京都の闇に魅せられて(新館)

*本当の「平和ボケ」とは何か?

 本当の「平和ボケ」とは何か?
 16日金曜日に、サークルの大先輩ファン=ヒューリック氏から、以下の掲示板書き込みがった。
 今回はそれに答える形で、論を進めていきたい。


 まずは、ファン氏の書き込みから。


突然だけど、タイトルの言葉は今日会社で後輩に聞いた、選挙の投票理由。『候補者の名前が書き易かったから、投票した』そうです。

正直聞いていて、まず耳を疑い、次に頭が痛くなった。これが20代前半ならともかく、30を超えた人間の言う事か・・・と思わず背筋が寒くなった。まあ、棄権よりはマシだと思うが、これなら未だ無効票の方がマシだろうと思う。さらに言うと、それを恥かしげも無く言える事も凄い・・・。でも、多分今はこういう人間が多いんだろうし、今後さらに増えるんだろうなっと思うと暗澹たる気持ちになる。

後、落選社長相変わらず勝手な事をほざいているね、所得の格差が拡がっている件について、自分の会社でも稼ぐ為になりふり構わず働いて高給を得ている者も居れば、仕事を適度にして、給料もそこそこで納得している者も居る、人それぞれのライフスタイルですよ、だと。相変わらずトンチンカンな答えだ。しかし、マスコミもおかしいと思わんのかな~。

後、この落選社長、プロ野球の買収話から始まって日本放送買収、それと今回の衆院選挙、全て結果は×の割に誰もそれを指摘しないのも不思議だ、結果が全てとは言わないけど、ここまで大風呂敷広げて結果が伴わないのにペテン師呼ばわりされないのも、不思議だな。

又、ネタを振るような話で御免ね~~。




以上です。
 以下は、私の回答です。



 いやはや、どうも。

 先週日曜日の選挙結果には驚いたですよ。
 「まじですか? 嘘だろ!?」って。


>『候補者の名前が書き易かったから、投票した』

 差別的な言い方になるのをご容赦いただきたいですが……このような人たちが、「戦後史上空前の衆愚選挙」とも言うべき今回の選挙結果をもたらしたのでしょうねえ(ブログ日記で私は、「小泉喜び組選挙」とも呼んでますが)。
 そのような有権者の政治意識の低さを見抜いて、マスメディアを利用した2流ショー選挙を展開した小泉さんの読みが見事に当たった大勝利でしょうな。
 もちろん、小泉自民党に投票した人の全てが、後輩くんのような人たちではないでしょう。でも、政策や理念、政治家としての資質などといったものでなく、ただタレントの人気投票のような気分で投票した人が多いことも確か。ここしばらく、選挙、政治関係のブログや掲示板書き込みなどをいろいろ見て回っているけど、そういういい加減な投票をした人(例えば「小泉さんと自民の若手候補者がかっこよかった」とかいう理由で支持していたりとか)も結構見られました。
 さて、何故彼のような人物が増えてきたか?
 私は、これこそが「戦後の平和ボケ」であると考えます。
 つまり

(1)平和に慣れすぎて、何があっても自分は大丈夫、関係ないと思いこんでいる。
(2)そのため、自分の言動が社会にとってどういう意味を持つかを考えない。
(3)そのために、迷惑や損害、犠牲を受ける他者のことが想像できない。
(4)また、それが最終的に自分にどのようにして返ってくるかを想像できない。
(ほとんどの場合、自分が犠牲になることを想定していない)
(5)もちろん、その結果に対して責任を負うこともできないし、考えない。


 このような、エゴイズムと、問題意識や想像力(特に他者と社会に対する)の欠落こそが、私は本当の意味での平和ボケと考えます。
 おそらく後輩くんや、いい加減な理由で小泉さんを支持した人、安易に「イラクやアフガンなんざ、やっちまえ!」とか「あの国は、ムカつくからやっちまえ!」などと言う人たちなど。こういう人たちにこそ、「平和ボケ」という言葉はふさわしいと思います。

 ブログでも何回か書きましたが、どう見ても「勝ち組」や「エリート」に見えないような人たち……つまり、小泉路線が進めば、さらに犠牲や損害を受けることになる人たちまでもが、深い考えもなしに小泉自民党を支持している。
 このような現象の一因が、「平和ボケ」ではないか、と私は思います。

 何故、こういう人たちが増えてきたか。
 それは、(少なくとも表面上は)安穏とした環境の中で、自分のことだけ(自分が競争に勝ち残ることだけ)を考えていればいい。挫折や失敗した経験はあるけど、本当に生命の危機に瀕したり、恐ろしくひどい目に遭ったり、決定的な破滅を経験したわけでもない。そんな人生を送らされてきたからでしょう。
 もちろんそれ自体は、決して悪いことではありません。
 しかし、他人や社会のことに思いを馳せることもなく、無関心できてきた。自分とその周りのちっぽけな世界のことしか考えられなくなった、というのなら問題でしょう。
 だから、何か問題や摩擦が起こった時などでも、自分と自分の利益を守ることだけに目がいってしまうから、すぐに他者を排撃する方向に走ってしまう。あるいは、全く何も考えられない(後輩くんの場合は、後者かな?)。
 結局、戦後60年の中で、我々日本人がサボってきた課題のツケが、こういう形で出てきたのだと、私は考えています。



>某落選社長について

 もう、彼に関しては言うことはないですね。
 この前(9月6日の日記で)、ほとんど言い尽くしたから。
 彼がやっていることは、別に目新しいことでも何でもない。ハッタリでもいいから、大風呂敷を広げて自社の株価を上げてビジネスをする。ちょっと前のアメリカで流行った「ハッタリ起業家」のパターンをより露骨な形で踏襲しているにすぎない。
 さらに経営者として本当に有能なのかどうかも疑問。ファン氏ご指摘のように、プロ野球団の買収失敗以来、やることなすことほとんど失敗ばかり。「株主の権利」を口にしながら、日本放送買収失敗の時は、自社株を暴落させて株主に一人あたり30万円以上の損害を与えたそうですが。
 何より問題なのが、彼の考えには、「自分だけが偉くて正しい」という安っぽいエリート主義と、「そのほかの奴はどうでもいい」というエゴイズムが見られることです。ファン氏が例に出した所得格差問題に関する回答でも、それが見られます。



>しかし、マスコミもおかしいと思わんのかな~

 このブログ日記でも度々取り上げていますが、上の2つの問題でも、やはりマスコミの責任が大きいと思いますね。
 もちろん、マスコミだけが悪いのではないでしょうが、特に最近はひどすぎ。
 批判精神が全くない。いや、それ以前に、善悪理非や常識・非常識の区別すらついているのかどうかも怪しいものですね。
 先に述べた「平和ボケ」も、マスコミにその一因があると思います。

 そして、何も考えてないミーハーやノンポリがおかしな影響を受けてしまう。
 「実はマスコミにこそ“構造改革”が必要だ」というのが、私の持論です。


 また、いろいろと長くなりました。
 今回はこの辺でやめておきましょう。
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