変わり続ける女性たち。そして、変われないままの男性たち
だが、そんな「選択」の前で揺れている女性たちの物語は
、視点を変えることで、また別の文脈が浮かび上がってくる。
それが、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信の
『tourist ツーリスト』天久真バージョンだ。
3人のヒロインと、それぞれの地で出会い、共に過ごす
謎の男性・天久真(三浦春馬)。
本編だけを見ると、天久真は女性に救済を与える
"都合のいい存在"に映るかもしれない。
けれど、天久真バージョンを見ると、もしかして一番
救済を欲していたのは、天久真自身なのかもしれないと思った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/cd/d83ecc7b8b742a56a4fbf3fabee93871.jpg)
母子家庭で育ち、母親のためにいい子を演じ続けてきた真。
いい大学に入り、いい会社に就職し、いい子のレールを踏み外す
ことなく突き進んできたはずが、突然会社を解雇されたことによって、
人生観そのものが大否定されてしまう。
自分の軸となるべきものを失い、今までの人生の答え合わせをするために、
天久真もまた敢えていい子の殻を破り、旅を始めたわけだけれど、
結局真が自分の存在意義を認識できるのは、誰かのため、だけなのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/33/ba64159fb47eb895912087f6e4be5e8b.jpg)
それは、第3話「ホーチミン篇」のモノローグでも
はっきりと語られている。
ナイトクラブで泥酔状態のカオルに声をかける真。
どう考えても面倒臭そうな相手だ。
それでも真が放っておけなかったのは「どこか寂しそうだった」から。
バンコクでさつきから「あなたに会えて良かった」と言われることで
救済を覚えた真は、旅先で出会う女性たちと関わることで、
自分の中にぽっかりとあいた空洞を埋めようとする。
それは、母親のためにいい子を演じていた自分と何ら変わらない。
けれど、結局、泣きじゃくるカオルを
「俺はただ彼女を抱きしめてあげることしかできなかった」と真は語る。
女性たちは、ひとりで勝手に立ち直り、ひとりで勝手にたくましくなっていく。
むしろ第2話「台北篇」では間違って赤い封筒を拾い、逃げ続ける真に対し、
ホノカが自分から頭を下げに行き、決着をつける。
弱くてズルいのは、真の方だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/b0/739a6b36b0597be5b973b1342f6e8076.jpg)
たった一日で鮮やかに変わっていく女性たちとは裏腹に、
真は何も自分を変えられないまま。
それは真に限ったことではない。変化に柔軟な女性とは対照的に、
男性は何だかんだと保守的で頑固だ。
どの視点で見るかで、きっと見え方も感じ方も違うだろう。
3局横断、メガホンも3話それぞれ別の監督がとるという
実験的な試みがなされた『tourist ツーリスト』は、
切り取り方によってまったく味わいが異なる
ドラマの楽しみ方を提示してくれている。
その4に続く
だが、そんな「選択」の前で揺れている女性たちの物語は
、視点を変えることで、また別の文脈が浮かび上がってくる。
それが、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信の
『tourist ツーリスト』天久真バージョンだ。
3人のヒロインと、それぞれの地で出会い、共に過ごす
謎の男性・天久真(三浦春馬)。
本編だけを見ると、天久真は女性に救済を与える
"都合のいい存在"に映るかもしれない。
けれど、天久真バージョンを見ると、もしかして一番
救済を欲していたのは、天久真自身なのかもしれないと思った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/cd/d83ecc7b8b742a56a4fbf3fabee93871.jpg)
母子家庭で育ち、母親のためにいい子を演じ続けてきた真。
いい大学に入り、いい会社に就職し、いい子のレールを踏み外す
ことなく突き進んできたはずが、突然会社を解雇されたことによって、
人生観そのものが大否定されてしまう。
自分の軸となるべきものを失い、今までの人生の答え合わせをするために、
天久真もまた敢えていい子の殻を破り、旅を始めたわけだけれど、
結局真が自分の存在意義を認識できるのは、誰かのため、だけなのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/33/ba64159fb47eb895912087f6e4be5e8b.jpg)
それは、第3話「ホーチミン篇」のモノローグでも
はっきりと語られている。
ナイトクラブで泥酔状態のカオルに声をかける真。
どう考えても面倒臭そうな相手だ。
それでも真が放っておけなかったのは「どこか寂しそうだった」から。
バンコクでさつきから「あなたに会えて良かった」と言われることで
救済を覚えた真は、旅先で出会う女性たちと関わることで、
自分の中にぽっかりとあいた空洞を埋めようとする。
それは、母親のためにいい子を演じていた自分と何ら変わらない。
けれど、結局、泣きじゃくるカオルを
「俺はただ彼女を抱きしめてあげることしかできなかった」と真は語る。
女性たちは、ひとりで勝手に立ち直り、ひとりで勝手にたくましくなっていく。
むしろ第2話「台北篇」では間違って赤い封筒を拾い、逃げ続ける真に対し、
ホノカが自分から頭を下げに行き、決着をつける。
弱くてズルいのは、真の方だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/b0/739a6b36b0597be5b973b1342f6e8076.jpg)
たった一日で鮮やかに変わっていく女性たちとは裏腹に、
真は何も自分を変えられないまま。
それは真に限ったことではない。変化に柔軟な女性とは対照的に、
男性は何だかんだと保守的で頑固だ。
どの視点で見るかで、きっと見え方も感じ方も違うだろう。
3局横断、メガホンも3話それぞれ別の監督がとるという
実験的な試みがなされた『tourist ツーリスト』は、
切り取り方によってまったく味わいが異なる
ドラマの楽しみ方を提示してくれている。
その4に続く