見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

個人寄付が根付く土壌

2007-07-06 20:37:39 | 欧州
「米国に比べて、日本のNPOへの寄付が少ないのは、文化の違いではなくNPOの努力が足りないから」とシーズ・市民活動を支える制度をつくる会事務局長の松原明氏が明言した。それは確かであろう、が、ウィンチェスターの街を歩いていると、改めて「寄付環境」の違いを考えされられる。

公園、教会の庭、道路脇、散歩道、丘の上・・・あらゆる所にひと休みしたくなる「ベンチ」が置かれている。木製であったりスチール製であったり、素材も形も様々なのだが、そのほとんどに共通しているのは、ベンチが「個人の寄付」で設置されていること。
          
しかも、多くの場合「故人を偲んで」というものである。ベンチの背もたれ部分にプレートや彫りで明記されているそれらのメッセージには、奥さんや夫や友人を偲んで故人の名前と存命期間が記されている。
          
「私の妻を偲んで、ここで一休みしてください。妻はこの道が大好きでした」というメッセージのついたベンチに腰を下ろすと、思わずそれを寄付した男性と、一緒に手をつないで歩いていたであろう奥さんの姿を想像してしっとりした気持ちでひと休みしたくなる。
          
そんなベンチが、ウィンチェスターのあそこにも、ここにもある。個人が寄付を申し出る。設置までは個人の寄付で賄い、その後のメンテナンスはウィンチェスター市が引き受けている。
          
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