下津井の蛍の遊覧船。
わしケチやき、下津井何回も行くけど乗ったことなかった。
船首の大西さんにも行く度に会うし、家の風呂に誘うてもろうたり、蛍見に行かんかと声かけてもらいよった。
今回の下津井釣行でも東京の団体客が行くけど、一緒に行かんかと誘うてもろうた。釣果は見込めんし、西村旅館での飲みも無いき行ってみることにしたけど、ほんと良かったね。
大西奥さんに金払うて、真っ暗になる前に祐鶴へ乗る。竿の前では極ゆっくり船を進めてくれる。ありがとうね。
誘導灯しか人工の明かりが無い中を船は下流へ。岸の方を見よったらぽつぽつ淡い緑色の灯りが明滅しゆのが見えだした。そっと船を岸に寄せてくれる。ほんなら木にびっしりと蛍の灯りが見えた。東京者は大歓声。わしも唸った。
すごい綺麗な。時間が経って暗さが増すうちに蛍の灯りが力強くなる。灯りの何個かは同じリズムで明滅しよった。何か意味があるんかなぁ。
湖面に映り蛍の灯りが倍になる。ハァ…ため息が出る。
蛍の灯りが見えるのは一ヶ所やない。ダム湖の下流のある位置から数キロに及んだ。
これが津賀ダム湖の蛍かぁ…
これは見に行く価値がある。
ケチのわしが言うがやき絶対や。こんな贅沢な時間はそうそう無いと思うき。
明るく見える蛍の光やけど、普通のデジカメじゃ撮るのは難しいと。わしのスマホじゃ全然ダメやったわ。
東京者は途中から「星もすごいよ」と言いだした。真っ暗な中で見る星は蛍並みのインパクトやったみたいや。
川原へ帰ってきたら、翌日からの蛍祭り用の提灯に灯りが入っちょった。
うわぁ… これも綺麗やぁ…
たっぷり一時間の蛍見物やった。初夏とは言え、湖面を走る船の上は冷やいき上着がいる。それにトイレないき、酒飲みながらとはいかんきね。
上陸して東京の団体客が旅館へ帰ってから、大西奥さんがビールをくれて三人で飲んだ。大西さんはわしが金払うたことを若干怒りよった。わしが誘うたがやき金はいらんのじゃって。ありがとう。
この遊覧船、行政からの支援は無いがやと。全部個人でやりゆうがやと。
祐鶴を就航させるのに500万円ばぁかかったにかーらん。けんど船を出すのは蛍見物がメインで、後は野鳥の会の人らぁから要請があった時にダム湖奥の遊歩道へ乗せて行くくらいやと。年間8万円の保険料も払わないかんし、梅雨の時期で毎日客がおる訳やなくなかなか元を取るのは難しいみたいや。
下津井の蛍、見頃はあと10日くらいらしい。時間のある人は西村旅館へ泊まって、遊覧船に乗ってみたらえい。幻想的で感動するき。運が良かったら蛍柱らぁてレア現象も見えるかもしれんしね。