見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

市政1000周年

2007-08-05 19:32:16 | 欧州
アンデルセンの故郷オーデンセ市の市役所庁舎も、有料のガイドツアーを行っていた。こちらは週に3日、デンマーク語と英語のガイドが45分間で議会場、バンケットホール、ウエディングルームなどを案内する。10DKK(約230円)の見学料を払い、参加者20名の後ろに付いてみた。

ストックホルム市庁舎の参観者と異なるのは、参加者の多くがオーデンセ市民であることだ。「普段はなかなか立ち入る機会がないでしょ。一度は本会議場の議員席に座ったり、庁舎内に掲示されている絵画を観たかったの。ガイドの説明も詳しくユニークだし」と歩きながら市内在住のデンマーク人女性が言った。
そして、市の歴史を飾る人物の名鑑をプレート展示しているホールに入ったときだった。中央のガラスケースに大きな日本人形と能面が飾ってあるのが目に入った。

「これは、日本の姉妹都市から送られたものです。文字が書いてありますが、ちょうど日本の方がいるので、何と書いてあるのか聞いてみましょう」と目配せした。見学者の視線が一斉に集まり、やや緊張しながら読み上げはじめた。「『舞姫。船橋市より。オーデンセ市政1000年を記念して…』」日本人形の傍らに書いてある日本語を英訳しながら、一瞬言葉に詰まった。『市政1000年?!1000年ですか?』思わず、周囲のデンマーク市民たちに問いかけてしまった。
「ああ、そうそう、オーデンセ市は1988年に1000年の記念日を迎えたのです。なるほど、この人形はそのときに船橋市から贈られたものなのですね」とガイドが答えた。
1000周年だ。私のふるさとM市は、今年1年、市制施行100周年を祝う大イベントを繰り広げている。恐らく日本の多くの都市が似たような歳月を経ているのだろう。が、行政区として経てきた年月の桁が違う。北欧のどの街も似たような歴史をもつのだろうか。千年。この歳月を経て築かれた街の風景やそこに息づく市民社会の厚みを思うと気の遠くなる思いがした。
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