ネタバレ映画館

映画ドットコムに記事を移行してます!

トリノ、24時からの恋人たち

2006-12-17 23:54:12 | 映画2006
 どこでも突然コケるキートン的マルティーノ。数学好きも愛に勝つのだろうか・・・

 リュミエール的映画価値観とキートン的恋愛観を持ったマルティーノ。国立映画博物館の夜警をしながら倉庫を自分の部屋のようにアレンジして、好きな映画をイヤというほど観ることができる彼は、寡黙でありながら、映画の世界と同化してしまったかのような性格なのです。現代的な映画なんて興味がない。ともかく無声映画全盛期のフィルムをこよなく愛するため、ストーリーよりも現実を映像化することに喜びを見出し、いつも骨董品の手回しカメラを携えている。

 そんな彼もファーストフード店で働くアマンダに憧れていたのだが、彼女が事件を起こし、助けを求めてきたために夜の博物館で匿うことになった。何しろキートン的恋愛観のため、恋愛の順序や方法などは関係ない。ドタバタ劇の挙句、突発的に恋に落ちるのが理想だったりすのです。アマンダには自動車泥棒の恋人もいるし、映画の中に生きている彼にはなす術もないのですが、やがて優しさと純朴さを持ち合わせるマルティーノに惹かれていく・・・

 三角関係という構図は想像ができるものの、キートン映画の影響なのか、突如彼女の恋人アンジェロに決闘を挑むところが微笑ましくて面白い。なんたって相手は自動車泥棒のワルなのだ。一発で伸されることはわかりきった結果。だけど、「アマンダに選ばせよう」とアンジェロの予想外の答えによって、アンジェロも憎めない存在になってくる。暴力的ではあったが、事件の解決もアンジェロが行動を起こしたためなのです。

 映像の都会的なところと田舎風なところのバランスがとてもいいし、ロングショットではなぜかピサの斜塔のように微妙に傾いているところも特徴。無声映画とマルティーノの撮った映像を編集したフィルムも絶妙でした。また、数々の映画へのオマージュもあるようですが、フィボナッチ数の伏線がなかなか効いていました。恋愛なんて数学では解決できないものだけど、映画にしても予想外の結末が用意されているもの。ラストには、「そんな結末なんて・・・」と突っ込みたくなっても、許せてしまう魅力がありました。

 一番気に入ってるところは、自動車泥棒稼業を続けているマルティーノが、最終目標のジャガーだけは金を払って買いたいといった点でした。これも自動車泥棒の一分なのかもしれないし、監督の名前がフェラーリオだというのにジャガーを使ったことも一分だったりして・・・

★★★★・

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 犬神家の一族 | トップ | 敬愛なるベートーヴェン »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トリノ (かのん)
2006-12-18 00:28:14
冒頭のナレーションにもありましたけど、トリノの街そのものが映画の舞台としてとても素敵だったというのもミソのような気がします。あの博物館は映画好きとしてはたまらないですよね。3人で歩く夜の街も綺麗でした。日本でも綺麗なところはいっぱいあるけど、その分人も多くてムードに欠けるのが残念です(笑)
返信する
一分~ (charlotte)
2006-12-18 01:03:23
こんばんは☆
一分の人はアンジェロですかね。
天使っていう名前もなんかイメージと違って可笑しくもあり、ラストもしみじみとしてしまいました。
映画のように恋がしたい…と、いつも映画に現実逃避してます。
返信する
こんにちは♪ (ミチ)
2006-12-18 08:22:16
違うタイプの男性二人に愛されるというのは理想ですわ~
アンジェロが思いがけずイイヤツだったので、ラストはしんみりしてしまいました。
フィボナッチ数列で宝くじが当たるなら私もチャレンジしてみたい!
返信する
フィボナッチ (kossy)
2006-12-18 23:53:30
>かのん様
観たばかりだというのに、冒頭のナレーションをそれほど覚えていません・・・(汗)三人ではなく、街が主人公といったところでしょうか。
街の明かりがとても綺麗に撮ってありましたけど、撮影もすごくよかったですね。

>charlotte様
アンジェロの存在は大きかったですね~ジャガーだけは盗まないなんて、かなりいい話です。
天使のように飛ぶなんてファンタジックな終わり方なのかと思ったら、やっぱりキートン的コメディだったし(笑)
俺も現実逃避が多いのかなぁ・・・

>ミチ様
アンジェロもまた映画俳優を崇拝してたのかな。ジェームズ・ディーンのような気がしてたんだけど、自動車泥棒だし・・・
ロトくじは1~42の数字なので、1、2、3、5、8、13、21、34の中から6つ選んで買ってみてください!
返信する

コメントを投稿

映画2006」カテゴリの最新記事