番外編『ひとつ屋根の下ストーリー』で思いついた譲二さんの危ないストーリー。
>>お母さんが10何歳下の男性と再婚して、その義父が譲二さんとか。
これを『ひとつ屋根の下・母の夫』として妄想したんですが、その譲二さん目線のお話も書いちゃったので、よろしければお付き合いを…。
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俺:茶倉譲二…大学二年生
メル友:森田宏子…16歳年上
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ひとつ屋根の下・妻の娘~その1
ご主人を事故でなくし、荒れているメル友の宏子さん。
今まで、何かと相談を受けてもらったり、力づけてもらって来た俺は彼女の力になりたいと思って、一生懸命慰めようとした。
そして、宏子さんに「それなら私を抱いてごらんなさい。あの人の代わりに一人の男として抱いてよ」と、言われた。
そんな風に挑発されると俺も男だから彼女を抱いている。
と、言っても、俺は初めてなので彼女にリードしてもらいながらなんだけど…。
ちょっと、情けねー。
☆☆☆☆☆
宏子「譲二くん…ごめんね…。こんなことに付き合わせて…」
宏子さんはうっすらと目に涙を浮かべている。そんな彼女が愛しい。
今まで温かくて頼りになる女性だとは思って来たけど…、こんな気持ちは初めてだ。
俺は彼女にそっとキスをした。
裸で抱き合っているとまたムラムラしてくる…。
譲二「ねぇ、宏子さん…。もう一回やってもいい?」
宏子「…いいけど…。宏子じゃなくて、ロコって呼んで」
譲二「ロコ、もう一回やりたい…」
宏子「いいよ…」
☆☆☆☆☆
宏子「譲二くん…。今日はありがとう。私に付き合ってくれて」
俺の胸に頭をもたらせながら宏子さんが言う。
譲二「そんな…俺の方がこんなにいっぱい気持ちよくさせてもらって…。それに宏子さんと結ばれて嬉しかった…」
俺は顔を赤くしながら言った。
宏子「ほんとう? こんなおばちゃんが初めての相手で嫌じゃない?」
譲二「嫌じゃないですよ。それに…抱いてみてわかったけど…、宏子さんはおばさんなんかじゃないし…。とっても奇麗です…」
最後の言葉は照れくさくて尻すぼみになってしまった。
宏子「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
譲二「お世辞じゃないですよ! 俺、宏子さんとこうなれて本当に嬉しいです」
宏子さんは抱きしめて唇にキスしてくれた。
宏子「譲二くんは本当に可愛いね…。でも、私のことなんて呼ぶんだったっけ?」
譲二「あっ、すみません。ロコ…」
宏子「謝らなくてもいいよ。…ちょっとからかってみただけなんだから」
そんな風に言う宏子さん、じゃない…ロコが可愛くて俺からも抱きしめてキスした。
譲二「ねえ、ひ…いや、ロコ。どうしてロコって呼んで欲しいんですか?」
宏子「どうしてだと思う?」
譲二「ロコって、あだ名ですよね? 俺ともっと親しくなりたいから…とか?」
宏子「…それもあるけど…。あのね、怒らないで聞いてね。
ロコという呼び名は、死んだ主人が恋人時代に呼んでくれていた名前なの…。
譲二くんの声は主人の声に似てて…。
目をつぶっていると死んだ主人に言ってもらえてるような気になるの」
譲二「それって…」
宏子「そう。ごめんね…。譲二くんを主人の身代わりにして」
俺は初めて、宏子さんの死んだご主人に嫉妬を感じた。
譲二「ロコ…。また、こんな風に会ってくれる?」
宏子「え?」
譲二「俺…、まだ学生でこんな若造だけど…、宏子さん…じゃなくてロコにふさわしい男になるから…。だから、俺の恋人になって欲しい」
宏子「恋人って…、私、譲二くんより16歳も年上なんだよ…」
譲二「年なんか関係ない。俺、こんなにロコのことが好きなのに…」
俺は宏子さんに覆いかぶさるとキスをした。そして、また彼女を抱いてしまった…。
今から思うと初めてのセックスの快感に舞い上がってしまって、そんなことを口走ってしまったのかもしれない…。
でも、その時の俺は大真面目だった。そして、彼女を一生守ろうと決心した。
それから、俺はメールではなく寝物語に彼女の悩みの相談を受けるようになった。
ご主人と死別したばかりの頃、娘の友梨花ちゃんは実家に預けられていた。
そして、ロコは娘を引き取れるよう、独り立ちしようとあがいていた。
娘の世話をしなくていい分、俺と会う時間は取れていて、2人で会ってはベッドを共にした。
その2へつづく
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俺:茶倉譲二
恋人:森田宏子
その娘:森田友梨花
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ひとつ屋根の下・妻の娘~その2
大学卒業後、俺は実家の茶堂院グループに入社し、幹部候補生として仕事を始めた。
それまで、実家の企業に入ることを嫌がっていた俺だが、ロコにふさわしい大人の男になるためにはそれが近道だと考えたからだった。
仕事上で年より若く見られがちだった俺はヒゲを伸ばすようになった。
これはロコと2人で並んだ時に彼女との年の差を分かりにくくするためでもあった。
2人でデートする時、ロコは俺より老けてみられるのをひどく気にしていたからだ。
☆☆☆☆☆
一人の女性の人生を引き受けるなど、生半可な覚悟じゃできないと思い知らされたのは、25歳の時だった。
その頃、会社ではかなり重要なポストをまかされるようになっていて、なかなかロコと会う時間が取れなくなっていた。
ロコからメールが入った。
『ジョージ、すぐに私のアパートに来て
ロコ』
ロコとはこの一月ほど、週一くらいでランチを食べに行くくらいしか会えていなかった。
メールのやり取りは頻繁にしていたから、ロコの神経がそんなに追いつめられているとは思いもよらなかった。
しかし、メールの文面に胸騒ぎを覚えた俺は、仕事の合間に電話してみた。
譲二「ロコ、どうしたの?」
宏子「ジョージ…、すぐに会いたい。…会いに来て」
彼女はろれつがまわっていない。
譲二「お酒を飲んでるの?」
宏子「うん…飲んでる。…だって…、寂しいんだもん…。ジョージに会いたい」
譲二「アパートにって言っても、友梨花ちゃんはどうしたの?」
宏子「友梨花はね…、夏休みだからしばらくおばあちゃん家でお泊りしてる。だから、私一人なんだ…。だから…泊まっていけるよ…」
譲二「でも、今日はまずいよ…。まだ仕事が入ってるし、今から人と会わないといけないんだ」
宏子「私と仕事とどっちが大事なの? 私がおばあちゃんだから、もう嫌になったんでしょ?」
譲二「そんなことないよ。ロコのことは…愛してる…」
宏子「うそ!」
譲二「うそじゃないよ…」
彼女との電話は埒があかなかった。
何とかなだめて電話を切ったが、ひどく気にかかって、仕事の打ち合わせは平身低頭して、別の日時に変えてもらった。
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急いで彼女の部屋に向かう。
部屋には鍵がかかっていて、インターホンを押しても返事がない。
胸騒ぎがした。
友梨花ちゃんがいるので、その部屋で会ったことはあまりないが、合鍵は持っていたので開けて中に入った。
ロコの名を呼びながら探す。
ベッドの上で倒れているロコを見つけた。
側には中身が半分くらい入った酒瓶と空の睡眠薬の瓶がある。
俺が驚いて、名前を呼びながらロコを揺さぶると「うーん」と言って薄目を開けた。
宏子「ジョージ…、来てくれたんだ…」
譲二「何してるんだよ!」
宏子「ジョージが…来てくれなかったら…死んじゃおうと…思って」
譲二「何バカなこと考えてるんだ! 薬、どれ位飲んだの?」
宏子「あるだけ…。20粒…くらい?」
譲二「ばか!」
俺は大きなコップに水を汲んで来て彼女に飲ませた。そして、洗面所に連れて行くと指を入れて吐き出させた。
何度かそれを繰り返し、夜間診療の病院に連れて行った。
俺の処置で薬はほとんど吐き出していたが、念のために胃の洗浄もしてもらった。
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部屋に連れ帰る頃にはロコも正気に戻っていて、泣きながら謝った。
宏子「…ごめんなさい。ジョージ、ごめんなさい。もう、私のこと嫌になった?」
俺に会えない当てつけに、自殺未遂のようなことをしたことへの嫌悪感を言い当てられた気がして、俺は言葉に詰まった。
ロコは真剣な目で俺を見つめている。
譲二「俺が今、一人前になりたくて必死で仕事してるのはロコのためじゃないか…。それなのに、なんでこんなことするの?」
宏子「そんなこと…よくわかってるよ…。
でも、一人でいると…ジョージには私みたいな女、ふさわしくないような気がして…辛くてたまらなくなるの。
いつかあなたに捨てられるんじゃないかって。
それなら今死んでしまった方がましだって…」
譲二「俺のこと…もっと信じてよ。俺がロコのこと捨てるわけないじゃない。」
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ロコを抱いた。
一ヶ月ぶりだったが、驚いたことに彼女は随分痩せて小さくなっていた。
不安そうに俺に縋り付く、小さな生き物…。
俺は…、一人の大人の男として彼女を一生守ろうと心に誓った。
二十歳のときの決心は舞い上がってフワフワしたものだった。
だけど、このとき俺は本当の覚悟を決めた。
その3へつづく
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俺:茶倉譲二
妻:茶倉宏子…俺より16歳上
その娘:森田友梨花…俺より10歳下
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ひとつ屋根の下・妻の娘~その3
28歳の時、ロコにプロポーズされた。
俺は驚いた。
友梨花ちゃんもいることだし、俺たちの関係は恋人のままだろうと思っていたから…。
宏子「友梨花がね。『お母さん、好きな人ができたら結婚してもいいよ』って言ってくれたの」
頬を染めたロコはとても愛らしい。
譲二「俺で…いいの?」
宏子「ジョージ以外にいないじゃない。この八年間私を支えてくれたのはジョージなんだから」
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行きつけのレストランで友梨花ちゃんに紹介されることになった。
事前の話し合いで、友梨花ちゃんが俺のことを覚えていないようなら、俺が昔なじみのじーじだということは敢えて言い出さないことになっていた。
高校3年生になった友梨花ちゃんを一目見て…、俺のハートは打ち抜かれた。
これが…あのちっさくて泣き虫の友梨花ちゃん…。
ロコに写真は見せられていたし、遠目なら何度か見たことはあった。
しかし、すぐそばで見た彼女はあまりに愛らしくて、俺の心臓は鷲掴みにされた。
俺は…お母さんの若い恋人…。
でも、嫌悪感も見せず、キラキラした瞳で俺のことを見つめてくれる。
彼女と色々おしゃべりしながら、俺は舞い上がっていた。
宏子「ジョージ、もしかして緊張してる?」
譲二「かもね。仕事柄、こんな若い女の子としゃべる機会なんかないからね」
宏子「わぁ、ジョージは私なんかより若い子の方がいいんだ」
心の中を見透かされた気がして慌てて言う。
譲二「そんなこと言ってないだろ?」
友梨花ちゃんはニコニコしている。
友梨花「二人とも、仲がいいんですね。譲二さん。お母さんのことよろしくお願いします」
譲二「こちらこそ。俺が友梨花ちゃんのお父さんになるのはおこがましいから、親戚のお兄さんが一人増えたとでも思ってくれるといいよ」
友梨花「はい。そう思うことにします」
その場で俺たちの式の日取り…、教会での簡単な式と3人での食事会の日時が決まった。
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2人と別れて帰る道すがら、ぼんやりと考える。
(俺、間違ったことはしてないよな…。友梨花ちゃんのことが好きになったからと言って、今さら「結婚は考え直してくれ」なんてロコに言えないよな…。)
それに…、そんなことを言ったらまた3年前のようにロコは自傷行為に走るだろう…。
何考えてんだ。
ロコのことを一生守るって誓ったじゃないか…。
男が一度決めたことは簡単に撤回していいわけはない…。
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教会での結婚式。
俺たちは平服でいいと思っていたが、友梨花ちゃんはどうしてもとロコにウエディングドレスを着るように勧めた。
それでよかった。
ウエディングドレス姿のロコはとても奇麗で輝いていた。
俺はまた彼女のことを惚れ直してしまった。
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3人での新生活。
俺のマンションも彼女の部屋も3人で住むには狭すぎた。
前々から目をつけていた家を買って3人で住むことになった。中古物件だけど程度がいいので、押さえてあったものだった。
寝室の壁が防音処理されていたこともこの物件を買う決め手だった。
年頃の女子高生には俺たちの夜の営みは刺激的すぎるだろうから…。
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今まで一緒に暮らせていなかったから、ロコとベッドを共にしても朝まで一緒に過ごすことはまれだった。
結婚して2人で朝まで一緒に過ごせる。添い寝できるというのは素直にうれしい。
結婚したばかりの頃こそ、毎晩のようにセックスしていたが、そのうち2人で抱き合って眠るだけでも満足できるようになってきた。
子猫のように俺にしがみついて眠るロコがとても愛しい。
そう、ロコへの愛情は変わらない。ロコを大切に思う気持ちも…。
違うのは、もう一人とても大切で気になる女性ができたこと…。
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友梨花ちゃんと一緒に暮らし始めて、彼女と朝晩の挨拶をしたり、おしゃべりしたり、一緒に料理を作ったり、掃除をしたり…その何気ない日常がとても楽しい。
自分の心を押しとどめようとしても、友梨花ちゃんへの思いは溢れて来る。
必死に…誰にも(とくにロコには)気づかれないよう平静を保った。
その4へつづく
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俺:茶倉譲二
妻:茶倉宏子…俺より16歳上
その娘:森田友梨花…俺より10歳下
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ひとつ屋根の下・妻の娘~その4
友梨花ちゃんに告白されてしまった…。
以前から俺に好意は持ってくれてると思ってたけど…。
あんなに思い詰めていたなんて…。
なんとかはぐらかそうとしたけど…。結局、俺も彼女が好きだと告白してしまった。
2年も思い続けていた子にあんな可愛い顔で告白されたら…誰だって「好きだ」と言ってしまうだろう…。
単なる言い訳にしかならないけど…。
そして…、彼女を抱きしめてキスまでしてしまった。
…ロコを裏切ってしまった…。
浅はかなことをしたと反省している。
友梨花ちゃんの気持ちに応えてあげることはできないのに…。
彼女に「お母さんより先に譲二さんに会いたかった。そしたら…お母さんなんかに渡さないのに…」と言われて、とても複雑な気持ちだった。
友梨花ちゃんにはロコより先に会っているよ、俺はじーじだよと打ち明けようかと迷って…結局打ち明けられなかった。
たとえそれを打ち明けても、どうにもならないことなのだから…。
☆☆☆☆☆
あれから一週間。彼女と顔を合わせても何事もなかったかのように振る舞っている。
彼女はいつも俺に目で訴えてくれるけど…。ごめんね、俺はその気持ちに応えてあげることはできないんだ…。
ロコと友梨花ちゃんは親子だから、声も仕草もよく似ている。
ロコを抱きながら…、友梨花ちゃんもこんな色っぽい顔をして、こんな可愛い声で喘ぐんだろうかと考えてしまう。
ロコに気づかれるとまずいから、急いでそんな考えは頭から追い出すようにはしてるけど…。
俺は…ロコにも、友梨花ちゃんにもひどいことをしている。
☆☆☆☆☆
朝食の席でロコが突然こんなことを言い出した。
宏子「ジョージ、来月から夜勤を入れようと思うの」
譲二「それは…。ロコが構わないのなら俺はいいけど…。でも、身体にキツいから、夜勤は入れないようにするって言ってたんじゃないのか?」
宏子「そうなんだけど、今度の職場にもだいぶ慣れて来たし、新しく入った子が一人辞めてね。やっぱり私もシフトに入れないと回せそうにないの」
譲二「辞めた子がいるとは聞いてたけど、そんなに大変なのか…」
宏子「それでも、私の夜勤は週一くらいで済むと思うから…。本当にごめんね」
週に一度、友梨花ちゃんと2人だけで夜を過ごすことになる…。もちろん、寝室は別なのだから、俺が変な気を起こさない限り何かが起きることはない。
でも、友梨花ちゃんと2人だけで夜を過ごせることに喜んでいる俺がいた。
2人で夕食をとって、2人でおしゃべりをする。それだけでも、うれしい。
ごめんね、ロコ。
☆☆☆☆☆
その最初の夜。
俺は仕事を早めに切り上げて、友梨花ちゃんの大好きなハンバーグを作り始めた。
自分でもバカなことをしていると思った。まさか、彼女に手を出す気なんじゃないだろうな、と、心に問いかける。
もちろん、そんなつもりはないけど…。
でも、せっかく2人だけで過ごすのだから、彼女の喜ぶ顔がみたい。
帰ってきた彼女と一緒に夕食のしたくをし、ロウソクと花で飾ったテーブルで食事をしながらひと時をすごす。
彼女とのおしゃべりは楽しい。ずっと、毎日こんな風に過ごせたら…。
話がとぎれて、沈黙が訪れた。友梨花ちゃんと見つめ合う…。
ダメだ。俺は視線をそらせた。
譲二「もう、こんな時間か。友梨花ちゃん、お風呂ができてるから先に入って来るといいよ。ここは俺が片付けるから」
友梨花ちゃんが俺の手を掴む。
友梨花「この前みたいに…2人だけの時は恋人でいて欲しい…」
俺は彼女の手を両手で優しく包んだ。
譲二「友梨花ちゃん…。この間はあんなことをしてしまってごめん。無責任なことをしてしまったって反省してる」
友梨花「譲二さんを困らせてしまうのはわかってる…。お母さんと別れられないのも分かってる…。でも、2人だけの時は私の恋人になって欲しい」
そんな可愛いことを言われたら…俺だって…。
譲二「友梨花…」
俺は友梨花ちゃんを抱きしめた。そして、優しく…だんだん深く…キスした。
キスをやめると友梨花ちゃんは大きく息を吐いた。
譲二「もしかして、息を止めてた?」
友梨花「だって、口が塞がれてたもん…」
譲二「そういうときは鼻で息をするんだよ」
友梨花「そうなんだ」
2人で顔を見合わせて笑った。
譲二「そうそう。友梨花ちゃんはそんな風に笑ってるのが一番可愛いよ…」
笑うとこんなに可愛いのに…。その笑顔を消しているのが俺だと思うと胸が痛んだ。
その5へつづく
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俺:茶倉譲二
妻:茶倉宏子…俺より16歳上
その娘:森田友梨花…俺より10歳下
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ひとつ屋根の下・妻の娘~その5
ロコが夜勤で、初めて友梨花ちゃんと2人だけで過ごす夜。
友梨花ちゃんに問われるまま、ロコとのなれ初めを話した。
そして、俺がじーじだということも打ち明けた。
譲二「友梨花ちゃんに手を出しておきながら、こんなことを言うのは卑怯なんだけど…。君のお母さんと別れるわけにはいかない」
友梨花「どうして?」
譲二「ロコは一人では生きて行けない女(ひと)なんだ…。彼女を守って支えてくれるパートナー無しには…。
俺はずっと前に彼女を守ると決めた。今さら他に好きな人ができたから別れようとは彼女には言えない。それに、そんなことを言ったら彼女がどんなになってしまうか…」
友梨花「でも…。でも、私は? 私にだって譲二さんは必要だよ」
譲二「ありがとう。でも、友梨花ちゃんはまだ若い。俺なんかよりもっと若くて頼りがいのある男にこの先いくらでも出会えるさ…」
友梨花ちゃんが俺の胸にしがみついた。
友梨花「譲二さんより若い男の人なんていらない。譲二さんより頼りがいのある人なんていない。私には譲二さんしかいないのに…」
そんな風に言ってもらえても、俺は彼女の気持ちを受け取ることができない。
譲二「…友梨花ちゃん…。ごめん…。ごめんね…」
ただ抱きしめながら謝るしかできなかった。
そして、彼女の柔らかい身体を抱きしめるのをやめることも出来なかった。
俺たちはしばらくそのまま抱き合っていた。
☆☆☆☆☆
長い抱擁を解いて、涙で汚れた友梨花ちゃんの顔を見つめた。
譲二「それじゃあ、こうしよう。
今日みたいにロコがいなくて2人だけの時には、お互いの気持ちを素直に出すことにしよう」
友梨花「それって…」
譲二「俺は友梨花ちゃんが好きだっていう気持ちを隠さない。
友梨花ちゃんも俺に甘えてくれて構わない。
でも、ロコにだけは…それを知られないようにする。どう? 協力してくれる?」
友梨花「譲二さんのことを恋人みたいに思ってもいいの?」
譲二「ああ。恋人といっても、大したことはできないと思うけど。こんなことぐらいしか…」
彼女の可愛い唇にキスを落とした。できることなら、他の男には渡したくない…。
友梨花ちゃんがうっとりした表情で見上げてくれる。
彼女を抱きたい…。でも、それだけは許されない。
いつか…、彼女が好きな男を見つけて俺の前から去るときのために…。彼女の身体は奇麗なままにしておいてあげないと…。
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それから、俺たちはこっそりと付き合うようになった。
決して誰にも悟られてはならない、秘密の恋。
それは例えようもなく甘いけど…とても苦しい。
☆☆☆☆☆
翌朝、友梨花ちゃんが出かけるのと入れ違いにロコが帰ってきた。
宏子「ただいま…。あ、朝ご飯作ってくれたんだ。ありがとう…どうしたの?」
戸惑うロコを抱きしめて熱いキスをする。
譲二「…ロコ…」
宏子「…ねえ…どうしたの?」
自分が止められない。
昨夜、友梨花ちゃんに手を出さないよう抑えていた欲情が溢れて、ロコを翻弄してしまう。
キスしながらロコの太ももをさすり、スカートの中に手を入れた。
ロコは俺の執拗な愛撫に戸惑いながらも、応えてくれた。
結局、リビングのソファの上でロコを抱いてしまった。それもブラをずらし、ショーツは片方脱がせただけの姿で…。
☆☆☆☆☆
譲二「ごめん…。夜勤明けで疲れているのに…」
宏子「ううん…。私も昨日ジョージに会えなくて寂しかったから…。抱いてもらえて嬉しい」
ロコがシャツからはだけた俺の胸に顔を埋めて囁いた。
胸が痛い。
本当は友梨花の身代わりで、俺は時々友梨花を抱いているつもりになっていたのに。
後ろめたさを誤魔化すために、ロコに深くキスをした。
譲二「ごめん…お腹も空いてるよね。俺はもう出かけないと…」
宏子「ジョージ、寂しくさせてごめんね」
譲二「ううん。名残惜しいけど、続きはまた今晩ね。それまで、ゆっくりおやすみ」
ロコの額にキスするとロコは頬を染めた。
ロコ、ごめんね。心の中で謝る。
ずっと大切にするから…。俺の人生はロコに捧げるから…。
友梨花ちゃんを思うことだけ、許して…。
その6へつづく
☆☆☆☆☆
俺:茶倉譲二
妻:茶倉宏子…俺より16歳上
その娘:森田友梨花…俺より10歳下
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ひとつ屋根の下・妻の娘~その6
夜、仕事から帰って来るとロコが台所に立っていた。しかも、友梨花ちゃんと楽しそうに夕食を作っている。
譲二「ただいま…」
宏子「お帰りなさい。夕食、もう少し待ってね」
譲二「今日は作ってもらえるんだ…。楽しみだな」
友梨花「お帰りなさい」
一瞬、友梨花ちゃんと目を合わせてすぐにそらせた。
まだ、ロコの前で堂々と友梨花ちゃんと目をあわせられそうにない。
☆☆☆☆☆
夕食は3人でなごやかにとった。
3人ともそれぞれの思惑からその場を盛り上げようと努力していたからだろう。
風呂はロコに先に入れと言われ、一番に入った。
寝室で待っていると、ガウン姿のロコが部屋に入って来た。
2人で抱きしめ合う。ロコはガウンの下には何も付けていなかった。
☆☆☆☆☆
息を整えながら、2人でベッドに横たわっていた。
譲二「せっかくお風呂に入ったのにまた汗かいちゃったね」
宏子「朝もそうだったけど…今日のジョージ、とっても情熱的だよね…」
譲二「そうかな…」
宏子「この頃、抱いてもらうことが少なくなってたから…とてもうれしい」
譲二「最近、仕事が忙しかったからね…。ロコに寂しい思いをさせてたならごめん」
宏子「ううん。そういうわけじゃないの…。
私たちも初めて付き合い出してから10年になるし…少しマンネリ化してるのかなって思ってた。
でも、今日みたいに抱いてもらうと…なんだか新鮮な感じがした」
俺はロコが愛しくなって、抱き寄せてキスした。
譲二「ロコもとっても可愛かったよ…」
宏子「おばさんなのに…?」
譲二「そんなこと言わない。俺の大切な女(ひと)なんだから…」
宏子「ジョージにそんな風に言ってもらえてうれしい」
ロコが俺に抱きついて来る。
彼女を抱きしめながら、隣の部屋で独り寝しているであろう友梨花のことを考えてしまう。
友梨花には隣の部屋で俺たちが何をしているのか気づかれているんだろうな…。
もしかして…、一人で涙を流しているんだろうか?
考えちゃダメだ…。
ロコと一緒の時はロコのことに集中しないと…。
宏子「ジョージ、何考えてるの?」
譲二「え? いや、もうすぐ俺たちの結婚記念日だなって」
口からでまかせに頭にひらめいたことを言う。
そうだった。あと少しで結婚記念日だ。
宏子「うふふ。ちゃんと覚えていたんだ」
譲二「当たり前だろ…。俺たちの大切な日なんだから」
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喉の乾きを覚えて目を覚ました。
時計の針は5時をさしている。
俺の腕の中には友梨花ちゃんが眠っている。
もちろん…2人ともちゃんとパジャマを着ている。
最近、ロコのいない夜には2人で抱き合って眠るようになってしまった。
いつもは真夜中には俺が目を覚まして、自分のベッドに戻るようにしているが、今日はよほど疲れていたのだろう、こんな時間まで寝過ごしてしまった。
可愛い寝顔の友梨花ちゃんをもう一度抱きしめ、唇にそっとキスをした。
楽しい夢を見ているのか微かに微笑んでいる。
俺はため息をつくと、身を引きはがすように彼女から離れた。
急いで部屋に戻らないと…、早ければ7時過ぎにはロコが戻って来る。
友梨花ちゃんに添い寝するのは、とても嬉しくそして苦しい。
いつか俺の理性の抑制が効かなくなる時が来るんじゃないかと不安になる。
でも…、結局やめられないんだよな…。
そして…。翌朝、夜勤明けで帰ってきたロコを情熱的に抱いてしまう…。
そんな日々がもう半年も続いている。
『ひとつ屋根の下・妻の娘』おわり