FA有資格者となり日本復帰が囁かれている川崎宗則(ブルージェイズ)。獲得するのはソフトバンクか阪神かと騒がしいが、ソフトバンクには今宮健太がショート、松田宣浩がサードに収まっているし、セカンドにも本多雄一がいる。今季94試合出場にとどまった本多とポジションを競わせるという発想もありそうだが、11/4に行われた21U日本代表(以下21U)対巨人戦を見て、ソフトバンクは川崎を獲得しなくてもいいと思った。
21Uの1番・遊撃手としてスタメンに名を連ねた牧原大成(10年ソフトバンク育成ドラフト5位入団、熊本城北高卒22歳・右左・172/66)は最初守備で目立った。1回表、1番立岡宗一郎の安打性のボテゴロを鋭いダッシュで捕球すると、すかさず素早いスローイングで間一髪アウトに取る。ちなみに、このときの立岡の一塁到達タイムは俊足と言っていい3.99秒。2番の寺内崇幸のゴロは一塁到達4.49秒の脚力を見て、確実性を心がけたのかゆっくり処理にして連続補殺。この2つのプレーはうまいと思った。
打撃は9回に魅せた。投手の暴投で1点を取って、さらに1死二塁とチャンスは続く。ボールカウント2ボールから低目に投ぜられたストレートを振り抜くと打球はグーンと伸びてライトの頭を越え、三塁に滑り込んだときの到達タイムは俊足の中でも上の部類と言っていい11.40秒。これらを見て、川崎がソフトバンクに帰ってきても守るところはないと思った次第。
牧原以外でも鈴木誠也(二松学舎大付卒20歳・右右・181/83)は3番・右翼手としてスタメン出場、盗塁を2回企図(成功1、失敗1)し、4打数3安打の大当たり。胸の辺りで構えたグリップをトップで肩まで上げて打つ形はサブロー(ロッテ)そっくり。第3打席で放った中越えの三塁打のときの三塁到達は牧原に迫る11.47秒と三拍子揃っているのもいい。
日本シリーズが終わって野球に飢えているのか、平日にもかかわらずジャイアンツ球場のスタンドは半分くらい観客で埋まっていた。試合は21Uが6対0で完勝。ドラフト1位の横山雄哉(新日鉄住金鹿島→阪神)、野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜→中日)、来年の上位候補、熊原健人(仙台大)、桜井俊貴(立命館大)も見られて非常に満足した。なお、プロ組(21U)では2番手で登板した田口麗斗(1年目19歳・左左・171/75)がよかった。大隣憲司(ソフトバンク)ばりのキレのいい変化球と緩急の冴えは巨人にはいないタイプ。来年の一軍出場を期待したい。