せめてホクロを・・・
『無法松の一生』(1943)は内務省の検閲により、松五郎が未亡人に想いを打ち明けるシーンがカットされたという。そんな恋の告白でさえも禁じられるという恐ろしい戦時下の日本。しかし、戦後は占領軍によって封建的な部分をまたまたカットされたというのだ。それをそのまま公開しても名作として残るのだから、素晴らしい作品なのでしょう・・・未見。
こうしてオリヲン座の映画館では劇中フィルムとして、無法松や、『二十四の瞳』『君の名は』などを流すので、悲鳴をあげたいほど映画ファンにとっては嬉しい作品であるのです。ただ、個人的には時代が早すぎました。そして、主人公のトヨ(宮沢りえ)と留吉(加瀬亮)の関係そのものが無法松へのオマージュとして描かれてはいるものの、大事な大事な告白シーンが丸々カットされていたような・・・。映倫はあるけど、さすがに検閲制度の無い現代においてここまでカットされては感情移入しにくいというのも難点の一つ。
1961年の時点で日本の映画産業は絶頂期を迎え、その後テレビの普及により斜陽となってしまうのですが、ストーリーを考えると少しずれています。大津からやってきた若者が映画館館主の座と未亡人を得るために悪い噂が流れてしまうという原因があるにはあったけど、それだけでは弱かった。さらに、経営の本当の苦しみは70年代に入ってから。どうもオリヲン座は東宝の映画をかけなかったようですけど、寅さんのリバイバルでも上映していたのなら客は入っていたのかもしれません。ピンクをかけなかったという点だけは子どもを大切にしていたとわかる台詞でした。
『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿させる映写室。さすがに宇崎竜童の演じた松蔵はアルフレードに対抗するにはいいキャスティング。フィルムが流れるように落ちていくことで彼の死を表現したところなんてのは悲しいけれど、なかなかの演出でした。宮沢りえも加瀬亮もよかったのですが、樋口可南子がやはりよかった。田口トモロヲだけは、こんな役だともったいない・・・もっとカルトな役じゃなきゃ・・・
キスシーン集に見合うモノ。まったくありません。さすがに告白シーンすらカットされるのですから、純愛も純愛、もしかするとプラトニックな関係だったかとまで想像させるくらい奥ゆかしい日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』だったのかもしれません。
★★★・・
『無法松の一生』(1943)は内務省の検閲により、松五郎が未亡人に想いを打ち明けるシーンがカットされたという。そんな恋の告白でさえも禁じられるという恐ろしい戦時下の日本。しかし、戦後は占領軍によって封建的な部分をまたまたカットされたというのだ。それをそのまま公開しても名作として残るのだから、素晴らしい作品なのでしょう・・・未見。
こうしてオリヲン座の映画館では劇中フィルムとして、無法松や、『二十四の瞳』『君の名は』などを流すので、悲鳴をあげたいほど映画ファンにとっては嬉しい作品であるのです。ただ、個人的には時代が早すぎました。そして、主人公のトヨ(宮沢りえ)と留吉(加瀬亮)の関係そのものが無法松へのオマージュとして描かれてはいるものの、大事な大事な告白シーンが丸々カットされていたような・・・。映倫はあるけど、さすがに検閲制度の無い現代においてここまでカットされては感情移入しにくいというのも難点の一つ。
1961年の時点で日本の映画産業は絶頂期を迎え、その後テレビの普及により斜陽となってしまうのですが、ストーリーを考えると少しずれています。大津からやってきた若者が映画館館主の座と未亡人を得るために悪い噂が流れてしまうという原因があるにはあったけど、それだけでは弱かった。さらに、経営の本当の苦しみは70年代に入ってから。どうもオリヲン座は東宝の映画をかけなかったようですけど、寅さんのリバイバルでも上映していたのなら客は入っていたのかもしれません。ピンクをかけなかったという点だけは子どもを大切にしていたとわかる台詞でした。
『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿させる映写室。さすがに宇崎竜童の演じた松蔵はアルフレードに対抗するにはいいキャスティング。フィルムが流れるように落ちていくことで彼の死を表現したところなんてのは悲しいけれど、なかなかの演出でした。宮沢りえも加瀬亮もよかったのですが、樋口可南子がやはりよかった。田口トモロヲだけは、こんな役だともったいない・・・もっとカルトな役じゃなきゃ・・・
キスシーン集に見合うモノ。まったくありません。さすがに告白シーンすらカットされるのですから、純愛も純愛、もしかするとプラトニックな関係だったかとまで想像させるくらい奥ゆかしい日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』だったのかもしれません。
★★★・・
最後までプラトニックだったんじゃないかなーって、ほんと思っちゃいますよね。
結局ウン十年そういうのもありかなーって私は思いますけど。
これこそ本当の純愛です。本当に真面目な良い映画でした。ただ、なにかが物足りない。地味で淡々としていても小津安二郎の作品ならもっと胸に来るものがあるのですが・・・・。良心的な写真なのでちょっと
残念なのです。りえちゃんも加瀬亮もとても良かったし・・・・。
「無法松の一生」これは名作です。本当に感動します。昨年、GHQにカットされた部分付きで見る事ができました。学生同士の喧嘩シーンと、日露戦争の戦勝祝いの提灯行列シーンでした。
(切られたフイルムを宮川一夫さんがずっとお持ちになってらしたそうです)まだでしたらぜひ御覧下さい。坂妻がいいです。
三船敏郎でも同じ監督が再映画化しています。
最後までプラトニック。そのあたりを曖昧にしておく作戦はよかったと思います。どうだったんだろう?などと感想を語り合うには最高のネタですよね。
「夫婦みたいなもん」という言葉も意味深で・・・
>翡翠さま
あのときが初めて手を繋いだのよね。この先になにか・・・などと邪推するも、手を繋いだことの記憶が鮮明に残るくらいなんだし、何もなかったと想像するのがいいかもしれません。
物足りなさは空白の30年にあるんでしょうけど、最初に二十四とか君の名をかけるんだから、もっと愛を感じる映画ばかりでもよかったかなあ。
小津作品なんてのもいいんだろうけど、時代がちょっと違うんでしょうかね・・・ううむ。
『無法松の一生』のノーカット版があるんですか!
これはぜひとも観たくなってきました。ありがとうございます。
戦前、軍部に切られた部分は残念ながら
もはや見る事はできませんが・・・。
GHQに切られた部分を繋げたものは
多分現時点では商品化されてはいないのでは
ないかと思われます・・・。でも
カットされていてもとても良い作品だと思います。
たしかに最後のほうは唐突に終わる感が
ありますが・・・。
またまたご丁寧にありがとうございます。
そういや、小津映画にも切り取られた映画があったことまで思い出しました。
とにかく、機会があれば・・・というか、NHKBS2で放映してくることを期待します。
翡翠さんの情報はグッドニュースですね。そのうち修復版のDVDでも出る事でしょう。
GHQのカット部分のように、1度でも上映されておれば、コレクター所有分なり、ロシアから返してもらったアーカイブなり(黒澤「姿三四郎」など)の中にカット部分が含まれていたりして復元される事はあるのですが、検閲でカットされた部分は上映時点で既に存在しない訳ですから、復元は不可能でしょうね。
せめて、「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレードのような人がいて、こっそり隠してくれてればよかったのですがねぇ(笑)。
そうですよね~~出ることがあればぜひ見てみたいところです。
コレクターって人もいるんでしょうかね~。いや、いてほしいです!
検閲前ってのは無理なのかなぁ・・・
この映画は俳優が良い割にすっきりしないところが残った映画でした.
浅田次郎の映画化って難しいということでしょうか?
上原ひろみの音楽が素敵でした.
俳優は良かったですよね~。多分原作もいいのでしょうけど、1本の長編にまとめるのは難しいことだったのかもしれません。
題材がいいだけに、もうちょっと工夫をすれば名作の仲間入りも可能だったかもしれませんね。
予告編を観たとき宇崎竜童は、宮沢りえの父親かと思いましたが、妻だったんですね。
子供の頃の映画館を思い出して、ホロリとさせられました。
俺が物心ついたときには、あのような映画館は既に少なくなっていました。行ったことも数回・・・どちらかというと封切り館(といっても地方なので遅い)に行ってたようです。
小学生の頃はもっぱら県社会教育センターとかが無料上映する映画ばかりでした~
男女の恋愛が不自由。
でも心を想像できるのがいいですね。
純粋に映画が好きになった『ニューシネマ・パラダイス』と比べてみると、ちょっと違った味わいになりますよね。
今回は何十年も、とどまった話。
印象違いますねか
地元の映画館でも募集がある度に考えてしまう・・・『魂萌え!』でもそうだったし、歳をとってからでもいけるかな~
でもほとんどの映画では若いころから始めるんですよね。やっぱり無理だ・・・
kossy様が館長の映画館・・毎週通い詰めです。『ニューシネマパラダイス』は映画の魅力と、少年よ大志を抱けの名作ですが、今作で一番魅力を感じた点は【継続力】なんです。変わらないもの。減ってきました。気に入っていた場所・店・商品・自分も含め、人の心も変わる。
変わることは、前向きに、勇気・成長・前進・発展を意味するコトも多いのですが・・ノスタルジー・寂しさ・・時には、妥協・打算・逃げに感じることもあります。オリオン座は愛と信頼の象徴のように思いました。ガタガタで、経営としては失敗でしょう。しかし、強さに胸を打たれ、憧れます。
俺も継続力が欲しい・・・
今では、映画を見続け感想を書き続け・・・ということで幾分かの達成感があるのですけど、やっぱり感想を1万本くらい書かないと自慢できそうもない。
一つの商売を儲からないながらも経営し続けるってのはすごいこと。職人だとそれが表彰されることもあるんでしょうけど、一般市民は生活のためにしているんだし、評価されないことが多いんですよね。映画に限らず、続けることって大切だなぁ・・・俺ってほんとにダメ・・・
どうもありがとうございます。あまりおだてないでくださいね(汗)
そうですよね。何にしろ信念を貫きとおして生きることが大切だなぁ~
この監督の作品が今公開されてる『春よこい』。号泣しちゃいました・・・
すごく楽しみです。
三枝監督ワールド散策しようかな~。
『MISTY』も三枝監督かぁ・・・これからの監督なのかも(笑)
三枝成章の弟なのね。