見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

「税金が高くても将来は安心。国に貯金を預けているのと同じですから」

2007-08-02 23:18:34 | 欧州
「北欧諸国の物価は高い」と聞いていた。聞いてはいたが、やはり実際にその生活に直面してみるとため息が出るほど生活費がかかる。
旅は、移動費、食費、宿泊費等全て含めて1日5千円以内で賄う予算で日本を出た。資金が尽きたところで日本へ帰る。南・東南アジアはよかった。それだけ生活格差があるということと認識しながらも、安価と思える旅ができる自分の環境に感謝していた。しかし、欧州は別世界だ。
スウェーデンのキオスクで、普通のバナナが2本で250円。1/2リットルの水が400円。シンプルなパンひとつ350円。その簡素な昼食で1000円。地下鉄で駅を3つ移動しただけで880円だ。
でも、高い、高いと嘆いているのは、一過性の外国人旅行者だけかもしれない。

*コーヒーとサーモンのキッシュで約2000円

アンデルセンの故郷オーデンセ市で、観光案内所に勤務している大加瀬恭子さんは、「将来のための貯金をする必要のないここでの生活は、気持ちがとても楽です」と笑顔で語った。デンマークに住んで10数年、数年前にデンマークの市民権を得た。オーデンセ市の外郭団体である観光協会の職員だったが、今年、市の行政改革で観光協会が市の部局と統合されるに伴い市職員になった。日本の官業民営化に逆行する動きだが、観光政策を重視する市の戦略方針の結果だという。国内外の観光客を積極的に招き入れる方針のため、観光予算が増え、魅力的で大胆な事業が展開できるようになった。



10年以上住めば物価の高さにも慣れるでしょうね、と大加瀬さんに聞いてみた。
「最初は私も高いと思いました。でも、医療も教育も老後も、社会が保障してくれていると思うと気持ちは楽です。税金を払うのは、国に貯金しているようなもの。将来に必要な貯金の額を算段したり心配したりする必要がないんですから」と大加瀬さん。国に全幅の信頼を置いているということだ。
それにしても、物価がこれほど高いのに、レストランで食事をしたり、旅行をしたり、みんな贅沢していますよね。「ええ、こちらの人は、日本人のようにわからない将来のための貯金はしませんから。給料のほとんどを、今の生活を楽しむために使っていいという考え方です」
なるほど。ちなみに、オーデンセ市一般公務員の初任給は約19千kr(約435千円)。半分近く税金で収めたとしても、貯蓄する必要がないのであれば充実した給与である。

--------参考
税率例 *税目が必ずレシートに明記される国で知ったもの
■スウェーデン
6%  バス運賃
12% 食品一般
25% 物品(シャンプーなど)、サービス(外食、入場料等)
■フィンランド
8% バス、トラム運賃、ホテル宿泊代
17% 食品
22% 日用雑貨
■ドイツ
7% 外食、食品
19% 外食のビール、歯磨き粉
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