決して日野日出志のホラーアニメではない・・・
チラシを見るだけで異様な雰囲気につつまれる人物“ハマのメリー”。写真だって本物じゃないと思っていたけど、森日出夫の写真が映し出されると実在の人物なんだと思い知らされる(イラストも日野日出志ではなくて宇野亜喜良だとわかったし、映画で使われる「伊勢崎町ブルース」も青江三奈じゃなくて渚ようこだった)。
横浜に住んでいる人ならば“メリーさん”と聞いただけでわかる人が多いほど有名人。戦後混乱期から50年間、横浜で娼婦として生きてきた女性だ。「娼婦?」などと聞くと今ではもちろん犯罪ですから、都市伝説のような存在、噂話が膨らんだだけの存在のように思われがちですが、実際に親交のあった者、彼女が利用していた店の人が証言するにつれ真実味を増して、ドキドキするような展開のドキュメンタリーとなっていました。
逮捕歴22回。GI相手の娼婦としてしか生きる術がなかった戦後混乱期の女性が、日々変化する時代に順応することも出来ずにそのまま己の道を貫いたのだろうと想像させられる。加齢とともに歌舞伎役者のように真っ白に塗りたくった顔になってゆくが、本当の自分を隠さざるを得ない心情を思うだけで悲しくなってきました。常に全財産を持ち歩き、定住する家もない。それでも彼女に暖かな心遣いで見守る人たちもいる。過去や境遇は謎に包まれてはいるけど、人々に生きる勇気を与えてくれる人物には違いないんですから・・・
メリーさんの謎を追い求めるドキュメンタリーだと思っていたのですが、同時に永登元次郎という人物にもスポットを当てた内容でした。末期がんに冒されているけど、シャンソン歌手としてリサイタルをひらいたり、精力的。余命いくばくもない彼もまた男娼の経験があり、メリーさんとは通ずるものがあったのだ。1995年に忽然と姿を消したメリーさんにもう一度会いたい。闘病生活の最中に抜け出して、空っぽになった病院のベッドが妙に生々しく映り、最後には涙をこらえることができなかった・・・
一人の女の一生。本人の口から心を語られることもなく、横浜の風景の一つになっているほど象徴的な人物。敗戦によって日本が失ったモノを彼女の存在そのものが語り継いでいるといえば大げさかもしれませんが、彼女がいなくなってしまうと、終戦からの歴史がひとつ消え去ってしまうように感じる人もいるかもしれません。まだ若い監督の作品らしいですが、映画史に残すべきドキュメンタリーだと思います。
★★★★★
公式サイト
チラシを見るだけで異様な雰囲気につつまれる人物“ハマのメリー”。写真だって本物じゃないと思っていたけど、森日出夫の写真が映し出されると実在の人物なんだと思い知らされる(イラストも日野日出志ではなくて宇野亜喜良だとわかったし、映画で使われる「伊勢崎町ブルース」も青江三奈じゃなくて渚ようこだった)。
横浜に住んでいる人ならば“メリーさん”と聞いただけでわかる人が多いほど有名人。戦後混乱期から50年間、横浜で娼婦として生きてきた女性だ。「娼婦?」などと聞くと今ではもちろん犯罪ですから、都市伝説のような存在、噂話が膨らんだだけの存在のように思われがちですが、実際に親交のあった者、彼女が利用していた店の人が証言するにつれ真実味を増して、ドキドキするような展開のドキュメンタリーとなっていました。
逮捕歴22回。GI相手の娼婦としてしか生きる術がなかった戦後混乱期の女性が、日々変化する時代に順応することも出来ずにそのまま己の道を貫いたのだろうと想像させられる。加齢とともに歌舞伎役者のように真っ白に塗りたくった顔になってゆくが、本当の自分を隠さざるを得ない心情を思うだけで悲しくなってきました。常に全財産を持ち歩き、定住する家もない。それでも彼女に暖かな心遣いで見守る人たちもいる。過去や境遇は謎に包まれてはいるけど、人々に生きる勇気を与えてくれる人物には違いないんですから・・・
メリーさんの謎を追い求めるドキュメンタリーだと思っていたのですが、同時に永登元次郎という人物にもスポットを当てた内容でした。末期がんに冒されているけど、シャンソン歌手としてリサイタルをひらいたり、精力的。余命いくばくもない彼もまた男娼の経験があり、メリーさんとは通ずるものがあったのだ。1995年に忽然と姿を消したメリーさんにもう一度会いたい。闘病生活の最中に抜け出して、空っぽになった病院のベッドが妙に生々しく映り、最後には涙をこらえることができなかった・・・
一人の女の一生。本人の口から心を語られることもなく、横浜の風景の一つになっているほど象徴的な人物。敗戦によって日本が失ったモノを彼女の存在そのものが語り継いでいるといえば大げさかもしれませんが、彼女がいなくなってしまうと、終戦からの歴史がひとつ消え去ってしまうように感じる人もいるかもしれません。まだ若い監督の作品らしいですが、映画史に残すべきドキュメンタリーだと思います。
★★★★★
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僕も予告編を観て気になってはいたんですが、遅い時間帯の上映に怯んでしまい、見逃したままです。
機会を見つけて、是非とも観たいと思います。
地元民なのに映画見てないrukkiaです。
メリーさん実物に遭遇したことはあるので、見てみたいとは思っているのですが…。
…当時は、よく知らなくて「妖怪!?」とか思っちゃってたんです。失礼ですね。でも、そのくらいインパクトのある…お化粧&お衣装でした。
DVDになったら見てみよう、なんて思ってるところです。
めざましテレビで紹介されたこともあってか、かなり盛況だったようですね~
ドキュメンタリーなんですけど、かなりストーリー性がある映画でしたよ。荒削りなところもありましたけど、メリーさんという題材が良かったので大満足でした。
>rukkia様
な、なんと実物を!
そういや冒頭の町の人のインタビューに「置物だと思って触っちゃった」なんてのがありましたけど、それはrukkia様じゃないですよね?(笑)
実際に見るとやっぱりインパクトあるんでしょうね~
ぜひご覧になってください。ドキュメンタリーだけど感動しますよ!
ああぁああやっぱり観に行っとけば良かった…kossyさんのブログ拝見するといつも思います。
しょうがないですよね。
俺もいい映画を真っ先に観て紹介したいのですが、なんせミニシアター系映画は地方の公開が遅い・・・
リクエストが多ければ、また上映する雰囲気ですから、どんどんリクエストを~
これをNHKで流すこともできず、つまりはテレビで通り過ぎるべき作品ではありません。いくらビデオで撮られた作品といっても、これは映画でした。それも後々の世にのこる秀逸の作品です。膨大なテープの中から、よくここまでに編集したものだと感心します。そして伊勢崎町ブルースがぴったり合っている。それにも驚きました。この作品、永登元次郎さんが亡くなる前に編集が間に合って鑑賞されたことが、救いです。読ませてもらい、ありがとうございました。 冨田弘嗣
コメントありがとうございます。
ビデオで撮った作品だなんて、しばらくすると全く気にならなくなりますよね。それだけ引き込まれるほど真摯な作りの内容。証言者を並べるのだって、かなり計算されたのかもしれません。
永登元次郎氏の生きざまも感動しましたし、これだけ泣けるドキュメンタリーには初めて出会ったような気がします。すごかった~
腰が少し曲がった感じで、とても小さなおばあさんだったと思います。
失礼なことに、私は思わず一緒にいた母に“あそこに幽霊みたいな人がいるよ”と指差してしまいました。
自分の目を疑ったほど、彼女が本当に幽霊のように思えてしまったからです。
地元で生まれ育った母は当たり前のように彼女が娼婦であることを知っていて、人に指を差すのは失礼だと怒られた記憶があります。
映画になるほどの有名人とは知りませんでした。
作品を見た方は良かった!と大絶賛しているようなので、見れるものならぜひ見てみたいです。
見たことがおありですか~~いいなぁ。
大人が見ると色んな感情も沸いてくるんでしょうけど、子供には教育上よくないのかも・・・
横浜だと、やっぱりほとんどの人が知っているんですね~俺なんかは全く知らなかったものだから新鮮でしたけど、横浜ッ子がこの映画を観ると、また違った感想になるのかもしれません。
DVDなりTV放映なり、ぜひご覧になってください。
今年の邦画マイベスト10に入りそうです・・・
アァー、というため息がよかったのですが、渚ようこはやらなかったので残念。
今は「娼婦?」などと聞くと犯罪になるのですか。浮気した彼女に「売○」と言っても、犯罪ではないですよね。^^;