過去のことは話さないし、俺の過去のことも聞こうとはしない。
だから、何もしゃべらなくても落ち着けるし、一緒にいて安心できる。
アリサ「どうしたの?」
譲二「今日は少し早く帰れそうだから、どこかに出かけようか?」
アリサ「いいの?」
譲二「ああ。俺たちはデートなんかしたことがないよね」
アリサ「あたしみたいな女と一緒にいるところを人に見られたくないからだと思ってた」
俺はちょっと慌てた。
そんな風に思ったことはなかったから。
譲二「そんなことはないよ…。アリサといる所を誰かに見られたって、困るようなことは何も無い」
ふと蒸し返された見合い話のことを思い出して、少々後ろめたい。
アリサ「ほんとう?」
譲二「ああ」
アリサ「じゃあ、一緒に映画を見に行ってもいい? この前から気になってる映画があるんだ」
譲二「ああ、いいよ。それじゃあ、外で待ち合わせしようか?」
アリサ「ほんと? なんか恋人っぽいね」
譲二「そうだね」
無邪気に喜ぶアリサの姿は俺の心を和ませた。
その2へつづく