初めての軽自動車

車が絶対的に必要な場所に住んでいる。

一番近い食料品店の農協まで６キロ。
歩いても自転車でも行けそうだが、
家の周辺には、シカやタンチョウの他に、ヒグマも住んでいる。

質素な生活を目指す目標を掲げてみたが、車はぜいたく品ではなく必需品だった。

若い頃から遠出のドライブが好きだったので、
これまでは軽自動車の購入を考えたことはなかったのだが、
初めて、迷わず中古の軽自動車を探した。

中古車センターを歩いてわかったのは、軽乗用車は予想外に高値だということ。
「こんな時代ですから、軽の需要が多いんですよ」とディーラー。
確かに、同じ年式の普通乗用車の方が安値がついている。



買ったのはＨ１３年式ダイハツ・テリオスキッド。
試乗して驚いた。
直前に、Ｈ８年式スズキ・ワゴンＲを試乗していたのだが、
テリオスキッドは、走行感覚もエンジン音も格段に違う。

それで思い出した。
先月、信州の中古車センターを廻っていたとき
軽自動車の薀蓄を小気味よく語ってくれた若手がいた。
「買うのなら、Ｈ１０年以降の軽ですよ。エンジンが違います」と。
なるほど、アクセルを踏み比べて初めて実感。
シートの座り心地や居住性も悪くない。
軽自動車に対するイメージが変わった。

「燃費は軽にしては９キロと難だけど、よく走りますよ」
とテリオスキッドを勧める自動車整備工場の責任者。
この時勢にリッター９はきついが、運転次第で何とかなるかもしれない。
交渉の末、価格も予算範囲内まで落としてくれることになった。

久々のマニュアルシフトも若い頃の運転を思い出して嬉しい。
スポーティな後姿。
赤はワインレッドが好みなのだが、オレンジレッドも悪くない。
信州ではあまり見ない色合いだが、北海道の赤い車はオレンジレッドが主流だ。

愛車のニックネームが決まった。
「ポスト」にしよう。