ゴールデンウィーク真っ盛りの5月3日、千葉県大会が行われている千葉県野球場(通称天台球場)に行った。最速153キロの剛腕、島孝明(東海大市原望洋)が観戦の主目的だったが、1回見ただけの個人的な感想を言えばかなりの未完の大器だった。第2試合に登場する千葉黎明の右腕、川口廉のほうが私の目には魅力的に映った。この原稿の主役は島でも川口でもないのでこのへんにするが、スピードガン表示の高低だけで投手を評価するのは私も含めたマスコミの悪いクセで、そういう偏った評価に一喜一憂するのはいい加減にやめたほうがいい。
この原稿の主役は東海大市原望洋の1番、倉石匠己(中堅手・右投左打)。1番と言ってもチャンスメーカータイプではない。強打者タイプと言ったほうがピンとくる。この日の結果から書くと、5打数4安打4打点。第1打席はレフト前、第2打席はセンター前、第4打席は右中間へのホームラン、第5打席は左中間へのホームランと広角に打ち分けているのがいい。
倉石の一番の特徴は“脱力”だ。スイングスピードが速く、振り出しにいくときの力みがないので、キャッチャー寄りでボールを捉えても差し込まれることがない。つまりボールを長く見ることができる。第5打席のホームランは甘く入ってくるカーブを思い切りキャッチャー寄りのポイントで捉えた一撃で、打った方向は左中間。第2打席のセンター前ヒットは外角低めのストレートをやはりキャッチャー寄りのポイントでおっつけて打ったもので、高度な技術が備わっているのがわかる。
脚力は第3打席のショートゴロのときの一塁到達が4.39秒だったのでそこそこ速い。その存在を試合前まで知らなかったので肩の強さをシートノックで確認することはできなかったが、これは関東大会(5/21から5日間、群馬県で)までのお楽しみ。こういう選手を放って置くというのもスポーツマスコミの悪いところである。