以前書き込んだこともある譲二さんのお話ですが、結末は完成してないものの少しづつupしていこうと思います。
お酒を飲んだ勢いで、譲二さんと一夜をともにしちゃった女の子の話です。
時期としては、本家吉恋のヒロインがクロフネに住み込む少し前の頃を想定してます。
川原柚葉…大学卒業して一年のOL、歴史オタク
茶倉譲二…喫茶クロフネのマスター、やっぱり歴史オタク
☆☆☆☆☆
なんでこうなった?~その8
〈柚葉〉
シャワーを浴びたあと、茶倉さんを探して廊下を歩く。
音がする方の扉を開けて驚いた。
(ここって…、まるで喫茶店…)
というより茶倉さんの家は喫茶店だったんだね。
だから、モーニングとか言ってたのか…。
譲二「すっきりした?」
私を見つけた茶倉さんが声をかけてくれる。
にこっとした笑顔が素敵でドキリとする。
柚葉「はい、ありがとうございました。…ここって、喫茶店なんですね…」
譲二「ああ…。昨夜もここを通って二階に行ったんだけど…、覚えてなかったんだね」
譲二「うちはクロフネっていう喫茶店なんだ。俺はここのマスター」
テーブルの上には厚切りのトーストとコーヒー、ハムエッグとサラダが用意されていた。
二人で向かい合って食事をするのはちょっと緊張する。
いい香りのするコーヒーを飲んでみた。
柚葉「美味しい…」
譲二「気に入ってもらえてよかった。コーヒーにはこだわりがあるんだ」
柚葉「豆から選んでいるんですか?」
ひとしきり、茶倉さんはコーヒーについてのうんちくを話してくれる。
昨日の歴史の話もそうだったけど茶倉さんの話はウィットに富んでいて楽しい。
さっきまでの気不味い雰囲気は消し飛んでしまった。
茶倉さんが時計を見た。
譲二「そろそろ、柚葉ちゃんも帰らないと行けないね。俺も店を開けないといけないんだけど…。駅までは送ってくよ」
柚葉「いいんですか?」
譲二「ああ、ここは吉祥寺なんだけど、駅がどこかは知らないだろ?」
柚葉「…はい」
道筋さえ教えてもらえば、一人でもなんとかなるだろうけど。
送ってもらえると確かに嬉しい。
譲二「じゃあ、ちょっとだけ待ってて。俺もシャワーを浴びてくるから」
そうだ。
茶倉さんもそのまま寝ちゃってたから、身体を洗いたいよね。
昨夜あったであろうことが思い浮かんできて身体が火照った。
ダメダメダメ。
柚葉「だったら、茶倉さんがシャワーを浴びている間に食器を洗っておきますね」
譲二「え? いいよ。それは俺が後でするから」
柚葉「いえ。美味しい朝食をご馳走になったし、これぐらいさせてください。時間も有効に使えますし」
譲二「そっか…。そうだね」
にっこり微笑んだ顔がまるで少年のようで、また胸はドクンと音をたてた。
その9へつづく