ベッドで横になって「一人ぼっち」と書くと例によってグスグスと泣き始める裕子。そしてまたいつしか眠っていた。どれぐらい時間が経ったのだろうかドアでコトンという音がした。目覚めた裕子がは立ち上がりドアに近づいた。廊下から部屋に差し込まれたのはクルーズ船の新聞だった。手にした裕子は今度はベッドであぐらをかいて読みはじめた。パラパラと目にしていたが一つのコーナーに目が止まった。
〜ドレスコード〜
ベッドの横の小さなテーブルには裕の位牌と写真とノート。そして眼鏡、半分に折れる小さな眼鏡だが〜ドレスコード〜の下の文は少々小さかったの眼鏡は大事。こんな風に書いてあった。
ドレスコードとは「服装規定」の意味。 場所や時間、シーンに応じた服装の基準・ルールのことで、その場の雰囲気を壊さないため、周りの人の気分を害さないために定められる。
高級ホテルやレストランなどではドレスコードが決められていることがあり、スーツやドレス、ワンピースなどの服装が適切とされる。
読みながらまだハッとして段ボールに近づく。
ん!?
のんびりとベッドであぐらをかくどころじゃない。その前に一人ぼっちと泣いてるどころじゃないんだ。裕子は段ボールを開けて中の洋服をいくつもひっぱりだす。まだ別の段ボールに近づく。そして叫ぶ。
「ない!! じゃあどこにあるの!?」
一人も部屋の中ならおしゃべりできる。そして相手は自分だけ。とてもカワイイ生き物です。